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            読解能力の科学的養成法







             中沢政雄/国語教育科学研究会著



                                                      1
     は し が き

 文章を読んで、その内容を理解する力を読解の技能としてとらえ、その体系・発達・指導等について考えるよう
になったのは、戦後の国語教育の進歩であった。
 わたくしどもの国語教育科学研究会は、国語教育の科学化・近代化をめざして、昭和三六年以来研究を進めてい
る。その研究の一つが「読解技能の科学的養成法」である。
 その研究は
 (1) 読解技能の分析とその体系
 (2) 読解技能の発達
 (3) 読解技能と読解教材
 (4) 読解技能指導の考え方と方法
等にわたって、科学的な調査・実験を試み、その全貌を明らかにすることであった。その上に立って、読解技能の
養成を構造的にとらえ、各方面から実験授業を試みてきた。
 本書に収めたものは、そのような実践研究の成果である。したがって、読解能力の科学的養成といっても、単な
る技能養成の技術だけを取り上げた研究ではない。読解能力・読解教材・読解活動を構造的、発達的にとらえ。そ
の指導理論・指導法を、実験授業を通して研究したものである。
 こうして、いつでもだれでもできる客観性を持った読解技能養成の機能的方法を確立することを願った。もちろ
ん、これは人間性の開発伸長と読解力の養成とを一体的に考える立場からの研究である。この研究の過程を経て初
めて、機能的・基本的な読解能力を抽出組織して、それを直接学習する方法も可能になるものと信じている。それ
はわたくしどものこれからの研究に譲りたいと思う。
                                                      2
 この研究についての基礎理論はわたくしが構成した。それに基づいて、会員が毎月二回、綿密な研究計画のもと
に、実験授業を通して共同研究をした。こうして、四年にわたる日子が流れた。このたび明治図書の江部さんのす
すめによって、研究成果を一書にまとめた。おおかたのご批判を仰ぎたい。

  昭和四三年一月二五日
                                       中  沢  政  雄
                                                      3
    も  く  じ

    は し が き

第T章 基礎理論………………………………………………………………………………………11
        ――読解能力の科学的養成法はどんな基礎理論に
          ささえられているか――

     一 読解とは何か ………………………………………………………………………11
         ――読解の本質と機能――
        (一) 読解するということは、文章を読んでその内容を理解
          し認識することである………………………………………………………11
        (二) 読解は、知識・情報・思想等を啓培する機能を持っている…………14
     二 読解はどんなしくみを持っているか………………………………………………15
         ――読解の構造過程――
        (一) 読解の全体的なしくみはどうなっているか……………………………15
             ――読解は、文章の内容的価値を
             読み手がみずから生産する過程である――
        (二) 読解活動はどんなしくみになっているか………………………………16
             ――読解活動の構造過程――
                                                      4
     三 読解能力はどのようにして養成されるか…………………………………………19
         ――読解能力の養成――
     四 読解能力の養成にはどんな方法があるか…………………………………………21
         ――読解能力養成の方法――
       (一) 機能的方法……………………………………………………………………22
       (二) 練習的方法……………………………………………………………………23
       (三) 段階的方法……………‥……………………………………………………24
     五 読解能力養成の科学化・構造化……………………………………………………25
     六 読解教材の構造過程…………………………………………………………………29
       (一) 文章の構造過程………………………………………………………………29
       (二) 文章の構造過程と技能学習の構造過程……………………………………31
       (三) 文章の構造過程の図式化……………………………………………………31
     七 読解能力の指導法と指導技術………………………………………………………32
       (一) 学習方法………………………………………………………………………32
       (二) 学習技術………………………………………………………………………33

第U章 読解能力の科学的なとらえ方………………………………………………………………35
      ――読解能力の構造とその発達はどうなっているか――
     一 読解能力はどのような全体構造をもっているか…………………………………35
                                                      5
       (一) 基本的態度……………………………………………………………………37
       (二) 基本的処理技能………………………………………………………………37
       (三) 基本的支持技能………………………………………………………………39
       (四) 基礎的能力……………………………………………………………………39
     二 読解能力の系統はどう立てたらよいか……………………………………………41
       (一) 書いてあることがらを読みとる技能………………………………………41
       (二) 要点を読みとる技能…………………………………………………………43
       (三) 要旨・意図を読みとる技能…………………………………………………44
       (四) 要約の技能……………………………………………………………………44
       (五) 批判的に読む技能(判断の技能)…………………………………………46
     三 読解能力はどのように発達するか…………………………………………………46
       (一) 読みの構えの発達……………………………………………………………47
       (二) 段落の技能の発達……………………………………………………………48
       (三) 要点を読みとる技能の発達…………………………………………………48
     四 各学年で養成する技能にはどんなものがあるか…………………………………49

第V章 読解教材の科学的な見方……………………………………………………………………52
       ――読解教材と読解能力・読解教材の内容・
          構造とその発達はどうなっているか――                          6
     一 読解能力と読解教材との関係をどうとらえるか…………………………………52
       (一) 読解能力と読解の抵抗………………………………………………………52
       (二) 読解能力と読解教材…………………………………………………………52
     二 読解内容の系統とその発達はどうなっているか…………………………………53
       (一) 読解内容(題材)の系統……………………………………………………53
       (二) 題材の発達……………………………………………………………………56
     三 読解教材の構造とその発達はどうなっているか…………………………………58
       (一) 読解教材の構造………………………………………………………………58
       (二) 構造の発達……………………………………………………………………60
     四 読解能力を中心とした読解教材の研究は
       どのようにしたらよいか……………………………………………………………60
       (一) 教材研究の観点………………………………………………………………61
       (二) 文章の構造過程………………………………………………………………61
       (三) 教材研究の実際………………………………………………………………67

第W章 読解能力養成の科学的方法…………………………………………………………………70
       ――読解能力を科学的に養成するには
          どんな方法があるか――
                                                      7
     一 読解の機械的技能の指導法…………………………………………………………70
       (一) 語として読む技能の指導法…………………………………………………70
       (二) 文として読む技能の指導法…………………………………………………76
       (三) 速く読む技能の指導法………………………………………………………83
       (四) 音読・黙読の技能の指導法…………………………………………………90
       (五) 目的に応じて読み方を適用する技能の指導法……………………………95
     二 読解の本質的技能の指導法 ………………………………………………………97
       (一) 書いてあることのだいたいを読みとる技能の指導法……………………97
       (二) 何が書いてあるか考えて読む技能の指導法 ……………………………100
       (三) 段落の要点を読みとる技能の指導法 ……………………………………105
       (四) 必要な細部を読みとる技能の指導法 ……………………………………114
       (五) 意図・要旨を読みとる技能の指導法 ……………………………………117
     三 読解の方法的技能の指導法 ………………………………………………………119
       (一) 段落にまとめて読む技能の指導法 ………………………………………119
       (二) 文章を要約する技能の指導法 ……………………………………………127
       (三) 批判的に読む技能の指導法 ………………………………………………132
     四 読解の総合的技能の指導法 ………………………………………………………137
       (一) 読みとったことを組織する技能の指導法 ………………………………137
       (二) 実験・作業等の手順・方法を知るために読む技能の指導法 …………142
       (三) 調べるために読む技能の指導法 …………………………………………148
       (四) 生活に適応するために読む技能の指導法 ………………………………154
                                                      8
第V章 読解能力の科学的養成法の実践 …………………………………………………………163
      ――各学年の読解能力養成の実践例――

     一 一年の読解技能の養成 ……………………………………………………………164
       (一) 書いてあることを正しく読みとる技能の指導例 ………………………164
       (二) 何が書いてあるか考えて読む技能の指導とその練習例 ………………168
     二 二年の読解技能の養成 ……………………………………………………………174
       (一) 書いてあることのだいたいを読みとる技能の指導例 …………………174
       (二) 順序をたどって意味を読みとる技能・文章に即して
          書いてあるとおりに正しく読みとる技能の指導例 ……………………183
     三 三年の読解技能の養成 ……………………………………………………………188
       (一) 段落にまとめて読む初歩的な技能・要点を
          読みとる技能の指導例 ……………………………………………………188
       (二) 要点を読みとる技能の指導例 ……………………………………………195
     四 四年の読解技能の養成 ……………………………………………………………199
       (一) 段落にまとめて読む技能・要点を読みとる技能の指導例 ……………199
     五 五年の読解技能の養成 ……………………………………………………………208
       (一) 要旨(意図)を読みとる技能の指導例 …………………………………208
     六 六年の読解技能の養成 ……………………………………………………………217
                                                      9
       (一) 段落を要約する技能・文章を要約する技能の指導例 …………………217

第Y章 読解技能練習の科学的方法 ………………………………………………………………228

第Z章 読解能力評価の科学的方法 ………………………………………………………………239

     一 読解能力評価の考え方 ……………………………………………………………239
       (一) 読解能力評価についての基本的な考え方 ………………………………239
       (二) 読解能力評価についての間題点 …………………………………………240
       (三) 読解能力評価の考え方 ……………………………………………………242
     二 読解能力評価の方法 ………………………………………………………………244
       (一) 一般的な評価法 ……………………………………………………………244
       (二) 読解技能の評価法 …………………………………………………………245
       (三) 学習中における評価(学習指導の進行を効果的にするための評価)…247
       (四) 学習後における評価(学習指導の効果を判定するための評価) ……249
     三 読解能力評価の実際 ………………………………………………………………253



                                                     11



第T章 基 礎 理 論

         ――読解能力の科学的養成法はどんな基礎理論にささえられているか――


     一 読解とは何か――読解の本質と檐能


 (一) 読解するということは、文章を読んでその内容を理解し認識することである

 (A) 山頂を朝日に輝かせて、富士山はまことにゆったりと静かにそびえている。冬枯れの野の果てに、おごそかに構え立って
  いる。ふもとはまだ明けたばかりで、行く人もない。霜の色さえまだはっきりとは見えない。が、間もなく山頂の朝日もし
  だいに下りてきて、かっと、この山ろく一面に輝くであろう。そのときこそ、眠っているわたしの心も開け広がり始めるの
  だ。

 (B) ぞうは、ものをたべるとき、はなをつかいます。みかんやりんごをなげてやると、はなでつかんで、口にほうりこみます。
   また、ぞうは、水をあびるときにも、はなをつかいます。はなに水をすいこんで、からだにふきかけます。
   そのほか、ぞうは、てきとたたかうときにも、はなをつかいます。ながいはなをふりまわして、てきをおいはらいます。


 (A)の文章を、ゆっくり読み進めていくと、まず、山頂に朝日があたって、明るく輝いている富士が、夜明けの空
                                                     12
に、ゆったりと静かにそびえている姿を心に描くことができる。その富士は、広々と開けている冬枯れの野の果て
におごそかに構えるように立っている。そんな情景が目に浮かぶ。
 山頂には日が輝いているが、山のふもとはまだ、夜が明けたばかりで、人もいない。まっ白な霜の色さえ、明ら
かには見えない。ほの暗く静かである。そんな感じがする。しかし、間もなく山頂の朝日も、しだいに下りてきて、
急にかっと山ろく一面に輝くであろう。そして、輝かしい朝がやってくることが想像される。そのときこそ、ちょ
うど、山頂の朝日がしだいに上って山ろくに輝き始めるように、眠っているわたくしの心も開け始めるのだと、自
然のたたずまい、自然の動きに共感し、そこに引き込まれ、やがて自然と一体となっていく「わたくし」の人間性
がありありと見えてくる。
 このように文章を読みながら、ことばの刺激に応じて、感覚を働かせたり、想像力を働かせたりして、表象を作
り、読み進むにしたがって、その表象はしだいに大きく広げられていく。こうして、きわめてぼんやりしたもので
はあるが、情景や場面を表象として脳裡に描くことができる。その情景や場面の表象が描かれるにつれて、その情
景や場面がかもし出している気分・情調・情感を感じたり。感情状態にはいったりする。そこに、ああきれいだ、
ほんとうに静かだというように、同感・共鳴したり。また、反感をもったり、反発したりする。
 このように、文章を読んで、新しい内部経験(代行経験)をすることによって、しだいに、感覚が磨かれ、思考
・想像の力が伸ばされ、心情が啓培されていく。
 (B)の文章を読むと、ことばの刺激に応じて意味表象が浮かび、まず、「ぞうはものを食べるときに、はなをつ
かう」という判断・概念が得られ、そのようなことがらが認識・理解される。さらに読み進めると、「みかんやり
んごを投げてやると、はなでつかんで口にほうり込む」という意味表象とともに、具体的な概念が形成され、前の
概念との関係が判断される。つまり、前の概念の下位概念として、そのことがらが理解・認識される。
 こうして、「ぞうは物を食べるときにはなをつかい、そのつかい方は、みかんやりんごをはなでつかんで口にほ
うり込む」ということがらが認識・理解され、そのような知識が得られる。それとともに、「ぞうのはなは人間の
                                                     13
手のような働きをするものだ」「ぞうのはなはべんりにできている」というように、そのことがらが物語っている
深い意味、裏にある意味がわかってくる。こうして、文章の内容の深い理解に達する。
 このように読み進めるにつれて、しだいに新しい概念が得られ、それが順序よく組み立てられて、より複雑な、
まとまった大きな概念が形成される。つまり、そうがはなをつかう時とつかい方が、理解・認識されて、新しい知
識や思想が得られる。
 この読みの過程を考えてみると、ことばの刺激に応じて、順次、意味表象ができ、その意味と意味との関係が知
的に判断されて、一つのまとまった概念が得られる。その概念をもとにして、さらに大きな複雑な概念が形成され
る。そして、そこに書いてあることがらが理解・認識される。
 この(A)と(B)の読みを比べてみると、そこに共通点もあるが、また、大きな違いのあることもわかる。
 (A)の読みでは、ことばの刺激に応じて、(ことばを読むと)主として感覚的、心情的に反応する。つまり、こ
とばの刺激に応じて、感覚が働き、想像力が働き。思考力が働いて感情が動かされる。
 (B)の読みでは、ことばの刺激に応じて、主として知的に反応する。概念的に反応する。概念と概念との関係を
判断し、しだいにまとまった新しい概念を形成していく。つまり、概念作用・判断作用が中心になって働く。(A)
の読み方と違って、主として概念作用・判断作用・推理作用等の思考力が働いて、理解・認識が深められる。
 (A)の読みは、文章に情的に接近する。その結果得た理解を情的理解と呼んでいる。鑑賞といってもいい。わた
くしどもは、これを文学経験をすると呼んでいる。
 (B)の読みは、文章に知的に接近する。その結果得た理解を知的理解と呼ぶ。
 このように、読みは原則的には、(A)、(B)の二つの側面を持っている。(A)は、いわゆる文学教材の読みに、
(B)は、いわゆる知識・情報教材の読みにつながる。もちろん、実際の読む活動においては、この二つを截然と分
けられない場合がある。
 戦後はふつうこの(B)の読み方を読解と呼び、(A)の読み方を鑑賞と呼んで区別している。
                                                     14
 要するに、読解は文章を読んで、その内容を知的に理解することである。したがって、正確に読む、深く読む、
つまり、正確に理解する、深く理解することが要求される。正しく深くということは、別のいい方をすれば、読む
ことによって、書いてあることがらを正しく認識し、また、そのことがらの表わす意味や書き手の意図までも理解
することである。それは、書いてある事実の認識から、事実の奥にある法則性や共通性の認識、つまり、事実認識
から理性的認識への過程でもある。

 (二) 読解は、知識・情報・思想等を啓培する機能を持っている

 戦前の読みは、文章の内容を理解することを直接めがけて行なわれたが、戦後の読解においては、読みのねらい
を、もっと身近かに、生活的、機能的に考えるようになった。つまり、文章を読んで、何かについての新しい知識
を得たり、それについての理解を深める。また、文章を読んで、情報を得てそれに適応する。あるいは、文章を読
んで思想を深めたり発展させたりする。そして、人間性を開発したり伸ばしたりする。
 戦後は、読解をこのように機能的に考えるようになった。そこで、理解ということは、その根底・基礎であると
考えるようになった。
 児童が文章を読解する場合も全く同じである。児童は、知識や情報を求め、思想を豊かにすることをめがけて読
解する。その際、正しい知識、深い理解が要求される。また、正確な情報、客観性を持った情報が要求される。あ
るいは、広い考え方、深い考え方が必要になる。このように正確で深い知識・情報・思想を求めるためには、当然
正しい理解・深い理解がその根底になくてはならない。
 このように戦後の読解は機能的に考えられるようになって、正確で、深い知識・情報・思想を求める根底として、
正確で、深い理解の指導をめがけて行なわれている。読解における科学的思考力の養成などが強調されるのもその
ためである。
                                                     15

     (二) 読解はどんなしくみを持つているか――読解の構造過程


 (一) 読解の全体的なしくみはどうなっているか――読解は、文章の内容的価値を読み手がみずから生産する過程である

 一般的にいって、文章を読む場合には、まず、何かについての知識を求めたいとか情報を得たいとか、あるいは、
何かについてもっと知りたいとかいうような読む目的を持つ。(これは、ことばの文化的・社会的・精神的機能に即した
目的)目的に応じて、参考書・雑誌・新聞など読書材料を選ぶ。もっと具体的にいえば、さるの集団生活について
知りたいと思えば、「さるの社会」という文章を選ぶ。世界の新しい政治情勢を知ろうと思えば新聞を選ぶという
ように、読む目的に合った読解材料を手に入れる。つぎに、いよいよ文章を読むことになる。その結果、知識が得
られたり、情報を得てそれに適応したりして、最初の読む目的が達成される。読むことは、このような全体構造を
持っている。
 このことをさらに整理してみると、つぎのような全体構造過程をとっていることがわかる。
(1) 興味・必要――生活上の必要や自己の興味、関心等に基づいて読もうとする意欲を持つ。
(2) 読む目的――生活上の必要や興味に基づいた読む目的を持つ。この目的は、ことばの機能に即したもので、
 大きく分けると、知識や情報を求めるため(インフォメーション)、楽しみ・鑑賞するため(リクリエーション
 の二つになる。
(3) 読書材料――読む目的に応じて読書材料を選択する。
(4) 読む目的・読書材料に応じた読解活動が行なわれる。
                                                     16
(5) 読書活動の結果、読書材料に内在する価値が獲得・生産される。
(6) 読解活動が完了して、目的が達成され、満足感を覚えたり、適用したりする。
 この読みの全体構造過程を、読み手の読む意識の展開という点からみると、(1)文章の内容的価値への志向、
(2)内容的価値の追求、(3)内容的価値の獲得、(4)内容的価値の適用という過程をたどっている。また、これを
文章の内容的価値を生産するという点からみると、(1)目的を持つ、(2)読書材料を選ぶ、(3)読書活動をする、
(4)価値を生産するという方法過程をたどっている。
 読解をこのような全体構造過程としてみることは、読解に対する理解を深めることに役だつ。

 (二) 読解活動はどんなしくみになっているか――読解活動の構造過程

1 読む活動のしくみ
 「赤い花がさいている」という文を読んで、その文の意味内容を理解する過程を構造的に考えてみる。
(1) 「赤い」という文字を見る(知覚する)と、すでに持っている視覚表象・文字表象が浮かんで、それが「赤
 い」という文字と結合する。
(2) 「赤い」とすでに持っている赤いの文字表象とが、瞬間的に結合すると、反射的反応として「アカイ」とい
 う音声表象が浮かぶ。
(3) 「アカイ」という音声表象ができると、それに応じて「アカイ」と発音する。音声化する。いわゆる音読で
 ある。その際、発声しないで、「アカイ」と内語する。これがいわゆる黙読である。
(4) 「アカイ」と音声化すると、つまり、読むと、これも反射的反応として「赤い」という語が認知され。その
 意味表象が浮かび、その意味が理解される。
 この(1)〜(4)は、同時に瞬間的に反射的反応として行なわれる。この過程が、文字にそってくり返される。つ
                                                     17
ぎに「ハナガ」と読むと、「花」の意味表象が浮かび、「赤い花」という概念(意味)が成り立ち、「サイテイ
ル」と読むと、「さいている」という概念(意味)が成り立つ。そこで「赤い花が」「さいている」という判断が
行なわれ、この文の意味が理解される。ここに「赤い花がさいている」というまとまった意味・概念が形成される。
この意味の理解(概念の形成)にあたっては、その根底に概念作用・判断作用等の思考が働いている。また、「赤
い花がさいている」という意味表象ができると、「赤い花の咲いている」情景が目に浮かび、印象づけられる。す
ると「きれいだなあ」という感情状態になって、心情を刺激する。
 読む活動は、このような構造過程をとっている。この読みの過程で、読めない漢字があれば、漢字の読み方を学
習する。意味のわからない語に出会えば、そこでその語の意味を理解し語いを増す。語と語の切れ続きの関係など
を知って、語の働きを理解する。こうして、文字・語い・文法等のいわゆる言語要素を学習する。国語を身につけ
る。
 またこの過程で想像・思考・感情等の活動が参与し、読解の態度や技能も学習される。あるいは、文章の内容を
理解して、知識・情報・思想・心情等の価値を身につける。
 このように読む活動の構造過程は組織されている。
2 読解学習のしくみ――全体構造過程
 読解学習は、つぎのようなしくみと過程に従って行なわれる。
 児童は、知識・情報・思想等の内容的価値を持っている文章(知識・情報文)を読んで、その内容を理解し、内容
的価値を身につける。つまり、何かについての知識や理解を広げ深めたり、情報(経験情報や社会情報等)を求めて
適応したり、思想を豊かにしたりして、人間性を啓培する。
 このような読む活動を通して、文字・語句・文法等の知識や技能、また、その内容を理解するのに必要な態度や
技能を身につける。
 読解学習は、このような全体構造過程をもっている。図解してみるとつぎのようになる。
                                                     18


 この表でわかるように、児童は、文章の内容的価値を身につけることをめがけて文章を読む。文章を読むときに
は、文字力、語い力、文法力等の読む活動をささえる支持力が働く。また、読む活動を遂行するのに必要な態度や
技能等の処理能力が働く。さらに、それらの能力のささえになっている、想像力、思考力、感覚、感情等の基礎能
力が働く。このような諸能力が働いて、文章の内容が理解され、内容的価値としての知識・情報・思想等が身につ
いて人間性が啓培される。
 また、文字を読む能力、語句の理解能力、文法能力等が伸ばされ、要点を読みとる技能、要旨を読みとる技能、
要約する技能等や態度が育てられる。
 これが読解学習の基本的構造過程である。
                                                     19

     三 読解能力はどのようにして養成されるか――読解能力の養成

 前に述べたように、読解能力は、文章の内容を理解し習得する過程で働くものである。したがって、原則として、
読解能力は、読解活動によって育てられ伸ばされる。つまり、読解能力は読解活動を通して育成されるものである。
文章の内容が、読み聞かされてわかったり、説明されてわかったり、話合いによってわかったりするのでは読解能
力は育たない。読ませなければ読む力は育たないのである。では、読ませさえすれば読む力がつくかといえばそう
ではない。そこには読む力を育てるための条件がある。
 第一の条件は、言語要素の抵抗・負担のある文章を読むことである。――支持能力の学習
(1) 文字負担――適当な文字負担(抵抗)を持った文章を読む。新出文字・読みかえ文字などの含まれている文章。
 この文字負担が高すぎれば読みの抵抗が大きくて、文字学習が容易に進まない。文字負担が全然なければ、文字
 が習得されない。
(2) 語い負担――適当な語い負担を持った文章を読む。つまり、新出語い(意味のわからない語)意味の範囲を広げ
 る語いなど学習させる語いが適当に含まれている文章。この語い負担が高すぎると文章の内容が理解しにくい。
 したがって、学習が困難になる。
(3) 文法事項・文型――適当な文法事項の含まれている文章を読む。語のはたらき、語の係り受けの関係、文の
 係り受けの関係、文章の構成、文型等学習すべき文法事項が適当に含まれている文章。
 これらの文字・語い・文法等のいわゆる言語要素(ことばに関する事項)が、読みの抵抗、負担として適当に含ま
れている文章を読む。文章の内容を理解する過程で、これらの言語要素の抵抗を乗り越えることによって、それら
                                                     20
の知識や技能が育てられるのである。
 第二の条件は、文章の内容を理解するのに必要な態度や技能が読みの抵抗・負担として内在する文章を読むこと
である。――処理能力の学習
 その文章を読んで内容を理解し習得するために働く態度や技能が、読みの抵抗、負担として含まれている文章を
読む。つまり、その文章の内容を理解し習得するためには、その抵抗、負担を乗り越え、克服しなければならない。
そのときに新しい、より高度の技能が学習される。
 たとえば、文章の内容を正確に理解するためには、まず、その文章の内容の基本的なことがら(要点)を読みとる
学習をする。つぎには、その基本的なことがらと関係づけながら段落の細部(詳細)を読みとる学習をする。
 このように、書いてある内容を正確に理解するために、段落にまとめて読んだり、要点を読みとったり。細部を
読みとったりする技能が学習される。
 そのさい、文章がむずかしすぎて、これらの技能の学習の抵抗が大きすぎれば、学習が成り立たない。つまり、
児童の読解技能の発達に応じた適当な抵抗が用意されていなければならない。
 第三の条件は、目的を持った、意欲的でかっぱつな読解活動をすることである――読解の態度の学習
 前に述べたように、読解能力をつけるには、読解活動をすることが原則である。しかも、その読解活動は、受け
身でなく、積極的にかっぱつに行なわれることが、能力養成の大事なかぎになる。そのためには、読解活動の生活
的、機能的な目的がはっきりしていること。読解活動をするときの構え、態度が確立していること。読解活動の計
画や方法が明確になっていることなどが、読解能力の養成を効果的にし、能率的にしている。読解の構え(態度)が、
読みの速さや読みの深さを規定する、つまり、読解能力をじゅうぶんに働かせる要因になっていることはすでに知
られているとおりである。課題をもった読みが、積極的にかっぱつに行なわれるのもそのためである。
 第四の条件は、能力の学習が、発達的、段階的に行なわれることである。――能力の発達に応じた段階的学習
 まず、文章に取り上げられている題材が、児童の興味・関心に合っているもの、必要に応ずるもの、つまり、児
                                                     21
童の話題・題材に対する関心・興味の発達に応ずるものであること。
 つぎには、学習する態度・技能が、児童の発達に応ずるものであること。
 たとえば、要点を読みとる技能の学習を一年生に計画しても無理である。また、主題を読みとる学習を一、二年
生に計画しても、これも無理なことである。要点を読みとる技能は、三年生ごろから急激に発達するといわれ、主
題を読みとる技能は四年後半ごろから急激に伸びるといわれている。
 このように、学習する態度・技能が、児童の発達に応じている必要がある。
 また、態度・技能の学習が、児童の発達段階に応ずると同時に、易より難へと段階的に学習させることもだいじ
である。
 たとえば、要点を読みとる技能の学習も、
(1) 要点を表わす文が段落の前のほうにある場合。段落の中ほどにある場合、段落の終わりのほうにある場合の学
 習
(2) 要点を表わす文が段落の中にないので、段落の内容を要約して要点を押える場合の学習
(3) 小さな段落の要点を押え、それらをまとめて、さらに大きな段落の要点を読みとる場合の学習
(4) 小さな段落をいくつかまとめたさらに大きな段落の要点を要約的に読みとる場合の学習
 のように段階的に学習する。また、要点と細部(詳細)との関係の上から、
(1) 細部が要点を分析して説明している場合
(2) 細部を総括した要点の場合
(3) 細部を抽象化した要点の場合
(4) 他の段落との関係によって要点を判断する場合
など、段階的に学習させるようにする。
                                                     22
     四 読解能力の養成にはどんな方法があるか――読解能力養成の方法


 読解能力の養成法には、機能的方法・練習的方法・段階的方法の三つがある。

 (一) 機能的方法

 読解能力養成の機能的方法というのは、知識を得るとか、情報を求めるとかいうように機能的な目的をもって文
章を読む。つまり、文章の内容を理解するために、技能を働かせる過程で、その力を養成する方法である。文章の
内容を理解するために生き生きと働いている能力を、働いている過程で、その技能を伸ばす。技能を実際に使うこ
とによって育てようとする方法である。したがって、これは、能力養成の本質的な方法である。
 前にあげた「ぞうのはな」の文章について考えてみることにする。
 ぞうはものを食べるときにはなをつかう。みかんやりんごを投げてやると、はなでつかんで口にほうりこむ。
 また、ぞうは水を浴びるときにもはなをつかう。はなに水をすいこんで、からだにふきかける。
 そのほか、ぞうは敵と戦うときにもはなをつかう。長いはなをふり回して敵を追いはらう。

 この文章を読む場合に、「ぞうはいったいどんなときにはなをつかうか、この文章を読んでわかったことを書き
なさい」という課題のもとに読ませると、つぎのように読みとって答える。
 (1) ものを食べるとき(使います。)
                                                     23
 (2) 水をあびるとき(使います。)
 (3) 敵と戦うとき(使います。)
 この答えは、この文章の内容の基本的な事項、つまり要点である。直観的思考力を働かせて読みとった要点であ
る。こうして、ぞうのはなについての「基本的な知識」が得られると同時に、それを読みとるのに必要な「要点を
読みとる技能」が育てられる。
 つぎに、「ぞうは、ものを食べるとき、どのようにはなを使いますか」という課題を持たせて読ませると、「み
かんやりんごをはなでつかんで口にほうりこみます」と答える。こうして、どのようにはなをつかうかを読みとっ
て理解する。つまり、要点との関係において細部を読みとって理解する。ここで、要点と細部との関係を判断し、
細部を読みとる技能が働く。こうしてぞうのはなについての「詳しい知識」が得られ、それに必要な「細部を読み
とる技能・要点を読みとる技能」が育てられる。
 このように、課題に答えるために読んで、ぞうがはなをつかうときと、そのつかい方を読みとって理解し、その
知識が得られる。同時にその時に生きて働いている技能が育てられる。文章の内容を読みとって理解すると同時に、
それに必要な能力が育てられる。
 このような能力の養成法が機能的方法である。この場合、重要なことは、課題に従って読んでいけば、その内容
が理解されると同時に技能が養成されるような課題(発問)を与えることである。つまり、内容理解とそれに必要な
技能とが一元的に行なわれるような読む活動をさせることである。

 (二) 練習的方法

 機能的方法によって学習した、文字・語句・文法・技能等を機械的に学習し定着する方法が練習的方法である。
 機能的学習において学習した語(その意味や用法)や文字、文法あるいは技能などについて、文章の内容の理解を
                                                     24
離れて、機械的に反復し、機械的に反応するようになるまで、くり返す方法である。
 従来、練習は、文字の読み方書き方、語句の意味や用法などについての練習が中心に行なわれていたが、技能の
練習をもっと強化する必要がある。
 また、練習の必要性が正確に認識されていないためにどちらかといえば軽視されがちである。
 現在の小学校の一年から六年までの教科書には延ベ一万前後の語句が出ているが、このうち五〇%強が、六か年
間にわずか一度しか出ていない。また、八八一字の教育漢字の読み方を学習することになっているが、六か年間に
一度しか提出されないで、しかも、いくつかの読み方のうち、音・訓いずれか一つだけという漢字が百字近くもあ
る。さらに、知識・情報教材の数もごく少ない。したがって、同じ技能をくり返し学習する機会が得にくい。また、
文字負担・語い負担もずいぶん高い文章が多い。
 こう考えると練習の必要が痛感される。練習の考え方や方法については後に詳しく述べてある。

 (三) 段階的方法

 能力養成の段階的方法というのは、ある一つの技能を取り出して、内容の理解とは無関係に、段階的に学習させ
る機械的方法である。つまり、ある技能を易より難へと段階的に並べ、それぞれの技能を含む短い文章によって、
その能力を段階的に学習させる方法である。この方法は機能的方法と違って、その文章の内容を理解することをね
らわず、その文章に含まれる技能を直接めがけて学習する。したがって内容の理解を必要とする文章の中では扱わ
れない。いいかえれば、その技能が生き生きと働く中で学習させるというよりは、形式的、機械的に技能を使わせ
て学習させるものである。
 また、練習的方法と違って、一度学習した技能を定着させるために、くり返し機械的に学習するというのではな
く、機能的学習とは別の系統によって、技能の体系を学習させるものである。したがって、読解学習が、内容の学
                                                     25
習と、技能の学習との二本だてになる。
 しかしながら、練習的方法と同じ点もある。それは、両方とも、技能の機械的・形式的学習である点である。練
習は、機能的方法によって学習した技能を、条件刺激としてそれにくり返し反応させて、機械的、反射的反応がで
きるように一定の反応の型(技能)を固定させようとするものである。
 段階的方法も、一技能一文章として、それを段階的に配列し、それを条件刺激として、機械的、反射的反応の型
を作ろうとするものである。こうして、技能を技能として学習し、それを知識・情報の読解の際に使わせようとい
うのである。



      五 読解能力養成の科学化・構造化
 

 一つの文章を読んで、知識や情報を求める、つまり、その文章を読んで内容を理解するためには、いろいろな読
解力を働かせなければならない。そのためには読解力をささえているいろいろな精神活動――思考・想像・記憶・感
情・感覚など――が営まれる。


 家に飼われる動物を家畜といいます。牛や馬やぶたなどは、代表的な家畜です。
 牛は、わが国では、いたるところに飼われていますが、とくに北海道・九州・中国地方などに、たくさん飼われています。
 牛には、乳牛・役牛・肉牛の三種があります。
 乳牛は、乳をしぼるための牛で、牧場などにたくさん飼われています。ドイツ原産のホルスタイン種の牛は、白と黒のぶちで、
 乳量がもっとも多く、乳牛として知られています。
 役牛は、仕事に使われる牛で、車を引いたり。田畠をたがやしたりするときに使われます。主として東洋産の黄牛・朝鮮牛な
                                                     26
 どが使われます。これらの牛は、毛色が黄色やかっ色で、食べ物もそまつなものでよく、その上よく働きます。
  肉牛は、肉をとるための牛です。やはりいろいろな種類がありますが、なかでも、イギリス原産のショートホーン種の牛が
 有名です。(以下略す)


 このあとには、牛と同じように、馬とぶたについて書いてある。この文章を読んで、その内容を理解する場合を
考えてみる。
 文章全体を読むと、(1)牛・馬・ぶたのことについて書いてあることがわかる。初めに家畜の説明、あとは、牛の
こと、馬のこと、ぶたのことが書いてある部分がわかる。つぎには、(2)牛については、@飼われているところ、A
牛の種類、B乳牛のこと、C役牛のこと、D肉牛のことが書いてあることがわかり、それがどこからどこまでに述
べられているかがわかる。(3)つぎには、@牛はどこで飼われているか、A牛にはどんな種類があるか、B乳牛とい
うのはどんな牛か、C役牛とはどんな牛か、D肉牛とはどんな牛かなどについて細かいことがわかる。(4)このよう
に細かいところまで理解されるとこれが次ページの図のような全体構造的な知識として理解され、記憶される。
 このように、構造的に読解するために、つぎの技能が働くことがわかる。
(1) 話題を読みとる技能
(2) 要旨(中心的事項・中心思想)を読みとる技能
(3) 段落にまとめて読む技能
(4) 要点を読みとる技能
(5) 細部を読みとる技能
(6) 要約する技能
(7) 読みとったことを組織する技能
 しかも、これらの技能は、相互に関連なしに、孤立的に働くものではなく、段落にまとめて読む技能・要点を読
                                                     27
  みとる技能を中心にして有機的・構造的関
  連のもとに働いている。つまり、技能が、
  有機的・構造的関連のもとに学習されるの
  である。これが技能学習の構造化である。
  これを読解過程に位置づけて考えてみる
  と、
  (1) 文章全体を読んで中心的事項を読みと
   る。
  (2) 文章全体を読んで基本的事項を読みと
   る――要点を読みとる。段落にまとめて
   読む。


(3) 文章を段落ごとに読んで、段落の要点との関連において細部(詳細)を読みとる。
(4) 文章全体を読んで、読みとった要点、細部を再体制化する。構造化する。
 ということになる。(1)は全体直観的な読み、(2)、(3)は分析的な読み、(4)は体制的な読みである。
 この読み方を思考力の点からみると、
(1) 直観的思考――文章全体を読んで直観的に要旨(中心的事項)、要点(基本的事項)を読みとるときに、そのさ
 さえとなって働く思考力。
(2) 分析的思考――直観的に読みとった、要旨・中心的事項を分析するために、要旨との関連において、要点を、
 段落の要点との関連のもとに、それをささえている細部(詳細)を読みとるときに働く思考力。要点と細部との諸
 関係(あとに詳しく述べてある)を判断したり、要点を分析したり、細部を総合したり、あるいは、要点を具体化し
                                                     28
 たりする場合などに働く思考力。
(3) 体制的思考――分析的に読んで、確認し、深化した内容を、再組織、再体制化するときに働く思考力。つま
 り、読みとった個々のことがらを再組織・再体制化して、全体構造化する場合に働く思考力である。
 このように読解を、直観的な読み、分析的な読み、体制的な読みのような構造過程に従って進めると、おのずか
ら、直観的思考―分析的思考―体制的思考が行なわれて、思考の構造化、構造的思考力が養われる。
 要するに、この技能養成の方法は、
(1) 文章の全体直観的な読みで。直観的思考力にささえられて、その内容の中心的事項・基本的事項、つまり、要
 旨・要点を読みとる技能が働く。その結果読みとったことを体制化することによって、内容のだいたいを構造的
 に理解するように指導する。
(2) つぎには、読みとった中心的事項(要旨)、基本的事項(段落の要点)を含む全体構造を、段落ごとに分けその基
 本的事項(要点)を中心にして、要点を分析して説明していることがら、要点中に総括されているいくつかのこと
 がら、要点を具体化して述べていることがらなど、いわゆる細部(詳細)を要点と関係づけながら理解させる。こ
 うして全体を分析して、要点を修正確認すると同時に、要点を読みとる技能、細部を読みとる技能が構造的に学
 習できる。
(3) 分析的に段落ごとに詳しく、正確に理解したことがらを、こんどは、文章全体を読んで、それらのことがらを
 中心的事項を中核として全体構造的にまとめる。たとえば、前にあげたように、内容を表解する。構造過程図を
 作っておいて、そこに記入する。見出しをつけて箇条的にまとめる。短ざくカードによって内容を組み立てる。
 このようにして、読みとったことがらを、文章に即して再体制化する。あるいは、ことがらの表わす意味を読み
 とって再体制化する。
 という方法過程をとる。
                                                     29

   六 読解教材の構造過程



 (1) 文章の構造過程
 読解学習を全体構造的に進めると、読解の過程における技能の学習も構造化され、その学習過程・思考過程も構
造化されることは、前に述べたとおりである。
 このように読解学習を構造化するためには、当然、読解教材そのものの構造過程を明らかにし、それに応じて読
解する必要がある。
 教材の構造過程というのは、その教材の内容が、どのような過程をたどって構造化されたかを、文章に即して見
たものである。この文章の構造過程は、つぎのように図式化してみるとよくわかる。(三〇ページの図参照)前にあ
げた「ぞうのはな」を例にとる。

 「ぞうのはな」は、つぎのような構造過程をとっている。
 「ぞうのはな」は話題(題材)である。(1)、(2)、(3)は、段落の叙述の順序を表わす。この段落は、「(1)―
―また(2)そのほか(3)」という過程をとって展開されている。これらの段落の内容は、同等の関係にあって、並列
されている。  
 この文章の内容(価値)の基本的な事項は、(1)ぞうは、ものを食べるときはなをつかう。(2)ぞうは、水をあび
るときにもはなをつかう。(3)ぞうはてきとたたかうときにもはなをつかう。この三つの事項である。この三つの事
項は、それぞれ段落(1)、(2)、(3)の要点である。これらの要点の(1)ものを食べる、(2)水をあびる、(3)てきとた
たかう、という抽象的な事項を具体化するために、(1)りんごやみかんをはなのさきでつかんで口にほうりこむ。(2)
はなに水をすいこんでからだにふき小ける。(3)ながいはなをふりまわして、てきをおいはらう、とそれぞれの具体

                                                     30


的な方法を述べている。これらは、段落(1)、(2)、(3)の要点の細部(詳細)である。
 このように、まず「題材」が決まると、その題材について理解させようとする知識の基本的な事項(ここでは段
落の要点)が決まる。つぎに、それぞれの基本的事項について、さらに具体的に詳細に説明する。(ここでは細部―
―詳細)この基本的事項相互の関係は、いずれも同列であるから、同等の資格(レベル)で並列され、「(1)―ま
た(2)――そのほか(3)」という順序に展開されている。
 これがこの文章の構造過程である。
                                                     31

 (二) 文章の構造過程と技能学習の構造過程

 上に述べたように、文章の構造過程は、(1)題材(中心的事項)の設定、(2)基本的事項の成立、(3)基本的事項
に対する詳細の説明の過程を経て構成され。それらが、並列的に、(1)、また(2)、そのほか(3)という過程をとっ
ている。
 そこで、学習過程は、この文章の構造過程に従って、(1)題材の確認(課題の設定)、(2)基本的事項(要点)の
読みとり(課題解決のための全体的な読み)、(3)基本的事項と関係のある細部の読みとり(課題解決のための分析
的な読み―段落の展開過程に即して)、(4)読みとった事項のまとめ、体制化(課題解決のための体制的な読み)と
いう構造過程をとる。これによって技能学習が構造化されることは、すでに述べたとおりである。

 (三) 文章の構造過程の図式化

 文章の構造過程を考える場合に、前述のように図式化してみるとよくわかる。そのためには、つぎのことがわか
っていると便利である。
(1) 文章の基本構造過程とその表わし方
(2) 段落の基本構造過程とその表わし方
 このことについては、第V章「読解教材の科学的な見方」の項に詳しく述べてある。
 こうして文章の構造過程が図式化されると、つぎの事項が明らかになる。
(1) 文章の内容の中心的事項(要旨
(2) 文章の基本的事項(要点)と細部(詳細)との関係
(3) 段落の展開・相互の関係
                                                     32
(4) 文章の構造化の過程
(5) 読解の処理能力(技能・態度
(6) 読解の支持技能(言語要素
(7) 読解の過程――学習過程(思考過程


     七 読解能力の指導法と指導技術


 (一) 学習方法

 読解能力の学習方法については、これまでにも折にふれて述べてきたが、ここに一応まとめてみることにする。
1 学習過程からみた学習法――三過程法
  技能学習を学習過程の面からみると、
(1) 直観法――文章全体を読んで直観的に文章の内容の中心的事項(要旨)、基本的事項(要点)を読みとる方法
(2) 分析法――直観的に読みとったものを分析・確認・修正・深化するために、文章を段落に分け、基本的事項
 (要点)やそれと細部(詳細)との諸関係を判断し読みとる方法。
(3) 体制法――分析的に読みとった事項を再体制化・再組織する方法
  この方法過程は、直観過程、分析過程、体制過程の三過程を含んでいる。思考過程としてみると、直観的思考、
 分析的思考、体制的思考の三過程としてとらえることもできる。
2 学習主体からみた学習法――集団法
 技能学習を学習者自体からみると、つぎのような方法が考えられる。
                                                     33
(1) 課題法――課題を設定し、その解決を求めて読む方法。目的をもった読み。読みの構えをつくる。全体的に読
 んで、直観的に内容の中心的事項を読みとる。課題は、第一段落を読んで、そこで求める場合、話し合いによっ
 て設定する場合、教師が与える場合などがある。
(2) 問題法――読解に必要な問題を設定しそれらの問題をつぎつぎに解決するために読んで、内容を理解する。問
 題を文章の内容の構造に応じて構造化する。その問題に答えることによって、文章の内容全体が読みとれる。
(3) 討議法――読みの課題・問題・読みの方法、読みの結果等について討議しながら内容を読みとって理解する。
 これらの方法は、読みを主体的・集団的に進める場合に用いる。

 (二) 学習技術

(1) 表解法――読みの観点に従って表を作り、読みとった結果を記入する。たとえば、「とけい」について書いた
 文章を読む場合、どんな形、どんな仕組、どんな働き、どんな種類等の項目(読みの課題、観点)を立てて表を作
 り、それについて読みとった結果を記入して、組織し体制化する。
(2) 構成法――文章を読んで、まず、中心的事項(要旨や主意)を読みとり、つぎにそれについての基本的事項を読
 みとる。その基本的事項と関連させながら詳細を読みとる。この過程に従いながら読みとったことを板書したり、
 ノートに書いたりして組み立てていく方法。文章の構造過程図を作ること。いわゆる文図などといわれるものも
 これに属する。
 この場合、文章全体にわたらないで、段落ごとに構造過程図を作ることもある。
(3) 完成法――文章や段落の未完の構造過程図や表を作っておき、欠けている部分を補って完成する方法。補う部
 分を読みとるのに必要な技能養成に使われる。また。補う部分に易より難へと段階をつけておけば、段階的に技
                                                     34
 能学習ができる。
(4) 消去法(縮約法)――文や段落の中で、重要でない語、修飾語、くり返しなどを消去して要点を押える方法。ま
 た、引例・事例・枝葉末節等を消去して要点や要旨を読みとる方法。事実を消去して、事実と意見とを読み分け
 る方法。
(5) 作業法――物の作り方、遊び方、実験のしかたなどを書いた、いわゆる指示文などを読む場合、読みながら作
 業をする。読みの結果に基づいて作業をするなど、作業することによって、読みを確かにし、読みを深める方法。
 また、読みながら説明図を書いたり、図示したりする方法。
(6) カード法――カード操作によって、要点と要点との関係、要点と細部との関係などを明らかに指導する方法。
 また、読みとったとおりにカードを並べたり、カードとカードとの関係を考えたりすることによって、順序に従
 って意味を読みとる技能の指導に使われる。
 これらの指導技術をどのように授業に適用したらよいか。それについて実践の項に詳しく述べてある。
                                                     35


第U章 読解能力の科学的なとら方

         ――読解能力の構造とその発達はどうなっているか――

     一 読解能力はどのような全体構造をもっているか

  大むかしの人たちは、とけいがなかったので、たいようや月で、時間と時こくを知りました。たいようが出て、外が明るく
 なると、おきてはたらきはじめ、たいようが西にしずんであたりがくらくなると、しごとをやめて休みました。(教出三年上)


 これは、「むかしのとけい」という文章の一節である。この文章を読んで、むかしのとけいについての知識を得
るためには、どんな読解能力が必要であろうか。
 まず、この文章を読もうとするとき、「むかしのとけいにはどんなとけいがあるだろうか」という構えをもって
読んでいくであろう。一般に文章を読むときには、読み手は読もうとする構えをもつことが必要である。これは、
文章を読むときの基本的な態度である。この基本的な態度は、文章を読み始める前や、あるいは文章を読む過程に
おいて心の中に形成されてくるものである。
 さらにこの基本的態度には、「昔のとけいにはどんなものがあるのか知りたい」という内容的な価値を身につけ
ようとして読み進める構えと、「昔のとけいについて調べたことをノートにまとめておこう」という学習生活上の
                                                     36
構えとがある。前者は価値的な目的をもった構えであり、後者は生活的な目的をもった構えである。
 この価値的な目的をもった構えが、文章を読むときの本質的な態度であり、生活的な目的をもった構えは、方法
的な態度である。
 どちらの態度にしろ、文章を読み進めていくうえにはこの構えが必要である。また、第一章にも述べたように、
文章を読むときは、文字を認知し、語句の意味を構成し、語と語の関係、文と文の関係を理解して意味を構成して
いく。ここに、文字を読む技能、語を理解し使用する技能、文法を理解し使用する技能が必要になってくる。これ
は、文章を読んで読み手の中に価値を再生するときの、支持する能力である。これを基本的支持技能と名づけてい
る。
 「大むかしの人は、どうやって時こくや時間を知ったのか」を読みとるためには、この段落の要点を読みとる必
要が生じてくる。要点を読みとるためには、要点を読みとる技能がなければならない。この技能は、大むかしの人
が時刻や時間をどうやって知ったかを理解するための本質的な技能である。
 また、この文章はむかしのとけいの移り変わりに従って述べられているので、段落にまとめて読むことが要点を
読みとるのに便利である。この段落にまとめて読む技能は、要点を読みとるための方法として使われる技能である。
前述した本質的技能に対し、方法的技能である。
 この「むかしのとけい」という文章を読んで、むかしのとけいについて知識を得ることができるために、基本
的な支持技能のほかに、語として読む。文として読む。あるいは、音読・黙読する技能がなければならない。この
ような技能は、機械的に高めることができるという意味で、基本的な処理技能ではあるが、その中の、本質的技能、
方法的技能と区別して、機械的技能と考えている。
 このように、一つの文章を読んで、読み手の中に価値を再体制化していくためには、あらゆる能力が関連しあっ
ている。
 さらに深く考えていけば、これらの読解能力を働かせることができるのには、刺激に対して反応する能力や、刺
                                                     37
激を選択する能力……など基礎的な能力がなければならない。もちろんこれは読解能力ではない。しかし読解能力
の基礎になる能力であることはまちがいないであろう。
 以上述べたことを図示すると、つぎの図のようになる。

                ┌本質的態度   いま、これらの態度や技能をさらに分析して説明しよう。
        ┌基 本 的 態 度┤
        |       └方法的態度   (一) 基本的態度
  説明的文章の|       ┌本質的技能
  読解能力の全┼基本的処理技能┼方法的技能   国語学習における態度は、課題解決のための言語活動をす
  体構造   |       └機械的技能  るとき、ことばによる判断や思考、言語技能の行使を一定の
        └基本的支持技能        方向に導き、しかも、それを強固に持続し遂行しようとする
状態である。
 文章を読むとき、その内容的価値を直接的に求めようとする態度が本質的態度である。この本質的態度には、書
かれている内容に関心や興味・必要を持つ態度がある。さらに進めば、知りたいという欲求をもって文章にたちむ
かう態度がある。新聞や解説文を読むときは、そこに報じられた情報を読みとって、それに対処しようとする態度
がある。また、百科事典や参考書を読むときには、必要な項目について調べ、それを記録したり発表したりして、
役立てようとする態度がある。
 また、読む活動を形式的な面からみると、一宇一句を正確に読んでいこうとする態度や、書かれている内容につ
いて批判的に読んでいこうとする態度がある。さらに学習活動として、発表するためとか、ノートにまとめるため
という目的で行なう。これらは、読む活動の方法的な構え即ち方法的態度である。

 (二) 基本的処理技能
                                                     38
1 本質的技能
 文章を読解することは、叙述を通して意味をくみとることである。この技能が本質的技能である。
 本質的技能には、まず書かれたことがらを正しく読みとる技能がある。さらに、その中の中心的なことと付加的
なこと、具体的なことと抽象的なこと、原因と結果などを読み分けて、大事な点を読みとる技能が必要である。即
ち要点を読みとる技能である。なお進めば、作者がその文章で何をいおうとしたか、要旨・意図を読みとる技能も
必要である。説明的文章は
 ことがら→要点→要旨・意図
を読みとることが必要である。ふつうわたくしたちは、それらを読みとるために文章を読んでいるわけであって、
これらを読みとる技能が本質的技能である。
2 方法的技能
 要点を読みとる場合、対象である文章(段落)の構成によってちがってくる。大きく分けると、段落の要点は、
(1) 要点文として示されている
(2) 要点文としてはでておらず、段落を要約して要点をつかむ
の二つに分けられる。
 また、文章によって要点は、結論であったり、具体的な事象を抽象したことであったりする。さらに要旨から考
えて、どちらが大事か価値判断によって決めたりしなければならない場合もある。
 このように要点を読みとるためには、
  段落にまとめる技能
  判断する技能
  要約する技能
が必要である。これらの技能は、読解活動としては方法的な技能である。
                                                     39
3 機械的技能
 さらに、読解活動のうち、意味理解と切りはなした形式面を考えてみると、
 「語として読む技能」「文として読む技能」「すらすら読む技能」「速く読む技能」「音読する技能」「黙読す
る技能」
が必要になってくる。もちろん、語として読む。文として読むことは、意味理解を切りはなして指導することはで
きないが、語として読む場合は、アイ・スパンの間題など、意味理解と関係なく、機械的にくり返すことによって
身につく技能がある。本質的技能、方法的技能の心的活動に対し、これは、生理的・身体的な活動の部分である。
これらの技能を総称して、機械的技能と呼ぶ。

 (三) 基本的支持技能

 さらに読解活動のいちばん基本となるものは、文字を読む、語を理解する、文法を理解することである。これら
の能力がないかぎり、読解活動は展開されない。このような技能は、基本的な支持技能である。

 (四) 基礎的能力

 文字を読む、語を理解する、あるいは要点を読みとる、要旨を読みとる、などの読解力をさらに深く考えていく
と、その基底には人間の一般的な能力がある。
 言語操作が人間の知能と関係するといわれる理由がここにある。その基礎的な能力には、つぎのようなものが考
えられる。
(1) 刺激に対して反応する能力
                                                     40
                  ┌関心・興味・必要
            ┌本質的態度┤
    ┌基 本 的 態 度┤     └欲求
    |       |                   ┐
    |       |     ┌正確に読む        |
    |       └方法的態度┼批判的に読む       |
    |             └つぎの学習活動に役立てる |
    |              ために読む        |
    |                           |
    |             ┌ことがらを読みとる技能  |
    |       ┌本質的技能┼要点を読みとる技能    |     ┌刺激に対して反応する能力
    |       |     └要旨・意図を読みとる技能 |     ├刺激を選択する能力
    |       |                   |     ├概念操作の能力
説明的 |       |     ┌段落にまとめる技能    |     ├筋道をたてて考える能力
文章の─┼基本的処理技能┼方法的技能┼判断する技能       ├基礎的能力┼判断する能力
読解能 |       |     └要約する技能       |     ├推理する能力
力   |       |                   |     ├直観的に意味をとらえる能力
    |       |     ┌語として読む技能     |     ├全体を要素的に分析する能力
    |       |     ├文として読む技能     |     └要素を体制化する能力
    |       └機械的技能┼すらすら読む技能     |
    |             ├速く読む技能       |
    |             └音読・黙読の技能     |
    |                           |
    |       ┌文字を読む              |
    └基本的支持技能┼語を理解する             |
            └文法を理解する            ┘
                                                     41
(2) 刺激を選択する能力
(3) 概念操作の能力
(4) 価値判断の能力
(5) 筋道をたてて考える能力
(6) 推理する能力
(7) 直観的に意味をとらえる能力
(8) 全体を要素的に分析する能力
(9) 要素を体制化する能力
である。
 以上をまとめて一覧表にしたものが前ページの図である。
 読解能力を養成する場合には読解能力の全体構造を認識し、その相互関連性を考えていかなげればならない。


     二 読解能力の系統はどう立てたらよいか


 基本的な処理技能のうち本質的技能と方法的技能について、それぞれの技能の系統を考えてみる。

 (一) 書いてあることがらを読みとる技能

 書かれていることがらを読みとる系統を考えるには、児童の認識の発達に即して考えていかなければならない
                                                     42
 今、具体的に、二年生の教材について考えてみよう。

    ヘリコプター
 @ ひこうきも、ヘリコプターも、人やにもつをのせて、空をとびます。
 A ひこうきは、とおくまでとぶことができます。けれども、空中にとまっていることができません。また、ひろいひこうじ
  ょうがなければ、とびあがることもおりることもできません。
 B ヘリコプターは、あまりとおくまでとぶことはできません。けれども、空中にとまっていることができます。また、ひろ
  いひこうじょうがなくても、とびあがることもおりることもできます。
 C ヘリコプターは、いろいろなしごとにつかわれます。
  うみでふねがしずみかけたとき、ヘリコプターで、ふねの人をたすけに行くこともあります。ヘリコプターを空中にとめて、
  ふねになわばしごをおろすのです(以下略)

 初めの段階では、「ひこうきも、ヘリコプターも、人やにもつをのせて、空をとびます」という段落を読めばひ
こうきは人や荷物をのせて空をとぶんだ、ヘリコプターも同じように人や荷物をのせてとぶんだという意味を、書
いてあるとおりに読みとっていく。
 つぎには、一番めには飛行機もヘリコプターも人や荷物をのせて空をとぶこと、二番目めは飛行機のよい点わる
い点、三番めにはヘリコプターのよい点わるい点、というように順序に従って意味を読みとっていく。
 さらに、@では飛行機とヘリコプターの共通点、Aでは飛行機のこと、Bではヘリコプターのこと、とくぎりを
つけながら書かれたことがらを読みとっていく。
 さらに、その上の段階では細かいところに注意しながら読んでいくし、筋道や文脈に即して意味を読みとってい
く。
 このような点から考え、書いてあることがらを読みとる技能の系統は、つぎのように考えられる。
                                                     43
(1) 書いてあるとおりに読みとる技能
(2) 順序に従って意味を読みとる技能
(3) くぎりをつけて読みとる技能
(4) 細かい所に注意して読みとる技能
(5) 筋道をたてて意味を読みとる技能
(6) 文脈に即して意味を読みとる技能

 (二) 要点を読みとる技能

 要点を読みとる技能は、対象である文章・段落の構造や、発問によって、その系統を考えることができる。
 たとえばつぎのような一年生の教材について考えてみよう。

@ぞうは ものをたべるとき はなをつかいます。Aりんごなどをなげて やると はなの さきで さがしあてます。
Bそのりんごをつかんで くちに ほうりこみます。
 

 この段落の要点を読みとらせるとき、「ぞうはどんなときはなをつかいますか」という課題を与えて読ませる。
そうすれば、@ABの文から「ものを食べるときつかう」と読みとることができる。これがこの文章の要点である。
これは課題に答える部分を読みとる技能であり、要点を読みとる技能の初歩段階である。
 また、この段落を読んでぞうのはなのつかい方ということが読みとれればこの段落の話題を読みとったことにな
る。これはやはり要点を読みとる技能の系列である。
 さらに、書かれていることがらから判断して要点文をみつける技能に発展する。
 また、要点文が示されていないものについては、節意や要旨・意図をふまえ、段落を要約して要点をつかむよ
                                                     44
うになる。
 要点を読みとる技能は、つぎのような系統になる。
(1) 課題に答える部分を読みとる技能
(2) だいたいを読みとる技能
(3) ことがらに即して要点を読みとる技能
(4) 節意に照らして要点を読みとる技能
(5) 要旨・意図に照らして要点を読みとる技能

 (三) 要旨・意図を読みとる技能

 要旨・意図を読みとる技能は、学習指導要領では五年生から出てくる。
 要旨・意図も文章によって、主題文として表現されているものとそうでないものがある。また、主題文として表
現されていなくとも、各段落の要点をおさえていけば、意図が読みとれる場合と、叙述の裏にかくされている場合
とがある。この点から考えて、意図を読みとる技能の系統はつぎのように考えられる。
(1) 叙述に即して意図を読みとる技能
(2) 要点をおさえて意図を読みとる技能
(3) 叙述の裏にある意図を読みとる技能

 (四) 要約の技能

 要約の技能の系統は何を要約するか、という点から考えてみた。
                                                     45    

 大むかしから現在まで、日木人の手になった、すぐれたものはたくさんありますが、ひらがなとかたかなの考案は、
とりわけすばらしいものと言えるでしょう
。 

 この文の大事なことを読みとると、「日本人の手になった、ひらがなかたかなの考案は、とりわけすばらしいも
のと言える」となる。これは、文を縮約して、大事なこと、中心になることを読みとっているわけである。
 また、つぎのような段落の要点を読みとる場合にも要約の技能を働かせる必要がある。

 漢字は、むかし、中国から日本へ伝わってきたものです。それで、漢字には、もとの中国の発音に近い音で読む読み
方があります。たとえば「早春」を「ソウーシュン」と読むのは、その例です。このような読み方を「音読み」と言い
ます。音読みのほかに、もとからの日本のことばを、漢字の意味に当てはめた読み方があります。たとえば「春」とい
う漢字は、意味がちょうど日本語の「ハル」ということばに当たるので「はる」とも読まれるようになったのです。こ
ういう読み方を「訓読み」と言います。
 

 この段落を要約すると、つぎのようになる。
  「漢字の読み方には中国の発音に近い音で読む音読みと、日本のことばを、漢字の意味に当てはめた読み方の訓
読みがある」
 さらに縮約すると、「漢字には、音読みと訓読みがある」ということになる。
 これは、文と文の連接関係を考えて縮約するのであるから、前の文を縮約するよりも高度な技能が働く。
 また、さらに文章を縮約して要約文を作ったり意図をつかんだりすることがある。これは、文と文の連接関係を
おさえるうえに、段落と段落の関係を考えて行なわねばならないので、いっそう高度な技能になる。
 要するに、要約の技能の系統は、つぎのように考えられる。
(1) 文を縮約して、大事なこと、中心になることを読みとる技能
                                                     46
(2) 段落を縮約して要点を読みとる技能
(3) 文章を縮約して意図を読みとる技能

 (五) 批判的に読む技能(判断の技能)

 批判的に読むという技能は、学習指導要領には六年生に、「書かれていることの中の事実と意見を判断して読む
こと」とある。これは技能の系統は、判断しながら読む技能であって、ことがらを読みとるときも要点を読みとる
ときも働く技能である。この系統を考えると。つぎのようになる。
(1) ことばの具体的な意味を読みとる技能
(2) 書いてあることの異同を読み分ける技能
(3) 書いてあることがらの関係を読み分ける技能
(4) 要点と細部との関係を読み分ける技能
(5) 要点と要点との関係を読み分ける技能
(6) 事実と意見を区別して読む技能
(7) 自分の考えと書いてあることとを比べながら読む技能
(8) 自分の知っていることと書いてあることとを比べながら読む技能


     三 読解能力はどのように発達するか
                                                     47
 読解能力の発達の研究は、これまで心理学者や、国語教育の研究者によって行なわれてきた。
 たとえば「読みにおける知覚、特に眼球運動の発達」や「読み物の学年発達」「読解技能の発達」「文字力・語
い力・文法力の発達」などがある。
 特に国立国語研究所においては、一九五三年より言語能力の調査研究を行ない、「低学年の読み書き能力」以下
中・高学年の言語能力の発達の研究報告がある。それを見ると、言語能力はどのように発達するかがつかめる。
 わたくしたちの研究グループも、説明的文章の読解技能のうち。要点と段落の技能について、昭和四十年五月か
ら昭和四十一年の三月まで実験授業や、テスト法によって調査研究を試みた。しかし、調査期間も短く、一か月二
回の研究会であるため、十分な調査もできなかったが、その概要を紹介しておく。

 (一) 読みの構えの発達

 児童が文章を読むときどのような読みとり方をするかという点を調査してみた。
 これは、教材文を一読させて、わかったことは何かという指示で書かせ、あとでそれを分析してみたものである。
 この結果から考えられることをまとめると、二・三年生は、部分的、断片的なとらえ方をする児童が多い。特に
文章を読んで自分の生活経験や知識としてあることがらに関係したことを、わかったこととして書き出している。
 しかし。要点文として段落の中にはっきり表わされている場合は、二・三年生の児童も、要点を読みとって書き
出している者が、つぎのような割合であった。
 二年 三二・四%、三年 四四・二%、さらに四年生になると、五六%の児童が要点を書いている。
 五年生になると要旨に反応する児童がふえてきた。しかし、四〇%程度である。
 このことから、三・四年生になると、文章を読むとき、要点的にまとめて読もうとする構えが出てくることが考
えられる。
                                                     48
 (二) 段落の技能の発達

 一年三学期になると、意味のまとまりと、そうでないものを見分けることのできる児童は七〇%程度になってき
た。これは段落が意味のまとまりであるということから、段落の技能の初歩段階と考えてよいであろう。
 また、文章の中で指定したことがどこからどこまでに書かれているかという問題では、正しく区切れた児童は三
五%程度であった。
 二年生になると、説明されたことがらの違いによって段落にまとめることのできる児童が六〇%近くあったが、
場面の違いによって段落にまとめることは、一五%ぐらいで、無理があるようであった。
 それが、三年生になると場面の違いによって段落にまとめられる児童が四五%に上昇してきた。
 四年生以上の学年では場面・時間・説明されたことがらの違いなどのテスト問題によって調査したが、段落にま
とめて読む技能は顕著な発達をみせなかった。

 (三) 要点を読みとる技能の発達

 要点を読みとる技能は、段落構造によってちがってくる。
 要点文が段落の初め(頭括型)か、終わり(尾括型)にあり、要点と細部の関係が明瞭なものであれば、二年生でも
六〇%前後の児童が読みとることができる。この場合、要点を問う場合。内容的な設問をした場合であって、形式
的に、「大事な文はどれか」とか、「まとめた文はどれか」というような設間で調査したのではない。
 要点文が示されていても、段落の中ほどにある場合は、前の場合とちがって高度な技能が必要のようである。
 それは、つぎの結果で推察することができる。要点文が段落の中ほどにあるものでは、三年 三五%、四年 四
                                                     49
二%、五年 五五%、六年 六二%という結果であった。
 要点文が段落の中にない場合は、段落を要約して要点を読みとるわけである。この調査の結果は、前より低い割
合を示している。
 三年 一五%、四年 三〇%、五年 四五%、六年 五〇%
 だいたいこの能力は、四年生ごろから芽生えてくるようである。
 このように、要点を読みとる技能の発達といっても、対象である段落構造によって読みとる技能に相違がある。
 また、ことがらの関係によってもちがってくる。
 価値の軽重関係を判断して要点を読みとる場合。
 ことがらの包摂関係を判断して要点を読みとる場合
 抽象度の度合を判断して要点を読みとる場合
 このような点を考慮して発達を考えていく必要がある。


     四 各学年で養成する技能にはどんなものがあるか


 各学年で養成する技能は読解能力の構造と読解能力の発達や系統を考え、つぎの表のように計画した。
 ここにあげたものは主として、基本的処理技能のうちの本質的技能と方法的技能及び機械的技能であって支持技
能にはふれていない。
 この表を見ると、学習指導要領とはややちがっている点もある。
 たとえば学習指導要領では要点を読みとることが三年の指導すべき事項にでているが、わたくしたちは、説明的
                                                     50

学 年 1  2  3  4  5  6 





 



書いてあるとおり
に読みとる技能
 
順序に従って意味
を読みとる技能
 
意味のくぎりをつ
けて読みとる技能
 
細かいところに気
をつけて読みとる
技能
 
文脈や筋道に即し
て意味を読みとる
技能
 
 

 

 
課題に答える部分
を読みとる技能
 
だいたいを読みと
る技能
 
ことがらに即して
要点を読みとる技
能(要点文が段落
の初めと終わりに
ある)
 
節意に照らして要
点を読みとる技能

段落を要約して要
点を読みとる技能
 
要旨・意図に即し
て要点を読みとる
技能
 




        叙述に即して要旨
・意図を読みとる
技能
 
要点をおさえて要
旨・意図を読みと
る技能
 





  



  
  書いてあることの
異同を読み分ける
技能
 
説明されているこ
とのちがいによっ
て段落に分かれる
ことに気づく技能
 
ことがら・時間・
場面のちがいによ
って段落にまとめ
る技能
 
要点と要点の関係
をおさえて段落に
まとめる技能
 
 同 左 

 
    文を圧縮して大事
なことや中心にな
ることを読みとる
技能
 
要点を読みとるた
め段落を要約する
こと
 
文章の要旨・意図
を読みとるため文
章を圧縮すること
 
 同 左 


(判
断)
ことばの具体的意
味が理解できる技
 
書いてあることが
らの関係を考える
技能
 
要点と細部との関
係を読み分ける技
 
要点と要点の関係
を考えながら読む
技能
 
事実と意見とを区
別して読む技能
 
自分の考えや知っ
ていることと比べ
て読む技能
 





 
意味がわかるよう
に音読する技能
 
すらすら音読する
技能
 
なめらかに音読す
る技能
 
発音・声量・アク
セント・イントネ
ーションを正しく
音読する技能
 
   

 
    くちびるを動かさ
ないで黙読する技
 
音読より速く読む
技能
 
音読より速く正確
に読む技能

 
 

                                                     51
文章の読解では、要点を読みとることが本質的な活動であるため。この技能を分析して一年生から提出している。
段落についても同じである。
 また、批判的に読むことは、学習指導要領には、六年生に事実と意見を読み分けることとあるだけであるが、批
判的に読む技能は、判断する技能と考え、その系統を考えて、一年生から六年生までに配列した。


                                                     52
第V章 読解教材の科学的な見方

        ――読解教材と読解能力・読解教材の内容・
          構造とその発達はどうなっているか――


     一 読解能力と読解教材との関係をどうとらえるか


 (一) 読解能力と読解の抵抗

 読解能力は、読解の抵抗として文章(教材)の中に存在する。すなわち、文字を読む力は、読めない文字を読むこ
とによって身につく。語句を理解する力も、新出語句・難語句・重要語句などという意味のわからない語を理解す
ることによって身につく。文法力は、新しい文型・語の用法などとして存在する。
 読解の技能も、文章読解の抵抗として存在する。要点を読みとる技能は、要点を読みとることの抵抗として、困
難性として存在する。また、文章構成の難易、思考過程の秩序・難易として存在する。態度は、題材に対する構え、
興味・欲求・必要として存在する。
 要するに、読解能力は、読解に抵抗のある文章(教材)を読ませることによって伸びる。

 (二) 読解能力と読解教材
                                                     53
 読解能力は、具体的には読解教材の中に学習事項として含まれている。すなわち、文字・語句・文法・技能など
のすべてが読解教材の中に具体的に含まれている。
 たとえば、新出漢字・読替漢字・新出語句・新しい文型・文法事実・学習事項としての技能などがそれである。
 これは要するに、教材の機能としての能力養成の面である。このような、教材のもつ能力養成の面を明らかにす
るのが教材研究の一面である。したがって、教材研究では、文字・語句・文法・技能・文章構成のすべてにわたっ
て、それを文字抵抗(負担)、語い抵抗(負担)、読みの技能の抵抗として研究することがだいじである。


     二 読解内容の系統とその発達はどうなっているか


 (一) 読解内容(題材)の系統

 説明的文章の読解は、読むことによって知識・情報を獲得し、その過程で読解力を養成することは前述したとお
りである。この場合、どんな知識・情報を身につけるかという、読解内容の問題がある。説明文は、当然、何かに
ついて説明・解説したり、何かについての情報を提供したりする。その「何か」が「題材」の間題である。したが
って、どんな題材を選ぶかということは、説明的文章読解のだいじな契機である。
 ところで、国語科で取り上げる知識は、専門的な知識ではなく、一般的な知識、つまり教養的知識である。たと
えば、地理や歴史や理科などの専門的な知識ではなく、もっと一般的な教養的な知識である。ここに国語科と他教
科との内容の考え方に一つの線が引ける。
 また、国語科では知識の体系を与えるのではない。たとえば、科学知識の体系、道徳的知識の体系というように
                                                     54
体系的知識を与えるのではない。ここにも国語科で与える知識の限界がある。
 さらに、国語科では、単なる知識を与えるのではない。物識りをつくるのではない。教養的知識、価値のある知
識、それによって知性を磨き、人間性の開発、伸長に役だつ知識である。
 つぎに、題材選定の基準をあげておく。
(1) それについて知りたいという興味・関心や欲求をもっているもの。
(2) 生活上、学習上必要あるもの。
(3) 教養的価値のあるもの、知性を磨き育てるにたるもの。
(4) 子どもの能力、理解の発達に合っているもの。
(5) それを中心にして、効果的な学習活動が営まれるもの。
 現行教科書の題材を系統的に一覧表にしてみるとつぎのとおりである。(昭和四二年度使用)

 学年 一  年  二  年  三  年  四  年  五  年  六  年 
分類 
動 物
 
oふゆのどうぶつ
 えん(M)
oむしのはなし
 (T)
oどうぶつのはな
 し(N)
oやくにたつどう
 ぶつ(K)
oどうぶつえん
 (T)
 
oみつばち(M)
oどうぶつのえさ
 (T)
oさるのほっぺた
 (K)
oネズミのは、ネ
 コのつめ(N)
 
oめずらしい魚
 (M)
oクマの話(M)
o犬の話(K)
o鳥のまねはでき
 ない(N)
o動物のちえ(D)
 
o動物のへんそう
 (G)
o犬の鼻はぬれて
 いる(N)
oヒグマ(D)
 
o魚の感覚(G)
o動物の能力(T)
oチンパンジーの
 ちえ(D)
 
 
植 物
oくだもののはな
 し(G)
 
oリンゴとミカン
 (M)
o秋のくだもの
 (K)
 
oめづらしい植物
 (T)
 
o季節と植物(K)     
天 文
気 象
自 然
 
oてんきのはた
 (T)
 
oたき(T)
oたんぽの水(T)
 
o水のいたずら
 (G)
 
o天気とわたした
 ちの生活(K)
oつゆと生活(M)
o飛行機雲(N)
 
o海の底(M)
o流れ星(T)
 
oけむりのゆくえ
 (M)
o深海をさぐる
 (G)
o雪あらし(K)
 
交 通
通 信
 
oのりもの(K)
oふみきりのはた
 (T)
 
oヘリコプター
 (N)
oきせん(S)
oとうだいの話
 (G)
 
o船の進歩(N)
oゆうびんのはじ
 まり(G)
 
o橋(M)
o車が発明される
 まで(T)
o列車の速さ(T)
oゆうびん切手
 (M)
 
o橋(T)  o通信の発達(M) 
社 会
文 化
歴 史
 
oいろいろなあい
 さつ(N)
 
oいろいろなあい
 ず(D)
oしょうぼうしょ
 (K)
 
o合い図の話(M)
oむかしのとけい
 (K)
oとけいの話(D)
oいまのしょうぼ
 うむかしのしょ
 うぼう(T)
 
o文字ができるま
 で(M)
 
oわたしたちの文
 宇(M)
o記号(T)
 
oはにわ(T)
o正倉院(M)(T)
oテレビ・ラジオ
 とわたしたちの
 生活(G)
 
国 土
 
    o日本にはなぜ木
 で作った家が多
 いか(T)
 
o鳥取砂丘(G)
o大阪・京都(G)
 
o新しい農地(M)
o八郎潟干拓(D)
o美しい国土(S)
 
o耕される鳥取砂
 丘(T)
oいかるがの里
o京都の祭り
o鎌倉(K)
o佐久間ダム(D)
oけむりの町(O)
o黒部川第四発電
 所(O)
 
55
美 術
 
          o建築の美しさ
 (G)
o北斎と広重(D)
 
実 験
観 察
工 作
 
oあぶりだし(S)
oカレンダーづく
 り(M)
oおかざりをつく
 る(S)
 
o月の観察(T)
oしやぼん玉(K)
oかざぐるま作り
 (K)
oかるた作り(K)
o「さるのつなわ
 たりきょうそ
うの」作り方
oひこうきの作り
 方(K)
 
o銀のたまご(G)
o水のいたずら
 (G)
oリボン人形の作
 り方(T)
o紙はん画の作り
 かた(G)
 
     
言 語        o方言と標準語
 (T・K)
 
oことばの由来
 (N)
o文字の話(T)
o日本の文字(K・
 N)
 
o放送とことば
 (M)
oことばの成りた
 ち(G)
oはなしことばの
 特色(K)
 

                                                      56
 (二) 題材の発達

 前掲の題材表から、題材を発達的、段階的に考察してみる。
 (1) 一・二年で説明している知識は、おおまかな知識である。たとえば、動物や植物や乗り物などについての種
類や生態・機能などのごくおおざっぱな知識――リンゴはどんな所でとれるか、いつごろ花が咲いて、どんな実が
                                                     57
なるか、あかいのや青いのや、大きいのや小さいのやいろいろな種頬がある。汽船には、客船と貨物船とタンカー
などがある。汽船はお客を運ぶ船、貨物船はいろいろな荷物を運ぶ船、タンカーは油を運ぶ船である、といったよ
うなおおまかな知識が述べられている。
 (2) 三年の文章では、○○の話、○○の作り方、というような、やや概説的な知識、少しまとまった知識が説か
れている。しかし、その知識の背後にある主意が暗示されている。「めずらしい植物」の文章では、こんなめずら
しい植物がある。こんな不思議な植物もあるというように説明して、自然の神秘、生命の不思議さというものを暗
示している。知識のうらにあるものがのぞかれる。そういった知識が説かれている。
 (3) 四年の文章では、概説的な、少しまとまった知識が、歴史的、発達的に説かれているものが出てくる。たと
えば、ことばの歴史とか、文字ができるまでとか、あかりが発明されるまで、といったような文化史や科学史のご
くおおざっぱなものが扱われている。その場合でも、単に、文化史的、科学史的な知識を理解させるだけでなく、
そのうらにある科学を動かし、文化を形成する人間の知恵、人間の能力、あるいは、努力・協力というようなもの、
また、人間が生きるために必要な知恵がそこに働いていること、などをのぞかせている。
 (4) 五年の文章では、やや高度のまとまった知識――海底の科学、国土開発、科学の進歩というような知識が説
かれ、科学を愛し、国土を愛する精神に培うようになっている。
 (5) 六年の文章になると、いっそう広く、深い知識が述べられ、あるいは理想が説かれている。
 ごくおおまかないい方であるが、このような知識の発達がある。事実のおおまかな認識、事実のややまとまった
認識、事実のやや高度の認識、事実の示す意味の認識、亊実のうらにある意味、事実を統一する法則・原則等の認
識へと発達的に扱われている。
 この知識の発達の段階は、子どもたちの理解の発達と一致している。すなわち。低学年の包括的な理解・認識、
それがおおまかな知識と結びつく。中学年の説明的な理解、客観的認識は、概括的な知識、歴史的な知識と結びつ
いてくる。さらに、高学年の抽象的理解、理性的認識は、具体的なもののうらにある主意、主題の読みとりと結び
                                                     58
ついている。


     三 読解教材の構造とその発達はどうなっているか


 (一) 読解教材の構造

 説明的文章の構造は、説明しようとする知識や情報の構造と、その説明のしかたの両面から規定される。
 低学年ではおおまかな知識、中学年では概括的知識、高学年では知識と主意・主題をみる。こう考えると、当然
文章の構造も、与えようとする知識・情報の構造(価値の構造)と深い関係がある。つまり、知識の構造を順次説明
すれば、知識の構造がそのまま文章の構造になる。つまり、文章は、本質的に、知識の構造に合った論理的構造を
とるようになる。
 また、文章は、知識を説明する説明のしかた、形式にも規定される。ある構造をもった知識を、どんな順序に、
どんな仕組みで、どんな段階を立てて説明すればよくわかるかという説明のしかたの面からも文章の構造は規定さ
れている。これを心理的構造と呼んでおく。
 つぎに、第一段落だけについて、知識の構造によって文章構造が決められている文章と、説明の方法によって文
章構造が決められている文章と、二とおりの文例をあげておく。
 論理的構造
 oたなばたはほしのおまつりです。(一年)
 oきゃくせんはおきゃくをはこぶふねです。(一年)
                                                     59
 o雪国の子どもの冬のたのしみは雪とあそぶことです。(二年)
 oこれはかもつれっしゃです。(二年)
 oわたしたちのいえはえきのちかくにあります。(二年)
 oここは公園です。(三年)
 o世界で一ばん高いとうができました。それは東京タワーです。(四年)
 oこの写真は、北海道にある阿寒国立公園の中のめあかんだけから見たけしきです。(五年)
 oわたしたちが文章を書くときに使う文字には、漢字、ひらがな、かたかな、ローマ字の四種類がある。(五年)
 o京都は、今から四百年ほど前、桓武天皇がここに平安京を作って政治をとられて以来、明治になるまで、久し
 い間、日本の都であったところである。(五年)
 心理的構造
 oみなさんはカンガルーをみたことがありますか。カンガルーはみなみのあたたかいくににすむどうぶつです。
 (二年)
 oみなさんはもんしろちょうが、たまごを生むのを見たことがありますか。(三年)
 o虫を取って食べる植物があるといったらびっくりする人もいるでしょう。ところがそういう草がほんとうにあ
 るのです。(三年)
 oわたくしたちの生活になくてはならない火は、どのようにして発明されたのでしょうか。(三年)
 o秋の夜空に、あわい光の尾を引いて、すうっと消えていく流れ星、一体あの星は、なんであろうか。そして、
 どこへ飛び去るのであろうか。(五年)
 o高い山をくり拔いた鉄道のトンネルや大都市の地下を通る地下鉄ならば、今では別に驚くことはない。ところ
 が、海の底にトンネルがあり、しかも、その中を交通機関が動いていると聞けば、だれもがちょっとびっくり
 するにちがいない。しかし、そういうトンネルが日本にもある。(六年)
                                                     60
 (二) 構造の発達

 前述したように、説明文の構造は、説明しようとする知識の構造と、それを説明するしかたとによって規定され
る。それが説明文の構造を決定する基本的な要素である。
 そうすると、当然そこに、一年生に適切な説明文の構造はこうあるべきだという基本的な、典型的な文章構造が
考えられる。また、高学年の児童に適切な説明文の典型的な構造が考えられる。
 そこで、とくに第一段落についていえば、低学年では、「知っていますか」「見たことがありますか」という発
想よりも、「たなばたはほしのおまつりです」とか、「きゃくせんはおきゃくをはこぶふねです」などのように、
説明しようとする話題をおおまかに、包括的に述べるほうがよい。これは、とくに低学年児童の認識のしかたが包
括的であることと一致するからである。まず、「○○へお使いに行きました」と経験を包括的にとらえて、つぎに、
 「何を買った」「それからどうした」というように説明していく。それが低学年の思考の型である。
 中学年では、説明的理解ができるようになるから、「これを知っていますか」「どう思いますか」「なぜでしょ
うか」というような興味や求知心に訴えるものが適当である。
 高学年では、抽象的理解ができるようになるから、むしろ。形式的に構えを作るのではなく、知識を筋道を立て
て理解させるような文章構造をとるほうが望ましい。


     四 読解能力を中心とした読解教材の研究はどのようにしたらよいか


                                                     61
 (一) 教材研究の観点

 読解能力を中心とした教材研究は、教材の能力養成の機能を中心に、つぎの観点によって研究することが適当で
ある。
 (1) この教材(文章)の構造過程はどうなっているか。
 (2) この教材(文章)の読解に必要な態度はなにか。
 (3) この教材(文章)の読解に必要な処理技能はなにか。
 (4) この教材(文章)の読解に必要な支持技能はなにか。

 (二) 文章の構造過程

 文章の構造過程は、文章構成の基本原理に即して研究する。
 文章構成の基本原理の一つは、論理的構造過程である。その文章で説明・解説しようとする知識・情報・思想等
を構成している論理―知識の構造・情報の構造・思想の構造を貫いている論理に従って構造化する。説明文の中
には、この論理の展開だけによって構成されているものがある。
 文章構成原理の他の一つは説明の心理による心理的構造過程である。その文章で説明することがらの論理を展開
する場合、読み手の関心や興味、必要、欲求を喚起して読解に参加させたり、課題や問題を設定して思考の手がか
りや思考の過程に方向を与えたりする。また、読み手の想像・推理を誘って予想を立てたり、つねに読み手に、意
味のまとまり・発展・展開・論理等を追求させ、安心、強化が得られるように誘導したりする。
 このように、論理的構造過程や心理的構造過程による文章の構造過程を図式化する。この場合、つぎのように、
                                                     62

文章の基本的構造や段落の機能・構造などを明らかにし、それを図式化・記号化しておく。教材研究をする場合はそ
れに照らして構造化するとべんりである。
1 段落の機能
 (1) 形式的機能
 段落は、 一般的にいって、つぎのような形式的機能をもっている。それを記号化するとつぎのようになる。

@ 起こす機能――話題の提示・紹介・概括など文
           章を書き起こす段落。
  
  C 広げる機能――前の段落を受けて、新たに書き起
          こす段落、話題を展開する
 段落、新しい話題を提示す
 る段落。
 
A 受ける機能――前の段落の内容を受けて説明し
          たり、解説したりする段
 落。 
  D まとめる機能――前の段落の内容を受けて総括す
          る段落、前の段落全部の内
 容を受けてまとめる段落、
 結論、要旨、主意等を述べ
 る段落。 
B 並べる機能――前の段落に並べてことがらを述
          べ、説明・解説などをする
 段落。 
   

 これらの機能は、段落相互の関係としてとらえられ、それが、どんな機能であるかは、段落の内容によって決ま
ってくる。また、これらの段落には、「その初めに」「第一に」「第二に」「はじめに」「つぎに」「おわりに」
 「たとえば」「このほか」「また」「しかし」「こうして」「このように」「ところで」 「しばらくすると」
「やがて」など、起こす、受ける、並べる、広げる、まとめるなどの働きをもつ接続の語句をとることがある。
                                                     63
 (2) 意味的機能
 段落は、その意味内容によって、つぎのような機能をもっている。
  @ 話題を提示し、紹介する機能(段落)
  A 話題について、関心・興味・欲求・必要等を喚起する機能(段落)
  B 話題について、問題・課題等を設定する機能(段落)
  C 話題について、要約・概説する機能(段落)
  D 話題についての要旨・主意等を述べる機能(段落)
  E 話題について説明・解説をする機能(段落)
  F 結論を述べる機能(段落)
  G 主意を述べる機能(段落)
  H 意見、感想等を述べる機能(段落)
  I 事件の推移を述べる機能(段落)
  J 場面、背景を述べる機能(段落)
2 段落の構造
 (1) 形式的構造
 段落は、いくつかの文で構成されている。それらの文の中に、とくに段落の中心思想、基本的事項を表わす文が
ある場合がある。それをキイセンテンスと呼んでいる。段落は、このキイセンテンスを中心として構成されている。
また、中心思想、基本的事項を表わす語(キイワード)を中心として構成されている場合もある。
 (2) 意味的構造
 段落の意味は、段落の話題、主意、要点、基本的事項を中心として展開組織されているのがふつうである。
  @段落における要点(基本的事項・中心的思想)の位置
                                                     64
  a 要点を示す文が段落の初めにあるもの
  b 要点を示す文が段落の中ほどにあるもの
  c 要点を示す文が段落の終わりにあるもの
  d とくに要点を示す文がないもの(要約して要点を求める)
  A 段落における意味の構造
 段落における意味の構造は、前述のように要点。基本的事項、中心的思想とそれをささえる意味との関係におい
て構成されている。つまり、説明的文章においては、段落の要点と、それをささえている詳細(細部)との関係を中
心として構造化されている。
 つぎに、段落における要点と詳細との関係を構造過程的にみたものをあげてみる。


  a 要点が、詳細に述べてある個々のことがらを総括
  的に述べているもの
「総括個々のことがら(分節)」の関係――構造化

  
  b 要点が、詳細に述べてあることがらの共通点を抽
  象化して述べているもの
「抽象(上位概念)――具体的事項(下位概念)」の
 関係――構造化

                                                     65

     c 要点が、概括的、概論的に述べていることを詳
  細によってそれを分析的、説明的に述べられて
  いるもの
 「全体分析(分節)」の関係――構造化

これらの意味の構造過程を図式化してみるとつぎのようになる。

   a 総括的――分節的          b 抽象的――具体的        c 全体的――分析的

         

                                                     66




 (3) 文章の構造過程
 文章の構造過程の基本的なものをあげるとつぎのようになる。これは、段落を文章として構成する場合、段落相
互の間の諸関係を類型化して示したものである。実際の文章になるとこれらの型がいりまじっている場合がある。

 @ 関連的構造過程     A 連鎖的構造過程     B 漸層的構造過程 
         
 C 螺旋的構造過程     D 段階的構造過程     E 並列的構造過程 
         

                                                     67
 これらの構造過程は、段落を組織する場合、その内容相互の関係を発展・展開の過程としてとらえその過程を
一貫し、統制する脈絡、法則を抽出して記号化したものである。

 (三) 教材研究の実際

 1 教材 ヘリコプター(日書2年1)
  ひこうきも、ヘリコプターも、人や にもつを のせて、空を とびます。
  ひこうきは、とおくまで とぶ ことが できます。けれども、空中に とまって いる ことができません。また、ひろ
 い ひこうじょうが なければ、とびあがる ことも できません。
  ヘリコプターは。あまり とおくまで とぶ ことは できません。けれども、空中にとまって いる ことが でぎます。
 また、ひろい ひこうじょうが なくても、とびあがる ことも おりる ことも できます。
 ヘリコプターは、いろいろの しごとに つかわれます。
 うみで ふねが しずみかけた とき、ヘリコプターで、ふねの 人を たすけに 行く ことが あります。ヘリコプタ
 ーを 空中に とめて、ふねに なわばしごを おろすのです。
  しまの 人が びょうきに なって、町の大きな びょういんへ、いそいで つれて いかなければ ならない ことが
 あります。こういう ときも、よく ヘリコプターを つかいます。ひこうじょうのない しまでも。おりたり とびあがっ
 たり する ことが できるからです。
  山おくに ダムなどを つくる ときも、ヘリコプターを つかう ことが あります。おもい きかいや ざいりょうを
 はこぶのです。ヘリコプターを つかえば、とちゅうに ひろい みちが なくても はこべるし、山おくの せまい ばし
 ょにも おろすことが できます。
  
  また、ヘリコプターは、はたけに、くすりや たねを。まくのにも つかわれます。
  ヘリコプターは、これから、ますます ひろく つかわれるように なるでしょう。

                                                     68

2 文章の構造過程(下図)



                                                     69
3 この教材の読解に必要な処理技能
 この教材の読解に必要な処理技能は、つぎのとおりである。
 (1) 順序に従って意味を読みとる技能
 (2) だいたいを読みとる技能
 (3) 書いてあることの異同を読み分ける技能
4 この教材の読解に必要な支持技能
 この教材の読解に必要な支持技能は、つぎのとおりである。
 (1) 新出漢字・読替漢字
  ・空(そら) ・町(まち) ・空中(くうちゅう)
 (2) 語句
  ・なわばしご ・ダム
 (3) 文型
  ・………できます。けれども……できません。 ・また………できません。 ・…………できません。けれど
   も……できます。

                                                     70
第W章 読解能力養成の科学的方法

        ――読解能力を科学的に養成するにはどんな方法があるか――

     一 読解の機械的技能の指導法


 (一) 語として読む技能の指導法

1 定 義
 語として読むということは、文字を一宇一宇知覚しながら(逐字知覚)読むいわゆるひろい読みでなく、一まとま
りの文学群をまとめて知覚しながら(逐語知覚)読むことである。つまりことばのまとまりとして読むことである。
 「さくら」を「サ・ク・ラ」と一宇一宇切って読まず「サクラ」というように一目でことばとして読み、同時に語
として認知することである。
2 能力の発達
 語として読む能力は、一年生の入門期の読み方学習において必要な能力である。入学してきた児童は、語として
読む能力をどの程度もっているか、つぎに掲げてみる。
(1) 入門期における読みの実態(『入門期の国語指導』明治図書参照)
                                                     71
@ 調査対象 東京都内五小学校 二二八名
A 調査期日 昭和三十八年四月九日〜十二日
B 調査結果





み 
単    語 い ぬ  さ る  く り  な し  みかん  ほたる  すずめ  へちま 
拾い読み  30.6  33.2  38.2  35.6  39.3  39.7  36.7  38. 2 
語として読む 50.1  50.3  48.7  50.0  50.2  41.5  45.9  43.2 




み  
語    句 ばらの
はな
あかい
くつ
ひろい
みち 
拾い読み  40.6  45.0  38. 0 
語句として読む 37.6  37.6  35.8 

考察
  清音一宇ずつの読みにおいては、どの文字も八〇%から九〇%読めているのに、語として読めるのは、二音節
 語で五〇%、拾い読みが約三二%、他は誤読、読めないとなっている。三音節語では、約四五%が語として読め、
 約三八%が拾い読みとなっている。修飾語を含む語句では、約三七%が拾い読みでなく語句として読め、約四二
 %が拾い読みとなっている。このことから家庭では語としてではなく、一宇一宇の文字の読み方を中心にして教
 えていることが考えられる。また二字か三字を眼球が同時にとらえるのと、五つ以上の文字を同時にとらえるの
 とでは大きな差がある。家庭では、そこまでの訓練はもちろんなされていない。
(2) 入門期以後どのように発達するか
 @ 調査対象 東京都北区立八幡小学校一の二
 A 調査期日 一回 昭和四十一年四月 八日
        二回   〃   六月三十日
                                                     72
 B 調査結果
      語として読む                   語句として読む

単  語 語として読む 拾い読み 
調査月日   4月8日  6月30日  4月8日  6月30日 
い  ぬ  42.9 % 91.4 % 48.6 % 8.6 %
さ  る  40.0  88.6  51.4  11.4 
く  り  31.4  88.6  62.9  11.4 
な  し  37.1  88.6  54.2  11.4 
みかん  34.3  85.5  57.1  11.4 
ほたる  34.3  85.5  57.1  11.4 
すずめ  34.3  85.5  57.1  11.4 
へちま   28.6   88.6   62.9   11.4  
語  句  語句として読む  拾い読み 
調査期日  4月8日  6月30日  4月8日  6月30日 
ばらのはな  25.7 %  85.5 %  65,7 %  11.4 % 
あかいくつ  22.9  85.5  68.5  11.4 
ひろいみち  17.1  85.5  74.3  11.4 

考察
  清音一宇ずつの文字は九一%から八七%ぐらい読めて
 いた。語として読むのは、四月に約四三%から約二九%
 であったのが、六月には、約九一%から約八六%までに
 伸びている。語句として読むは、四月に約二六%から
 
 一七%が読めているのが六月には約八六%読めるようになっている。入学時には二音節語と五音節では相当の
 ひらきがあったが、六月になると、大差なく読めるようになってきている。したがって入学して二、三か月の
 間に、語として読むという能力は、急速に発達する。
3 指導法
 能力の発達の項でふれたように、一年に入学してくる児童は、一字一字の文字は読めるが、その大部分は拾い読
みをしている。語のまとまりとして知覚する読み。逐語知覚の読み方を指導しなくてはならない。いわゆる一目読
み、語型読みなどがそれである。家庭でつけられた拾い読みの習慣をなおす、これが家庭で文字を覚えてきた児童
に最初に行なうべき指導である。また文字の読めない児童には、最初から語として読む指導がたいせつである。つ
                                                     73
ぎにその指導の方法をいくつかあげてみる。
(1) カード法
 語として読むようにするには、最初カードを使うのがよい。「はい」「さくら」のようなカードによって語のま
とまりごとに知覚するように習慣づける。フラッシュカードとして使ってもよい。そして語のまとまりとしてはっ
きり印象づけ、それが記憶されるようにくり返し読む練習をする。
指導例
 @ 入学式 「はい」「はた」
 a 入学式が終了して教室にはいり、座席をきめ、名まえを呼んで出欠席を調べる。
 b 教師が自分の名まえを紹介し、次に児童の名まえを呼ぶから、呼ばれたら「はい」と返事をするように話す。
 c その時「はい」とカードに書いて掲げる。「はい」と返事をしまししょうといいながら「はい」とカードに書
  いてみせる。
 d さあ一度みんなで「はい」と返事をしてみましょう。カードをさす。児「はい」
 e 指名点呼をする。カードをさしながら今のように「はい」と元気よく返事をしてください。
 f 組を確認する。みなさんの組は一年二組です。みなさんが運動場で遊ぶ時にはこの「はた」の所で遊びます。
  青い旗を示しながら、「はた」とカードに書く。みなさんが並ぶ時にもこの「はた」の所へ並びます。この
   「はた」はいつもみなさんといっしょにいます。
oこのように入学第一日において「はい」「はた」という二つの語を文字化してカードを作り、場に応じて反復、
読んで学習させる。これは単なる思いつきでなく、入学第一日の生活の中で最も大事なことばであるので語として
文字化したわけである。児童の全生活の中から最も機能的なことばをとりあげてプログラムを編成しておくことが
入門期においては特に大事なことである。ここでは「はい」ということばは、単なる孤立したものとして学習する
のではなく。児童と教師のコミュニケーションの成立に生きて働くことばとして学習されるわけである。また「は
                                                     74
た」ということばも自分たちの組の「はた」、それは青い「はた」であるところの「はた」であるという認識のも
とにカードを読むことになる。
 A 入学第二日 「なまえ」「へんじ」「いす」「つくえ」「まえ」「となり」
 a 点呼をとる。きのうのカード「はい」を示しておき、名まえを呼ばれたらといいながら「なまえ」とカード
 に書き、「はい」のカードを示して読ませ、「はい」とげんきに「へんじ」をしましょう。といいながら「へん
 じ」のカードを書く。 なまえ はい へんじ の三つのカードを並べて示し読ませる。読んで意味がわかった
 ら、そのように行動させる。
 b 整列する。「つくえ」に なまえ が書いてあるでしょう。「となり」の人の なまえ を覚えましょう。自
 分の「まえ」の人のなまえも覚えましょう。これから並びます。といって となり まえ のカードを作り、読
 ませ、実際にとなりの人、まえの人を覚えさせる。
  それではたちなさい。「いす」をきちんと入れましょう。と指示し いす をカード化する。読ませる。実際に
 いすがきちんと入れられたか確かめる。では となり の人と手をつなぎなさい。 はた のところへ集まりま
 しょうといってもう一度 「となり」 「はた」 を読ませる。
o以上のように入学二日目には、一目目に提示した はい はた を再び生活と結びつけて読ませる。「なまえを
よばれたら、はいへんじをする。」という毎日くり返される経験の中で必要な語である なまえ へんじ はここ
でいっしょにまとめて学習させる。はい というカードとともに有機的にとらえてそれを語として読ませ、その意
味も学習させる。やがてのちにこれらの語が「なまえをよばれたらはいとへんじをしましょう」という文に発展し
ていくわけである。
  いす つくえ まえ となり も一連の経験の中からとらえて学習させる。こうしてつぎつぎとカードが増え
ていく。これらのカードを拾い読みでなく語として正しい発音で一目で知覚して読めるようくり返し学習させてい
く。こうすると文字の読める児童も初めて学習する児童も同一点にたって学習することができる。
                                                     75
 B 入学三日以後においても、こうして生活の中からたくさんの語をカード化していく。たとえば学校めぐりを
  して校庭で見たことを話させる。ことり いけ すなば さくら おとこ おんな かめ うさぎ など
  話の中に出てきた語をカード化する。また、書いた絵について話すという経験の中からは うち あかいはな
  きいろいはな しろいはな ふね さかな やま あおい など、どんどんカード化し、語として読ませて
  いく。また、これらをプリントして児童にもカードを持たせ、カードとりごっこをしたり、いろいろくふうし
  て語として読むという読解につらなる基礎をしっかり身につけさせる。
 C 教科書のとり扱い
   教科書の単純な語をさしえと対応して、文字を見ないで、暗記して読んでしまう、いわゆる「そらよみ」の
  傾向がある。これを防ぐために、教科書の語を印刷してやってカードにする。教師も大きな掲示用のカードを
  作る。
 a 教科書と同じようにカードを並べる。
 b 黒板に大きなカードを並べさせる。(指名)
 c 自分のカードを読んだり、黒板のを読んだり、見くらべる。
 d 順序をかえて教師の示したカードをとったり読んだりする。また教師の発問にこたえるカードをとったり、
  読んだりする。
 e 語の意味を考え、理解する。
oこのように教科書教材をカード化することは、興味や変化をもたせ、文字をよく見て読む態度を身につけさせる
ために大事な一方法である。
A はさみ読み法
  文章を読んでいくうえで指で一つの語のまとまりをはさんで読んでいく方法であゐ。
指導例
                                                     76
 「こいのぼりを つくりました。
 たけの さきに つけて はしりました。
 一応わかち書きになっているところまでをはさんで読む。これは簡単な文章か多いので記憶によって読んでしま
 う一年生の読みを、文字を見て読むという態度をつけさせるためにたいせつである。なお自分が読む場合のほか、
 友だちが読む時もそのとおりはさみながら聞く。教師はその時机間巡視をしていくと、読めない児童は、そのと
 おりさしていないから、読みの実態がわかり、個別指導も行なえる。


 (二) 文として読む技能の指導法

1 定 義
 ふつう、文章は、書かれている意味のまとまりごとにまとめながら読んでいく。文として読むということは、意
味のまとまりを一つのセンテンスとして読む自然な読みで、意味の通じる読みをするということである。「ばらの
はながさいています」という文で、この文の表わす意味を一つのまとまりとして続けて自然に読み、ばらのはなが
さいているという文の意味を理解する読みである。
2 能力の発達
 一年に入学してくる児童の読みの実態は、「語として読む」の項においてのべたが、文としてはどの程度読める
のであろうか。
(1) 入門期における読みの実態(『入門期の国語指導』明治図書参照)
 @ 調査対象 東京都内五小学校二二八名
 A 調査日  昭和三十八年四月九日〜十二日
 B 調査結果
                                                     77

文  文として読む  拾い読み 
うたをうたいましょう  31.0 %  46.7 % 

考察
  語として読むは、五〇%前後読めていたのに、文として読むとなると三一%とずっと少なくなっている。拾い
 読みは逆に四六・七%と非常に多くなっている。このことは、文としてまとめて読む訓練はされていないという
 実態を示している。
 (2) 入門期以後の読みの発達
  @ 調査対象 東京都北区立八幡小学校一の二
  A 調査日時 一回 昭和四十一年四月 八日
         二回   〃   六月三十日
  B 結果

文  文として読む  拾い読み  読めない 
うたをうたいましょう 
四月 八日  22.9 %  68.5 %  8.6 % 
六月三十日  88.6 %  8.6 %  2.8 % 

                                                     78
考察
  入学してきた時は約二三%が文として読み、約六九%が拾い読みをしていたのが、六月末には、八九%が文
 として読み、拾い読みは、約九%に減少している。
読速調査>1
  九月下旬になって「わたしはいもうとのひろことがっこうごっこをしました」ではじまる会話文を含む一二六
 字の全く目にふれていない文章をいきなり読ませて読速調査をした。結果はつぎのようになった。

  % 時間(秒) 
すらすら読めた  43 22〜45 
たどたどしい読み 39 55〜100 
拾い読み  18 110〜180 

内容の読みとり

  ┌すらすら読めた者 33%┐  
正答|           |
  └たどたどしい   22%┘
55% 
じゅうぶんではないが正答に近い  15% 
誤答・無答  30% 

考察
  文として読める者は、時間が速い。すなわち句読点以外では休まないで読み進んでいる望ましいものであり、
 読書なども内容的に程度のあったものであればどんどん読める能力があることが読速だけでは予想される。これ
                                                     79
 は約四三%の者である。つぎにたどたどしい読みというのは、文として読めるセンテンスがあったり、見なれな
 い語(例 いもうと、あかとんぼ)が含まれているセンテンスは拾い読みになったり、逆行したり、句読点以外で
 しばしば停留したりする傾向が見られる。
  理解度の面から考えると、すらすら読めていても内容を理解しない者が一四人中三人おり、たどたどしい読み
 の一三人中七人は内容を理解しており、約半数の六人が理解していない。このことから、「すらすら読めるから
 内容を理解している。」という解釈はなりたたないし、たどたどしい読みでも、内容は約半数が理解しているこ
 とがわかる。このことは指導上大切なことである。したがってすらすら読める者のうちの三人については、内容
 を考えて読むような指導が望まれるわけであって、早急に能力があると解してはならないわけである。
読速調査>2
  十二月中旬、「ねずみのよめいり」の全文をプリントしたものを渡し、五つの設問にこたえるために各自が自
 由に読み答案用紙に記入した。そのあと、はじめの段落「ねずみのおとうさんがお日さまのところへ行って頼ん
 だところ」まで九六文字を読速調査した。結果は次のようになった。

   %   時間(秒) 
すらすら読めた   59   15〜26
たどたどしい   32  30〜45
拾い読み    9  70〜140 

考察
 すらすら読めた者五九%のうち、四一%は二十秒以内に読んでおり、読み違いを一度もしなくてすらすらと完
 壁であるが二六秒ぐらいになると、停留がやや長く、読み違いを一度ぐらいするようになる。たどたどしい読み
 の者は三二%で「お日さま」を「おひめさま」と読む誤りが目立った。前回と同様、読みにくい語が含まれるセ
                                                     80
 ンテンスの時、停留、読みかえしが多い。拾い読みは九%(三人)で七〇秒から一四〇秒と個人差が多い。九月の
 調査の時は六人であったのが半数にへった。つまり九月には拾い読みであった三人は、十二月には四五秒以内で
 読めるようになり、非常な進歩をとげている。
 内容の理解は、設問もやさしかったしすでに読んでこたえを書いているので、九月の調査のように、初めて読み
 すぐ設問にこたえるのとは条件が違うが、やはり拾い読みの者は内容を理解していない。他は全部正答であった。
   国立国語研究所昭和二十八年の調査

すらすら読める者 
四月十八日  一六・六% 
五月三十日  二七・二七%  

  一年終了時

文として読む  男  一〇人  女  一二人 
語として読む  男   六人  女  一六人 
一宇ずつ読む  男   一人  女   一人 

 となっており、約四八%ずつ文として読む者と語として読む者がおり、四%が拾い読みということになる。
3 指導法
 語として、ことばのまとまりとして読むことはできても、文をその意味のまとまりとして読むことができなけれ
ば内容を理解することもじゅうぶんにはできない。これは能力の発達の実態で明らかなように拾い読みでは内容を
理解することはほとんどない。しかしすらすら読めても内容を読みとっていない場合もある。したがってすらすら
読めてしかも内容が同時に理解できるところまで指導することが「文として読むこと」の教師としてもつべきねら
                                                     81
いでなくてはならない。ともすれば、すらすらと音読だけを機械的にさせることだけに流され易いのでこの点を強
調したい。ではどのように指導したらよいか考えてみよう。
(1) カードを読む
  入学以来、生活の中の語をカードに書いてくり返し読みの練習をしてきたが、六日めには、つぎのように生活
 経験を話したのをカードに書いて文として読む学習をする。
 @ 楽しい遊び
  運動場で一定時間遊ばせる。教室へもどってから遊んだことを話す。
 a 運動場で遊んできましたね。いま、どんな遊びをしてきたか話してください。(一語文)シーソー・ぶらんこ
   ・ねことねずみなどというのが多い。そのつど教師は「シーソーであそびました」「ぶらんこであそびました」
 と正しい文型への暗示を与えていく。
 b そのうち、児童が「すべりだいであそびました。」と答えたので、○○さんのお話はじょうずでしたね、と
 いって すべりだいであそびました。 とカードに書く。そして○○さんは何であそんだのか読んでみましょう
 といってカードを読ませる。拾い読みが多いので、○○さんはお話をしたのですよ、お話のように読みましょう、
 といって読みの練習をさせる。
 c 以下同様にてつぼうと ろくぼくで あそびました。のカードを児童の発言の中から書く。読みの練習をす
  る。このように、今、自分たちの話している一つの意味のまとまりが文であることの意識づけをし、話すよう
 に文は読むものであることを指導していく。
 A 教科書の文の指導
例文
  せんせいと すもうを しました。
  いさむさんが まけました。
                                                     82
  ゆりこさんも まけました。
  みんなで いっしょに おしました。                               
  よいしょ。よいしょ。
  a 全文をカードにプリントして児童にわたす。教科書と同じようにカードを並べさせる。児童はワンセンテ
   ンスごとに教科書を読み確かめて並べていく。
  b 掲示用のカード(教師用意)を児童が黒板にもならべる。自分のと比べる。
  c だれとすもうをしたのでしょうか。そのことのかいてあるカードを出してごらんなさい、と内容に迫りな
   がら読ませる。
    だれがまけましたか。と課題を出してカードを読ませる。(以下略)
   この方法は、文字を見ないで、暗記して読んでいる者が出やすい一学期の単純な文章の頃に用いると効果的
  である。カードの扱い方にいろいろくふうすると、学習に変化がもたらされ、興味をもちながら自然に文とし
  て読むようにするための一つの方法といえよう。
(2) まるまで続けて読む
 句読点に気をつけて読む方法である。特に句点に気づかせ、そこまでを続けて読むと、あるまとまった意味をも
 っていることを知らせる。「まるまで続けて読みましょう。」といって読む練習をさせる。もちろん長いセンテ
 ンスで読点がいくつもあるような場合は、読点にも気をつけさせるが、あまり読点に注意をむけて読ませると、
 不自然な読みになることもあるので、自然な読み、意味の通じる読みかたということを心がけるべきである。
 (3) 何が書いてあるか考えながら読む
  内容に即して
だれがどこへいきましたか。
何がどうしましたか。
                                                     83
何がどうしていますか。
など教師の発間・課題にこたえて読む。そのためには、文としてまとまった意味を追求していかなくてはならない。
したがって文脈を追って文を読まなくてはならない。その結果、文として読む技能や態度が身についていく。そし
て、文としてすらすら読むだけでなく、読みながら意味・内容をとらえていくことができるようになる。つまり、
外形的には、機械的に読んでいるようにみえても、内面的には、意味内容も同時に理解できるようにならなければ
ならないのである。
(4) 読み誤りの指導
 文としてすらすら読むことのできる児童でも読み誤る場合がある。もちろんたどたどしい読みをする者のほうが
多くみられる。だいたいつぎのような三つの類型がある。
 @ 「さくらがさいています」を「さくらがさきました
 A 「こうえんまええきです」を「こうえんえきです」
 B 「まさおが………。」を「まさおさんが……。」と読み誤る。@は知覚の誤り、Aは知覚の不当脱落、Bは知
  覚の不当添加による読み誤りである。このような読み誤りは、知覚の不正にあると考えられるが、そのような
  知覚を誤らせる要因は何かを知る必要がある。いくら知覚を正しくさせようとして、よく見て読みなさい、落
  ちついて読みなさい、一字一字指でさして読みなさい、などと指導してもこの種の誤りは容易に直らない。そ
  れは知覚を誤らせる要因が他にあるからである。その要因は(1)児童が身につけている文型、(2)文脈、(3)場
  面、(4)ことばの経験などである。これらの要因を知って誤読を直す指導の方法をくふうすべきである。

 (三) 速く読む技能の指導法

― 定 義
                                                     84
 読み物の内容をすばやく読みとることは日常生活のうえで、きわめて必要の高い活動である。このすばやく読み
とる活動をささえているのが、速く読む技能である。
 それは、読む構えをもって文字群をはやくとらえ、不当な停留や誤認などがなく、つまり、つかえたり、読み誤
ったりすることなくすらすらと読み進める技能である。
 たとえば、新聞の見出しなどをすばやく読んで、必要な二ュースをえらんで読むとか、文章に何が書いてあるか、
見通しをたてたり、必要なところをさがして読んだりするときによく働く技能である。
2 発 達
速く読む技能の発達については、
o読み手の態度や意識の違い――つまり読みの構え
o読み手の生理的条件(眼球運動・発声器官の良否・熟練度など)
o読む材料の種類や質の相違
などによってことなるので、その実態はなかなかとらえがたい。
 一般に読みの技能の発達はつぎのようになっている。
(1) 音読を主とする時期(小学一年後期―二年)
  ・読みへの興味を増し、音読を主とする時期
(2) 黙読の発達する時期(小学三年―四年)
  ・音読が速く正確になるとともに黙読技能が発達して、音読速度を追い越そうとする時期
(3) 黙読の完成する時期(小学五年―六年)
  ・黙読が音読速度をおいこして黙読が完成する時期
  ・必要に応じて音読・黙読が使い分けられるとともに、読みの速さを調節することができるようになる時期
(4) 読みの速度を増す時期
                                                     85
 ・読みに熟練し、その速さを増す時期
 ・四つの読みの型を目的に応じて自由に使い分ける
 小学校高学年では、必要に応じて速く読むことが必要になるので、それに応じられる技能を養成するようにする。
3 指導法
 速読みの技能は速く読む必要や目的に応じて働く技能である。したがって、速く読む目的や必要を自覚し、速読
みの構えを作ることと、速読みを必要とする文章が用意されなげればならない。そのような場の中で、速読みの技
能は働くのである。そこで速読みの指導においては、速読みの目的を自覚し、速読みの構えを確立することが第一
である。読みの速度を決める要因は、速く読もうとする読みの構えにあることはすでに知られている、とおりである。
 なお、この技能は、読む必要や目的によって、ゆっくり読む、ふつうの速さで読む、速く読む、摘読する、など
の諸技能との関連において指導することがたいせつである。
(1) 何が書いてあるかを見定めるための速読み
 @ 単元を概観する場合の読み
 A 文章をはじめて読んで、書いてあることのあらましを読みとったり、その文意をとらえたりするための読み
 B 物語などのあらすじをはやくつかむための読み
 これらの速読みの指導にあたっては、まず読む目的、方法を明らかにして速読みの構えを作る。つまり、読みの
緊張感と欲求をもつようにする。文章の標題・小見出しなどによって、叙述されていることの大きな見通しを立て
る。
 物語などは、サマリーとシーンの区別を知って、サマリーを中心にしてはやく読んですじを知る。
 また、速く話題をとらえて、その展開に気をつけながら読み進める、文の切れ続き、係りうけ、展開などの関係
に気をつけて筋道をたどりながら読み進める。
(2) 必要なことをさがすための速読み
                                                     86
 @ 新聞・雑誌などから必要な記事をみつける
 A 辞典・事典などから必要な事項をさがす
  これらは、見出しなどを中心にして直接必要のない部分を読まないでとばし、どんどん読み進めるようにする。
 このときは、読み手のほうに問題や要求があるから、読みの構えができている。
 これらの活動は、速く読むということが直接的なねらいであるが、それらは常に速い理解ということに関係して
いるので、その面での配慮もしなくてはならない。
(3) 速く読むための練習
 (1)、(2)の活動の中で具体的にその技能の養成が行なわれるが、さらに練習の方法をとり入れて正常な眼球運動の
訓練、つまり知覚訓練をしてためらかな読みができるようにすることがたいせつである。
 速読みの技能を要素的に分析してみるとつぎのようになる。
 @ 眼球運動
 A 知覚する文字群
 B 文型―思考の型
 そこで、眼球運動がなめらかに行なわれるように練習したり、文字群の知覚が正確に行なわれるように、また文
型を確実に身につげて反射的に読みが行なわれるように練習したりする。
o知覚する文字群を広げ、知覚を正確にするための練習
 文字を読む場合には、眼球は一目で(停留)数個の文学群を知覚しては音声化していく。つまり、一字一字順を追
って知覚するのでなく、同時に数個の文字を知覚することができる。速くすらすら読むためには、この知覚の幅を
広げることと、それを確実に知覚して音声化する訓練が必要である。この知覚の幅は、ふつうの国語教科書の高学
年用の文字の大きさだと三〜八字程度である。これらの文字群を同時に語として知覚して(逐語知覚)読む。つまり、
語や文として読む習慣を形成することが速読みの基礎となる。そこで、つぎのような練習をする。
                                                     87
a 語の知覚訓練
 三文字、四文字、五文字の語をそれぞれ集めて、それぞれの語ごとに並べて印刷したカードを用意する。このカ
ードを読ませて、同時に語としてまとめて知覚するように練習する。二文字語から始めて五文字語に及ぶようにす
る。くり返し練習する。単語から語句に及んでもよい。この場合、とりあげる語は、はじめは教科書にあるものを
中心にするとよい。また低学年では、フラッシュカードを用いてもよい。
b 眼球運動の訓練
 速く読む技能をさまたげるものに、読み返しとつぎの行へ移るときのつまずきと誤りなどがある。
 読み返しは、文学群の知覚が不十分だったり、語としてよく認知できなかったりする場合、もう一度前にもどっ
て知覚しなおす、つまり、眼球の逆行運動である。また、行の終わりまで読んでつぎの行へ移るときに、行をとば
したり、二度もとの行に移ったりしてしまう場合が、眼球の飛躍移行運動である。これらのつまずきを直し、すら
すらと眼球運動が行なわれるようにする必要がある。
 練習文は、つぎの条件を備えているとよい。
1 一行の字数は二五字〜三〇字ぐらい
2 活字は、五・六年生の教科書活字の大きさ
3 文が行末で完結しているものを含む
4 文が二行にまたがっている場合を含む(この文は行頭から始まる。一語が二行にまたがっている場合も含む)
5 文章の内容はやさしくて思考を特に働かせなくても機械的に読めるようなもの
 たとえば、つぎのような文章を読ませて練習させる。

 たいへん長い間おたよりしませんでした。みなさん
お変わりありませんか。こちらへ引つこして来たとき
はまだ寒い冬でしたが、もうすっかり春になりました。
はじめは、汽車も電車もない、こんな山の中でくらす
のはいやだなあと思いましたが、このごろではすっか
りなれました。 




                          88




 練習に当たっては、特につぎの点に留意する。
1 眼球が行の始めから停留―運動―停留というように文字を知覚しながら行の終わりに向かって運動を続けてく
 る。眼球が行の終わりにきて最後の停留で行末の文字群を知覚した瞬間に眼球を行の始めに移す。この移りがス
 ムーズに速くできるように練習する。
2 したがって、始めの行末から行頭への移行を意識させて速く正確に行なうように指導する。しかし、これは練
 習が進むにつれて無意識に行なわれるようにしなければならない。
3 練習の始めは、眼球の移行運動に合わせて頭を動かす者もいるがこれも練習が進むにつれて、眼球だけを動か
 すようにする。
  横書きの場合は、数字の連続を与えて練習させるのも一つの方法である。
C 文型に対する機械的反応の練習
 一般に文章を読む場合、一語一語の刺激に反応して意味を組み立てていくのではない。「雨が降っている」とい
うような文全体、つまり文型に反応して意味を理解すると考えられている。したがって、機械的に反応できる文型
をたくさん身につけているほうが速く反応できる、つまり、速く読めることになる。
 そこで、その学年に適した学習基本文型を与えて、文型に機械的に反応できるようにすることも必要である。
 練習する文型はつぎのような条件を備えたものとする。
 練習する文型
 たとえばつぎのような学習基本文型について練習する。
 (1) 主語・述語の関係を表わす文型
                                                     89
 1 何が どうする。
 2 何が なんだ。
 3 何は どんなだ。
(2) 修飾・被修飾の関係を表わす文型
 1 どんな何――連体修飾語
 2 どのようにどうする――連用修飾語
(3) 並列の関係を表わす文型
 1 何と何と何と(どうする)
 2 何したり、何したり、何したりする。
 3 何し、何し、何する。
 4 その他
(4) 接続の関係を表わす文型
 1 接続助詞を含む文型
  ・「雨が降ったので道が悪い」の類
 2 接続詞を含む文型
  ・「それから本を読みました」の類
 3 代名詞・連体詞・副詞等を含む文型
  ・「そんな人はここにはいません」の類
(5) 独立の関係を表わす文型
 1 感動詞を含む文型
 2 独立語を含む文型
                                                     90
(6) 陳述の副詞を含む文型
   ┌たぶんあしたは雨が降るだろう。
   └たぶん彼は来ないだろう
   ┌けっして、うそは言いません
   └けっして、ころぶようなことはない
(7) 限定の助詞を含む文型
   ┌この木は、アメリカにしかありません
   └この木があるのは、アメリカだけある
  このような文脈をたどる上にだいじな文型について機械的にくり返し練習する。練習文は、文型ごとにカード
 に作っておく。カードには、同じ文型の例文を五つぐらいプリントしておく。
  これらの文型カードは、一綴りにしておく。いつでも機会をとらえて各自練習する。

 (四) 音読・黙読の技能の指導法
1 定 義
 音読は、声を出して文章を読むことである。つまり、文字の刺激を受け(文字の知覚)それを音声に出して読むこ
とである。それに対する読みが黙読であり、黙読は声を出さない読みである。
 読みの発達から考えれば、音読から黙読へと発達する。音読にするか黙読にするかは、読みの目的によって決ま
ってくる。
 音読の技能が必要なときは、つぎのようなときである。
(1) 文章のある部分を紹介するために読む
(2) 読みを評価するために読まされるとき
                                                     91
(3) 伝言や指示を文章に書いてあるとき
 それをおおぜいの人々に読みあげるときなど。
黙読の技能が必要なときは
(1) 個人の読書生活
(2) 学習では、全体を通読したり、内容を精査したりするとき
(3) 辞書、参考書、事典類などの調べ読みのとき
 つまり、理解するために読む場合に必要な技能である。
 黙読は音読に比べて、言語生活上その比重は大きい。
 読むことを、読と解に分離して考えれば、音読、黙読ともに読みの分野に属し、思考を要せず、反復練習によっ
て高まる技能である。この点から音読・黙読は、機械的な技能と考えることができる。
2 発 達
 国立国語研究所の調査結果によると、音読、黙読の速度はつぎのようである。
(1) 一年から四年の一学期までは、学年があがるに従って音読の速度はのびていく。
 一分間の最高読字数は
  一年(一二九字) 二年(二三八字)
  三年(三五四字)
  四年一学期(三六九字)
(2) 四年の二学期ごろから、音読より黙読の速度が速くなってくる。
  四年二学期(音読四八六字 黙読五五八字)
  五年三学期(音読六一六字 黙読七五六字)
 音読・黙読と理解の関係
                                                     92
(1) 内容を正確に読みとることは、四年でもまだ音読のほうが成績がよい。
(2) 五年三学期になると、音読より黙読のほうが内容を正確に読みとれる。
 音読と黙読の関係
(1) 読書力のある児童は、三年ごろから音読より黙読の速度が速くなっている。
(2) 読書力の低い児童は、四年の後半でも黙読より音読のほうが速い。
(3) 黙読の速度が速いものは、音読の速度も速いのが一般的である。
(4) 二年の後半になると、約七〇%が音読ですらすら読める。
3 指導法
<音読の指導>
 低学年では、語や文として読む指導をすることによって音読の技能は高まってくる。
 特に低学年では、国語学習は、音読(徴音読)を中心に進めていくのが効果的であるので、音読指導の機会は多い。
 しかし、音読がよくできない原因は、国立国語研究所の『読みの実験的研究』によれば、
 @ 児童の側の原因
 A 文字言語側の原因
 B 学習指導側の原因
の三種類があるので、特に児童の身体的精神的欠陥を除去しなければ音読の技能はのびない。
 児童側の原因の主なものをあげると、
 @ 視力が弱い。
 A 視野がせまい。
 B 音声器管に欠陥がある。
 C 呼吸のしかたが不正。
                                                     93
 D 字形を見分ける力が乏しい。
 E 眼球運動がなめらかでない。
 F 神経過敏のためあがってしまう。
 G 集中力がない。
 中・高学年においては、つぎのような活動をさせて、音読の技能を養成する方法がある。
(1) 文章のある部分を紹介する
 文章のある部分を紹介させる場合は、内容を分析する段階でいろいろ考えられる。
 たとえば、説明されていることがらを読みとるために段落に区分するとき、「第一段落はどこからどこまでか、
そこを読んでみんなに教えてあげよう」という目的で音読させる。
 また、内容を読みとって答えたり、考えたことを発表させたら、「それは、文章のどの部分を読んで解ったか、
その部分を読んでみんなに知らせてあげよう」という指示を与えて音読させるなど。
(2) 診断のための読み
 全文を通して読み、読みとったことを発表させたのち、新出文字を指導する。その後「どのくらい読めるかみん
なに読んで聞かせてあげよう」という目的を与えて音読させる。診断は教師がするのであるが、児童相互で行なわ
せるのもよい。聞いている児童は、本を見ながら、読み誤りにチェックをし、あとで発表させる。
 教師も音読技能の票などを作り、個人個人の音読技能を記入しておく。
 評価項目として、つぎのようなことが考えられる。
 @ 文字の読みがわからない。
 A 読みの休止が不自然である。
 B とばし読みをする傾向がある。
 C おきかえ読みをする傾向がある。
                                                     94
 D つけ加え読みをする傾向がある。
 E 読みちがいをするが、あとで正しく読む。
 F 声が小さい。
 G 発音が不明瞭である。
 H 速度が速すぎる。(休止しない)
 など。
(3) テープレコーダーによる音読指導
 音読の練習のために、テープレコーダーを使って行なうのも効果的である。
 治療読みをさせたとき、その場で誤りを指摘することはもちろんであるが、誤りを指摘されても自覚しない場合
がある。そこで個人個人の音読を、テープに録音し、それを再生しながら誤りを指摘して自覚させるとよい。
<熟読の指導>
(1) 必要な細部を読みとらせる。
 内容の分析の段階で、要点を支える詳細、あるいは、課題に対する必要な細部を黙読によって読みとらせる。
 その場合、教師は、児童の横から観察し、徴音読、唇読するものがいないかどうかを観察する。もしそのような
者がいたときは、個別に指導する。
 黙読は、外形的には読んでいるかどうかが判断しにくいので、理解といっしょに指導しなければならない。
 そのため黙読が行なえないのか、理解力(読解技能)が低い児童なのか判断がむずかしい。
 百科事典・参考書などを使って、必要な部分を読みとらせることも、黙読の技能を高めるのに効果的である。こ
の場合、速くみつけ出させるように競争などをさせると、黙読で速く読む技能を高めることができる。
(2) 練習による方法
 これは、やさしい文章からだんだん高度な文章(漢字の提出・センテンスの長い文の組み合わせ・長い文章など)に
                                                     95
進ませ、黙読の技能を養う方法である。
 この場合、一文章ごとに設問をおき、それに答えてから先に進ませるようにする。設問はなるべく簡単なもので
あるほうがよい。即ち他の読解技能を働かせなくても回答できることが望ましいが、実際的には不可能である。
問題文例> 三年
  1 スイスは、一年じゅう雪をいただいたアルプスの山の国である。この山には、日本では見られない、ひょうががある。
   問 スイスは 何の国ですか。
   (ァ)海の国 (ィ)山の国 (ゥ)ひょうがの国
   問 ひょうがは どこにありますか。
   (ァ)スイス (ィ)アルプス (ゥ)日本
  2 都市には、あちらこちらにしょうぼうしょがある。高いぼうろうの上から、昼も夜も、四方を見はっている。それは、火
  事を発見するためである。
   また、火事が起きた時には、いつ どこからでも しょうぼうしょに知らせることができるようになっている。そのほう
   ほうに電話がある。
   問 火事を知らせるほうほうは何ですか。
   (ァ)ぼうろう (ィ)かさいほうちき (ゥ)電話
  問 この文章に書いてないことに ×をつけなさい。
   ( ) ぼうろうは、火事を発見するためにある。
   ( ) 火事になったら一一九を回す。
   ( ) 電話は、いつ どこからでもしょうぼうしょに知らせられる。


 (5) 目的に応じて読み方を適用する技能の指導法
                                                     96
― 定 義
 読みには、形式的(声を出すか、出さないか)にみると、音読・黙読がある。また、能力的(速いか、おそいか
にみると、速い読み、ふつうの読み、おそい読みがある。また、とばし読み、はしり読みなどもある。
 これらの読み方は、読み物や、読む目的によって適切に使いわけることが必要である。
 目的に応じて読み方を適用する技能とは、読む目的に応じて、前記のようないろいろな読み方のうち適切なもの
を選んで使う技能である。
2 発 達
 低学年の読みは、一般的にいえば、音読・徴音読がふつうであり、読む目的に応じて読み方を変えることはでき
ない。
 中学年になると、音読のほかに、黙読がじょうずにできるようになる。そこで、教師の示唆によって、あるいは
自分で読む目的に応じて音読と黙読とを使いわけることができるようになる。
 高学年になると、読む速度も速くなり、とばし読みができるようになる。ある程度目的に即して読み方を選択す
ることができる。
3 指導法
 目的に応じて読む技能を高めるには、いろいろな読む経験を与え、それをどう読むかを観察する。適切な読み方
をしていないときは、その読み方を指導してから、また読ませるようにする。そして、児童に読む経験(読む経験
の中に読む目的は含まれる)の相違によって、読む方法を適切に使い分ける技能を高めていく。
 つぎに、それぞれの読みにおける経験を列挙しておく。
(1) 音読する場合
 @ 伝達の文章、報告の文章などを、みんなに知らせるために読むとき
 A 内容が複雑で理解しにくい文章を読む(徴音読)とき
                                                     97
 B 文章のある部分を紹介するために読むとき
 C 新聞や雑誌のある記事や文章を読んで聞かせるとき
(2) ゆっくりと黙読する
 @ 説明する事項を読みとるとき
 A 論説文などを読んで、筆者の考えを読みとるとき
 B 百科事典・参考書の必要な部分を読むとき
(3) はやく黙読する(はしり読み)
 @ 新聞などの文章を読んで情報を得るとき
 A 伝言やメモなどを読むとき
 B 話題を読みとるとき
(4) 黙読によって
 @ 百科事典、参考書などから必要な事項を選び出すとき
 A 関係的な事項をさがす場合


     二 読解の本質的技能の指導法


 (一) 書いてあることのだいたいを読みとる技能の指導法

1定義
                                                     98

 書いてあることの「だいたい」を読みとる技能は、文章を読んで「何について、どんなことが書いてあるのか」
「何がどうしたという話なのか」その内容の概括的なこと、大意的なことを読みとる技能である。
 この技能は、単なることがらのあらましを読みとることから、中心思想、中心的事項に即しながら、大意を読み
とることへと発展する。

2 発 達
 国立国語研究所がつぎの問題によって「だいたい」を読みとる技能の調査を行なっている。
 <問題文> (二年・三年・四年連続)
   「まさおさん、おつかいにいってきてちょうだい。」と、おかあさんがいいました。まさおさんは、「はい。」といって、す
  ぐにでかけました。
   とちゅうで、じろうさんにあいました。
   いちばのそばでサーカスがにぎやかなおんがくをやっていました。
   まさおさんは、じろうさんといっしょにサーカスのかんばんにみとれているうちに、おつかいをかすれてしまいました。
   「まさおさん、どこへいくの。」みると、よしこさんがにこにこしながらたずねました。よしこさんは、おかあさんとおつか
  いにきたのでした。
   「あっ、ぼくおつかいにきたんだっけ。」まさおさんは、おつかいをおもいだして、あわててかけだしました。

 <しつもん
   この おはなしで まさおさんの したことを 四人の ひとが はなしました。だれのが いちばん いいですか。
  1 まさおさんは じろうさんと いっしょに たのしく あそびました。
  2 まさおさんは サーカスがすきで サーカスを みに いきました。
  3 まさおさんは おつかいのとちゅうで あそびましたが よしこさんに あって おつかいを おもいだしました。
  4 まさおさんは おかあさんに ようじを たのまれると すぐ「はい。」という かんしんな こです。

                                                     99
 この調査の結果は
 二年生の一学期    三八・七点
 二年生の三学期    五四・三点
 三年生の三学期    七五・〇点
 四年生の三学期    八〇・四点
 (国立国語研究所著『小学生の言語能力の発達』明治図書刊)
となっており、二年生から三年生にかけて急速に発達していることがわかる。しかも、三年生においてほぼ完成す
るといってもいいようである。
3 指導法
 この文章について、「何をどうすると、どうなるか」つまり、この文章のだいたいの意味を読みとる場合の指導
例をあげてみる。
 <教材
  みみずは、からだを ふたつに きりはなしても しにません。
  きりはなした ふたつの うち、ながいほうは めすの みみずに なり、みじかい ほうは おすの みみずに なりま
 す。
                                         (ポプラ社 なぜなぜ文庫より)

 教師の発間(○)、児童の答え(△)に分けて述べてみる。

 ○ このお話は、何のお話ですか。
 △ みみずのお話です。
 O 「みみずをどうすると、どうなる」というお話ですか。
 △1 「みみずを二つに切りはなすと、長いほうは、めすのみみずになり、短いほうはおすのみみずになる」というお話です。
                                                     100
 ○ それでいいかどうか調べてみましょう。はじめに、二行めまでを読んでごらんなさい。どんなことがわかりますか。
 △ 「みみずのからだは、二つに切りはなしても死なない」ということです。
 ○ こんどは、三行めからおわりまでを読んでごらんなさい。みみずがどうなることがわかりますか。
 △ 切れたみみずは、長いほうがめすになり、短いほうが、おすになります。
 ○ 前に書いてあることと、後に書いてあることを続けていうと、どうなりますか。
  この文章全体を読んで考えてごらんなさい。
 △ みみずのからだは、二つに切れても死なないで、長いほうは、めすになり、短いほうは、おすになります。
 ○ そうすると、前に△1さんがいったことはよかったのですね。


 このように、二年生なりに全体直観読み、分析読み、体制読みの過程をたどって指導する。
 国研の調査でもだいたいわかるが、この期の児童は、直観的に「何がどうしてどうなった。」というように、文章
全体を縮約的に読みとることは容易ではない。しかし、二年から三年にかけて急速に伸びる技能である。そこで、
指導例にあげたように、文章全体を貫いている話題をとらえさせ、つぎに、それがどうなったかを読みとらせる。
読みとったことをまとめる過程で、だいたいを読みとる技能の指導をする。直観的に読みとったものを分析したり、
ときには、総合したりすることによって、この技能は学習される。
 特に、部分的な読みをした場合には、それらを文章の話題に照らして関連づけをし、「だいたいの意味」をまと
めるところまで指導しなければ、単なる断片的知識の読みとりに終わってしまうから注意しなければならない。

 (二) 何が書いてあるか考えて読む技能の指導法

1 定 義
 「何が書いてあるか考えて読む技能」は読みの初歩的な段階において鍛錬すべき技能である。文章を読み始める
                                                     101
時期には、文字を読むこと(音声化)つまり文学面を追って読むことに注意が向いている。したがって文字を音声
化することと、それによって語を認知し、意味を理解することとなかなか結びつかない。そこで文字(ことば)を音
声化することが同時に意味の理解につながるような指導をする必要がある。
 そこで語や文の表わす意味を考え判断しながら読む技能が働く。このように、文の表わす意味、書いてあること
がらを考え、判断しながら読む技能が、何が書いてあるか考えながら読む技能である。
 この技能をさらに心理的にみると、文章を読みながら、それに従って観念を組み立て判断していく。つまり表象
を描きながら読んでいく技能である。この技能はいわゆる空読み、文字面の機械的な読みと対応する技能である。
2 発 達
 この技能は読みの初歩的な段階に属するものであって、読みの学習とともに徐々に発達する。国立国語研究所の
調査(『小学生の言語能力の発達』所載)によれば、この技能はつぎのような発達をしめしている。
  一年三学期 四四・六
  二年三学期 六七・五
となっており、ほかの読解の技能と同じようにふつうの上昇をしめしている。一般に八十点近くなると上昇は鈍る。
このことから八十点を到達点と考えると、前記の正答率から「何が書いてあるか考えて読む」技能の指導は、一、
二年時において取り上げることがよいと考えられる。また、つぎのような間題文による調査でも正答率は
  一年二学期 六五・四
  二年二学期 七八・二
 (昭41・11 新宿区津久土小学校一年40名 二年38名)
であった。
 <問題文
  ぞうのはな
                                                     102
   ぞうは、ものをたべるときに、はなをつかいます。りんごをなげてやると、はなのさきで、そのりんごをつかんで、くちに
  ほうりこみます。
  また、ぞうは、みずをあびるときにも、はなをつかいます。はなのなかに、みずをすいこんで、からだにふきかけます。
  そのほか、ぞうは、てきとたたかうときにも、はなをつかいます。ながいはなをふりまわして。てきをおいはらいます。
  oぞうは、どんなときに、はなをつかいますか。つぎの  のなかにかきなさい。


3 指導法
(1) 課題を与えて読ませる
 児童に文章を読ませる時、ただ「何が書いてあるか考えながら読みなさい」というだけでは、漠然としている。
これでは考えるといっても、何について考えるのか、考えるよりどころが明らかでない。特に、低学年児童では、
この指示だけでは、どのように読んだらよいか、はっきりしない。
 そこで効果的に学習するためには、課題を与えて読ませるとよい。課題を与えると読む構え、読む目的がはっき
りし、考えて読む活動が促進される。
 課題を与えて読ませる文章は、前掲の「ぞうのはな」のように、特に課題文がないものがよい。課題文があると、
 「何が」が明記されているので、課題の答え即課題文で終わることが多い。これでは「考えて読む」ことがあまり
行なわれないからである。
 前掲の「ぞうのはな」の文章は、
oぞうは、ものをたべるときに、はなをつかいます。
oぞうは、みずをあびるときにも、はなをつかいます。
oぞうは、てきとたたかうときにも、はなをつかいます。
を基本的事項、つまり要点とする三つの段落からできており、接続語「また」「そのほか」によって段落が展開さ
れているという構造過程になっている。
                                                     103
 それぞれの段落は、「ぞうは、どんなときに、どんなふうにはなをつかうか」が述べられている。そこで、この
文章からは、つぎの課題がみちびき出せる。
 a 「ぞうは。どんなときに。はなをつかいますか」
 b 「ぞうはどんなふうにはなをつかいますか」
 またbの課題は「象は物を食べる時にどんなふうにはなをつかいますか」「ぞうはみずをあびるとき、どんなふ
うにはなをつかいますか」のように分析するほうがよい。これらの課題を解決するために、文章を読み、考えて読
む技能がみがかれていく。
 課題に対しては、その答えを発表させ、正答を確かめさせる。この正答を確かめていく過程で、考えて読む技能
が身につく。たとえば、最初の「どんなとき」の反応として、「りんごをたべるときです。」とか「ぞうは、たべも
のをはなで、くちにもっていきます。」などが出たような場合、これを文章に即して確かめていくと、課題に対して
答えていないことがわかる。「どんなとき」というのは、「ものをたべるとき」であって、「りんご」とは限定さ。
れていない。「りんご」は「ものをたべる」ときの一例としてあげられているので、ここでは「どのようにたべる
か」を読みとらせるべきである。
 このように、課題から読みとりを考え、文章にかえり、もう一度読むという学習を通し、「何が書いてあるか考
えながら読む」技能や態度が身につけられていく。
(2) 比較させながら読ませる
 考えるためには、考える活動をうながすもの、素材がなければならない。ものともの、ことがらとことがらを比
較することは、考えながら読む契機となる。このことにより、書かれていることがら相互の関係や、文と文とのつ
ながり、語と語のつながりを、いっそう深く考えて読むようになる。たとえば、つぎの文章のような場合、その事
例となろう。
                                                     104
  ちょうと、みつばちは、こどものせわのしかたがちがいます。ちょうは、みつばちのように、こどもに、たべものを、はこ
 んできて、たべさせることはありません。たまごをうんだら、それっきりでめんどうをみないのです。

 この文章は、「ちょうは、みつばちとちがい、たまごをうんだら、それっきりで、めんどうをみない。」という
ことを述べたものである。みつばちとの対比において書いているが、みつばちのこどものせわのしかたについては、
既知のこととして書かれている。
oなんのむしの話ですか。
△ちょうや、みつばちです。
oちょうや、みつばちのどんなことの話ですか。文を読んで、つぎの     にことばを入れましょう。
という発問、指示をして読ませる。読みとったことを書く欄は、つぎのようにする。
oちょうは、こどもにたべものを                
oみつばちは、こどもにたべものを                 
 この答えを確かめていく過程で、「みつばちのように」ということばが出てくる。ここから、ちょうと、みつば
ちを対比して読み深めていく。
(3) 文と文との関係を考えながら読ませる

  ちょうやとんぼが、くものあみにさわると、くっついてしまいます。くものあみが、ねばねばしているからです。
  けれども、くもは、あみのうえをへいきであるきます。くものあしから、あぶらがでるのでくっつかないのです。
                                                (東書一年上)

 この文章は、事実→理由、事実→理由という、わかりやすい型の説明の文である。
 こういう型の文章では「ちょうやとんぼが……くっついてしまいます。くもは……へいきであるきます」という
事実を、それは、どうしてかという、「理由」をはっきり読みとらせる。「なぜ」「どうして」ということを読み
                                                     105
とることにより、そのことが書いてあるところに傍線を引かせたりして、文を意識づける。このように、文と文と
の関係を考えることにより、「何が書いてあるか考えながら読む」態度が身についていく。


 (三) 段落の要点を読みとる技能の指導法


1 定 義
(1) 要点とは何か                             ゛
 要点は、その段落に述べられていることがらのうちの、主要なこと、中心になること、中心思想である。つまり、
その段落の中で、書き手が、主として、知らせようとしていること、説明しようとしていること、訴えよう、理解
させようとしていることなどを、短くまとめたものである。
 ふつう、書き手が、知識や情報や思想などを、説明し、伝達し、訴えようとする場合、その要旨(知識)を基本的
事項に分析してそれを段落として展開する。その段落の中心になる事項が要点である。要点は、要旨や知識(全体)
をささえている要素であり、分節である。したがって、要点は、段落の中心であると同時に、要旨や知識(文章全
体)を組み立てている基本的事項である。
このような理由で、要点は、その本質として文章自体に属するもので、読み手の読む目的などによって変わるべき
ものではない。
(2) 要点と細部との関係はどうなっているか
 段落の要点と詳細との間には、つぎのような関係がある。
 @ 要点は、詳細に述べられていることを総括的に述べている。
 この場合には、「いろいろなもの」は何かを具体的に明らかにしていけば。要点と細部との関係がわかる。
 このように、要点は、そのあとに述べられていることがらを総括している。
                                                     106
    (要点)  ┌(1) はやくできるものおそくできるもの→(細部1)
  ┌りんごには┐ ├(2) かたちの大きいもの小さいもの  →(細部2)
  |いろいろな| ├(3) 色のあかいものきいろいもの   →(細部3)
  └ものがある┘ └(4) あまいものすっぱいもの     →(細部4)

 りんごには、いろいろなものがあります。はやくできるものもあれば、おそくできるものもあります。かたちの大きいも
のもあれば小さいものもあります。色のあかいもの、きいろいものもあります。あまいのも、すっぱいのもあります。
 

 A 要点は、細部に述べられていることを一段と高いレベルで 抽象化 して述べている。
     (下位概念)   (上位概念)
    道がなくなる┐
          ├―  交通が止まる  
    列車が止まる┘
              <要点>

 雪のために道がなくなることがあります。列車が止まってしまうこともあります。ブルドーザーで道の雪をおしのけた
り、ラッセル車でせんろの雪を取りのぞいたりするのです。しかし雪がひどくなると、雪かきもまにあわなくなって交通が
止まってしまうこともあります。
 

 「雪のために道がなくなること」と「雪のために列車が止まること」が述べられており、この二つの事実をその
共通点「交通が止まる」という一段と高い段階で抽象化して、「雪がひどくなると、交通が止まってしまいます」
とまとめて、要点を述べている。
                                                     107
このように、要点は、細部に具体的に述べられていることがらを、その共通点に立って抽象化している。
B 要点は細部によって分析され、 説明的 に述べられている。
   (要点)―――コバンザメは自分を守るにも、えものをとらえるにも、ほかの動物の力をかりる
    ↓
   (細部1)――サメやウミガメのおなかにすいついている
    ↓
   (細部2)――ほかの魚からおそわれる心配はない   
    ↓
   (細部3)――自分のからだは安全である      

  コバンザメという魚は、強いあい手から自分を守るにも、えものをとらえるにも、ほかの動物の力をかりて、のんきにく
 らしています。コバンザメの頭の上には、むかしのこばんの形ににたものがついていて、それで、サメやウミガメなどのお
 なかのところにすいついてくらしているのです。サメやウミガメは強いのでほかの魚からおそわれる心配はほとんどありま
 せん。だからすいついているだけで、自分のからだは安全なわけです。(略)
 

 要点を「自分を守ること」と「えものをとらえること」の二つに分析し、それぞれについて、具体的に詳細に説
明している。
 このように、要点として、この段落で書き手が知らせたいこと、理解させたいことをあげ、その内容を分析して
詳細に説明する仕組みになっている。
 C 要占は、細部に述べられていることの中心的事項を、 要約的 にまとめて述べてぃる。
                                                     108

 めすのクマは、冬ごもりの間に、子どもを生みます。二頭ぐらいがふつうです。毋グマは大きいのに、生まれたばかりの
子グマは、とても小さくて、家ネズミぐらいしかありません。黒い毛糸のかたまりのようです。毋ダマのちちをすってそだ
ちますが、何も食べない毋ダマから、ふしぎなほどたくさんのちちが出るのです。
 

 ふつう、要するにこれこれだ、まとめるとこれこれになる、つまり、これこれだ、というような形で要点が述べ
られているのが、要約的な要点である。
 D 要点は細部との比較によって 価値的 に判断される。

 こうしているうちに、春が近づいてきます。どこかで小鳥の鳴き声がし、木のめがみどり色にふくらんできます。谷川の
こおりもとけて、水音が聞こえてきます。そのころクマは、しぜんに目をさまし、外のようすをうかがってあなを出ます。
 

 この段落に述べられていることは、春が近づいてきたということ(小鳥が嗚き、木のめがふくらみ、谷川のこおりも
とけて水音が聞こえる)くまが目をさましてあなを出る。ということである。この二つのことがらを読みとって、文
章の要旨(知識)に照らして価値判断をする。その上で、くまが目をさましてあなを出ることが要点であることがわ
かる。このように、書かれていることがらの価値を、文章の要旨(知識)に照らして判断して、より価値の高いもの、
より重要なものを要点とする。
 要点には、以上のようなものがある。これらの要点とその細部との関係を明らかにすることによって、要点を読
みとるときの発問や方法(学習活動)をくふうすることができる。
(3) 要点と段落との関係はどうなっているか
 @ 要点は段落のどこにあるか――要点の位置
 a 段落のはじめに、要点がのべられている。
 b 段落のおわりに、要点がのべられている。
                                                     109
 c 段落の中ほどに、要点がのべられている。
   はじめにいろいろなことがらについて述べたのち、それらを総括して要点を述べ、そのあとさらに別の観点
  から実例を述べて、要点をいっそう確かなものにするというような段落が多い。
   また、はじめに具体的なことがらをあげ、それらの共通点をとらえて抽象化して要点を述べ、さらに、その
  法則を具体的に他のことがらに適用してみるなどの段落もある。
 d 段落の中に、要点が述べられている箇所はなく、段落全体を要約して要点を読みとる。
 ア 要点を表わすことばを含んだ文が(いくつか)ある場合
   要点としてまとめるのに必要のないことばをけずって、要点を表わす文だけに要約する。
   それが二つの文にしたがっているような場合には、それを結びつけて要点とする。
 イ 要点を表わす文がない場合
   段落の中に述べられていることを要約して、この段落の要点を求める。
 このように、要点は段落のどこに述べられているかということは、単なる位置の間題ではない。段落の構造――
思考の過程、思考の発達と密接に結びついているし、学習の間題とも関連している。
 要点が段落のはじめにある場合は、低学年児童の思考の発達にあっているし、要点が段落の終わりにある場合は、
中学年児童の、説明的、分析的思考の発達に見合っている。要点が段落の中ほどにある場合は、かなり複雑な、高
度の思考を必要とする。
 A 段落の要点は、その段落だけではなく、文章全体の中で、段落相互の関係において決まる。
 「めずらしいさかな」(光村三年)の、シビレエイについて述べた文章と、テッポーウオについて述べた文章とを
例にあげると、つぎのようなことがいえる。
 シビレエイのめずらしさは、「ほかのさかなが知らないで近づいてくると、いきなり電気を出してしびれさせ、
そのさかなをとってたべてしまう」ことである。
                                                     110
 テッポーウオのめずらしさは、「岸べの草などにに止まっている虫を、水でっぽうでうちおとす」ことである。
 めずらしさという観点からは、ここに述べたことが要点といえる。しかし、この文章では、はじめに「えものを
とるのにかわったやり方をするさかなからしょうかいしましょう」という観点が与えられている。したがって、こ
こに述べられたことは、細部1と細部2となり「えものをとるかわったやり方」として、共通点が抽象され、統括
されてしまう。
 要点は、文章全体の構造の中で、段落相互の関係の上に立った把握がされなければならない。
 このことから、段落の要点を読みとる意識と、その必要性・必然性が出てくる。
2 発 達
 要点を読みとる構えや技能の発達について調査した結果、その発達の明らかな点について述べると、つぎのよう
になる。
 (1) 文章全体を読む場合の、読みの構えの発達
低学年では、書いてあることがらを、叙述されているとおりに読みとる。(抽象化することは困難)
中学年では書いてあることがらを、要点的に読みとる児童がかなりいるが、必ずしも詳細を読みとった上で要点を
押えているとはいえない。直観的に要点を読みとっている。
高学年では書いてあることがらを、要約的に読みとる児童がかなりいるが、必ずしも詳細を読みとった上で要点を
押えているとはいえない。
 (2) 文章の内容の読みとり方の発達
                                                     111
低学年では、書いてある具体的なことがらを読みとる。
中学年では、要点と細部との関係を考えて、要点を読みとることができる。
高学年では文章全体に書いてあることがらの、論理的・抽象的な関係判断によって要点を読みとることができる。
 (3) 要点の位置による読みとり方の発達
低学年では要点がはじめに述べられている段落の要点を読みとることができる。
中学年では要点が終わりに述べられている段落の要点を読みとることができる。
 要点が中ほどに述べられている段落の要点を読みとることができる。
高学年では、段落を要約して、要点を読みとることができる。                    
 (4) 課題に即した要点の読みとり方の発達
   低学年でも、筒単な文章なら、課題に応じて要点を表わす文を押えて読みとることができる。
   中高学年では、課題に応じて、全体直観的に要点を読みとることがだんだんできるようになる。
3 指導法                                          `
 (1) 直観的に要点を読みとる技能の指導
 書き手の意図、要旨にそった読みの課題を与えて、文章を読ませると、直観的にその要点を読みとることができ
る。その初歩的な指導については、第V章の「一年の読解技能の養成」の中の「ぞうの はな」の読解の実践例に
詳しく述べてある。それをかいつまんでいうと、「ぞうはどんなときにはなをつかいますか」という課題によって
読ませると、その文章の要点である「ぞうはものを食べるときにはなをつかう」「ぞうは水を浴びるときにはなを
つがう」「ぞうは敵と戦うときにはなをつかう」という三つのことがらを読みとることができる。
 また、「めずらしいさかな」(光村三年)の文章の第一段落は、話題を紹介し、課題を与えて読みの構えを持たせる
段落になっている。この文章の読解にあたって、「どんな点がめずらしいのか」という課題を持たせて読ませると、
文章全体を読み通して、直観的に、さかなのめずらしさを総括して述べている部分を要点として読みとることがで
きる。この場合、標題に即して、「めずらしいさかなにはどんなのがいますか」という課題で読ませたのでは、こ
の文章の要点は読みとれない。
 このように、直観的思考を働かせて、直観的に要点を読みとる指導では、読みの構え、つまり、課題の与え方が
だいじである。
                                                     112
 (2) 分析的に要点を読みとる技能の指導
 直観的に読みとった要点を、確認したり、訂正したりするために分析的に読む段階で、要点を読みとる技能を養
成する。つまり、読みとった要点と細部との関係を判断し、理解させて、要点を確認する方法をとる。つぎに、
 「めずらしいさかな」を読解した際の実際について述べてみる。
 児童が直観的に読みとった要点にはつぎのものがある。
 a えものをとるのに変わったやり方をする。
 b 自分のからだから電気を出す。
 c ほかのさかなが知らないで近づいてくると、いきなり電気を出してしびれさせ、そのさかなをとってたべて
  しまう。
 d 岸べの草などに止まっている虫を、水でっぽうでうちおとす。
 e 水でっぽうでうちおとす。
 f 一メートル近くもはなれているところにいる虫をめがけて、さっと水をふきつけるのです。虫がおちてくる
  と、ぱっととびついてたべてしまいます。
 g シビレエイ
 h デンキウナギ
 i デンキナマズ 
 j テッポーウオ
 aは、要点を抽象的にとらえたもの。つまり、「電気を出してしびれさせる」「水でっぽうで打ち落とす」を、
 「変わったやり方」として抽象化したもの。
 b、eは、部分的に反応し、臭体的なめずらしさを要点と考えたもの。
 d、fは、要点と細部とが読み分けられないもの。具体的な細部を要点としている。

 g、h、i、jは、個々のさかなの名をあげたもので、課題に応じて読んでいないもの。
 そこで、これらの読みとった結果を、文章の内容を組みたてた過程に従って関係的に整理すると、つぎの表のよ
うになる。
                                                     113


     <魚>   < えもの > <かわったやり方>
           |       |
―・シビレエイ ―┐ |┌電気を出してしびれさせ
―・デンキナマズ―┼魚を┤ |
―・デンキウナギ―┘  └とってたべる

            ┌てっぽうでうちおとす 
―・テッポーウオ――虫を┤ |
            └とびついてたべる
  
 このように、整理すると部分的な読みとり
しかできなかったものも、抽象的な把握ので
きたものもともに、構造的に位置づけられ要
点との関係を判断することができる。
 左の図のように、段落の内容を構造的にと
らえ、それらの相互関係を判断すると、えも
のを取って食べる方法を(課題に応じて)、「か
わったやり方」として抽象化し、それを要点
としてとらえることができる。
 (3) 段階的に要点を読みとる技能の指導 

 段落の要点を読みとる場合、つぎのような過程と段階を追っていくと要点を読みとることができる。たとえば、
段落を読んで具体的事実(詳細)を読みとる。それが六つのことがらになる。そのうち、始めの三つの共通点は何か。
あとの三つの共通点は何かというようにして、二つの項目にまとめる(抽象化)。その二つの項目を一つにまとめて
書いてあるのはどの文かというように読み進めていって要点を読みとる。
 その場合、つぎのようなプリントを作って、それを手がかりにして読んでもよい。

 イ 「 」のところを読んで、つぎのことをべんきょうしましょう。
                                                     114
@ さくしやがだれでも知っているあたりま
 えのことだと思って、せつめいしているこ
 とはなんですか。
                         左のことは、鳥の
              がかるい……………┐ からだがどうだと
A どのことばから、そう考えましたか。    | いうことですか。   この二つのことは、
              ………………………|            鳥の   のかるい
B そのほかにかるいものはなんですか。    ├…鳥が   い………┐ ことです。
              もかるい……………|          | そうすると、このこ
C どうしてかるいのですか。         |          | とをまとめて一つの
                  ……………┘          ├…文で書いてあるとこ
D 鳥は空をとびながらでもなにをしますか。    左のことは、鳥の | ろがあります。
               をする……………┐ からだがどうだと | それを書きましょう
E それはどうしてですか。          | いうことですか。 | 
                  ……………├鳥が    い………┘ これがまとめた文で
F ですからどんなしくみになっていますか。  |            す。
                  ……………┘            


 (四) 必要な細部を読みとる技能の指導法

1 定 義
 細部は、文章の要旨や要点(つまり、中心的事項や基本的事項)に対して、具体的に説明している部分、あるいはそ
の下位概念、または、それを分析した各部分など、いわゆる詳細に述べている部分である。
 必要な細部を読みとる技能は、それらの細部のうち、特に読み手が、読みとる必要のある細部を読みとる技能で
                                                     115
ある。したがって、どの細部を読みとるかは読み手必要によって決められる。つまり、必要な細部は、読み手
の読む目的、必要によって決まるのである。たとえば、「運動会の案内状」で、特に「開始時刻」を知ろうとして
読む場合、その事項が必要な細部である。また、「伝記」で。特に、生まれた時の状況をくわしく読みとろうとす
る場合、それが必要な細部である。
 また、必要な細部の中には、文章の要旨や知識を明確に理解したり、叙述されている事項の相互関係を明らかに
したりする必要から、文や語の接続関係、承接関係など、細かい点に注意して読みとらなければならない部分もあ
る。
2発達
 学習指導要領では、四年生に「必要なところを細かい点に注意して読むこと」として、必要な細部を読みとる学
習をさせるようになっている。必要なことを選びだす技能は、かなり高度な技能で、四年生では、まだ不十分であ
るといわれ、五年生になって読みが深まり、細かい点にも注意して読み、正確に読みとる能力が発達するとされて
いる。
 四年生では、主として段落の要点を示してその要点を支える細部を読みとるとか、あることがらを示して、その
ことがらに対する細部を読みとるなどの活動が与えられる。
 五年生では、事典類や参考書などから、必要な細部を読みとることや、さらに高度な説明・解説・論説などの文
章から必要な細部を読みとる活動が行なわれる。
3 指導法
(1) 見出しなどに注意して必要な細部を読みとる場合                         ・
 遠足のしおり、旅行案内、工場や市場などの見学案内などを読む場合、見出しに注意して細部を読みとる方法が
ある。
 遠足の集合時刻、集合場所を知りたい場合見出しを見ることによって早く時刻や場所を知ることができる。
                                                     116
 さかなのねだんはどのようにして決めるか、を知りたい場合、市場案内書の「せり市」の見出しを見ることによ
って、早くねだんの決め方を知ることができる。
(2) 索引を利用して必要な細部を読みとる場合
 「星」について書いてある参考書を読む場合、特に「金星」についてくわしく知りたいときは、まず、索引やも
くじなどによって、金星について書いてある部分をさがしだしてそこを読む。
(3) 指示語や接続語に注意して必要な細部を読みとる場合
 要点と細部との関係を明確に読みとる場合、その関係を表わすことばに注意して読みとっていく方法がある。
  「たつのおとしごも、色や形が海草ににていますが、この魚は、動作にとくちょうがあります。てきが来ると、
海草におでまきついて、すがたをくらますのです。また、へらやがらという細長い魚は、てきにおそわれると、じ
ぶんのからだににた形のかいめんのそばに、急いで行って、さか立ちのかっこうでじっとしています。(四年)」
 「動作にとくちょうのある魚はなんですか」という質問によって必要な細部を読みとる場合、「この魚」が、た
つのおとしごを指し、「また」によって、へらやがらも同類の魚であることを読みとらなければ、「たつのおとし
ごとへらやがら」という答えはだせない。
 このような例は、説明・解説文などに特に多い。指示語。接続語などの読みとりは、細部を読みとる場合のだい
じな基礎技能である。
(4) 文章全体を読んで、必要な細部を表に記入する
 文章全体から、要点やことがらを導きだしその細部を表解することは、ある知識を集約して身につける上からも
だいじな技能である。たとえば、「魚の感覚」について書いた文章を読む場合、「魚にはどんな感覚があるのか」
 「それらの感覚はどうなっているのか」このすべてを知りたいわけである。そこで、表解して集約する方法が考え
られる。
  『どんな感覚があるか』に対して、この場合「どうなっているか」が細部で、「感じる力だとか、人間との比較
                                                     117

感  覚  感 じ る ち か ら  人 間 と の 比 較 
(目で)見る  にじの七色―赤・黄・だいだい・緑・青・あい・むらさき
紫外線 大・小・形のちがい 
人間の目には色として感じない紫外線まで 

                                              (以下略)
など文章の細かい部分を読みとって表に記入する。表に記入する場合、必要なことがらをひろいあげて記入するこ
とはもちろんだいじな技能であるが、どのような表を作るかどのような項目の記入欄を作るかを考えるのもだいじ
な技能である。

 (五) 意図一要旨を読みとる技能の指導法

1 定 義
 文章を書く場合、書き手が読者に訴えよう、考えざせよう、理解させようとすること、つまり、書き手の心づも
りが意図である。したがって、書かれた文章・作品そのものが、読み手に理解させ、鑑賞させようとする中心思想
が文章の要旨であり、作品の主題である。したがって、意図と要旨・主題とは一致する場合もあり、しない場合も
ある。学習指導要領では、ここでいう要旨を意図と考えているので、便宜上意図を要旨の意味にとることにする。
 意図(要旨)を読みとる技能は、文章全体を読むときに、直観的に働く。また、段落の要点をおさえて、要約して
意図(要旨)をまとめるときにも働く。これは文章読解における基本的技能である。
2 発 達
 意図(要旨)を読みとる能力は、 一般的にいって、四・五年のころに特に発達するといわれている。低学年では、
                                                     118
書いてあることがらのだいたいを読みとる技能が中心であり、中学年では、段落の要点を読みとる技能が中心であ
る。特に段落を要約して要点を読みとる技能は意図を読みとる技能と結びつく。
 意図(要旨)を読みとるというのは、意図がことばで書き表わされているのを読みとって理解することではない。
ことばの上に表わされていない意図を理解することである。たとえば「さるも木から落ちる」という文を読んで
「ゆだんをするな」という書き手が訴えている意味を理解することである。つまり、ことがらの奥にある深い意味
を読みとることである。したがって、三年のころから、叙述に即して読みながら、意図につながることばを手がか
りにして意図を理解するようになる。また、意図を述べている段落もわかるようになる。高学年では、直観的に意
図が読みとれるようになる。直観的に読みとった意図を、段落の要点をおさえ、段落相互の関係を明らかにしなが
ら意図を確かめることもできるようになる。
3 指導法
(1) 全体直観読み、分析読み、体制読みの過程をたどって意図を読みとる技能を学習する場合
 @ 文章を読むにあたって、読みの課題について話し合う。
 A 課題にそって文章全体を読み、書き手がいおうとしている意図・ことがらをノートに書き出す。
 B 読みとった意図(ノートに書いたことがら)を発表する。
 C 発表した意図をもとにして、さらに全文を読み、直観的に意図を読みとる指導をする。
 D 読みとった意図を確認するために、分析的に文章を読む。
  a 文章全体をいくつかの段落にまとめる。
  b 段落相互の関係を考えて、要点を読みとる。
  c 段落の要点をおさえて要約して意図をまとめる。
  d まとめた意図を直観的に読みとった意図とを比べ確かめる。
                                                     119

     三 読解の方法的技能の指導法


 (一) 段落にまとめて読む技能の指導法

1 定 義
 文章を読みながら、そこに表現され、叙述されている事項のまとまりと、他のまとまりとの区別を判断し、認識
(大段落)         (小段落)

 ┌――1動物園にはたくさんの動物がいる  
 ↓

――2ぞう               
――3ライオン             
――4こうていペンギン         
――5きりん              
――6カンガルー            
――7さる               

 ↑
 └――8動物園にはたくさんの動物がいる  
する技能が「段落にまとめて読む技能」である。
つまり、あることがらや思想(中心的思想、基本的事
項等)についての叙述の及ぶ範囲を判断し、限定
する技能である。
2 発 達
 段落にまとめて読む技能は、叙述されているこ
との異同を区別する低次なものから、より高い次
元に抽象された意味のまとまりの範囲を把握する
高度なものへと発達する。
 どの学年で、どの程度のごとができるか、その
実態を本会が一九六五年一〇月から翌年三月まで
に各学年二学級の児童を通じて調査した。それに  

                                                     120


よると、だいたいつぎのようである。
(1) 二年の実態
 二年生で「どうぶつえん」という左図のような
内容と構造をもった文章を読ませて調査した。
 「動物園には、たくさんの動物がいる」という
叙述の範囲をどのようにとらえられるかを見たわ
けである。  

 その結果「あることがらが、ある範囲内に書かれている」ことは、だいたいわかる。また「ここからは書いてあ
ることがらが違う」ということが、だいたい判断できるようである。
(2) 三年の実態
 三年生では「みの虫」(少年の観察と実験文庫『小さな虫たちのすみか』に取材、書きおろしたもの)という左図のよう

な内容と構造を持った文章を読ませて調査した。
 <実験>―では三六・〇%。<実験>2では、六〇・〇%、
<実験>3では七八・六%段落に区切ることができた。
 <実験>1と<実験>2は技能的には、ほぼ同じ難易度を
持っているが、1の場合は、「○○さんのいったことが書い
てある段落全部に「」をつけなさい。」と指示したために、
 「○○さんのいったこと」が児童に十分徹底しておらず、こ
のような低い結果となったものと考えられる。
 <実験>2は「『この虫が。みの虫と呼ばれるのは、みの
のような形をした、すの中にすんでいるからです』と発表し

                                                     121
ましたが、そういうことが含まれている段落は、どこから、どこまでですか。「」をつけなさい。」というように指
示した。『』の中は、この段落における基本的な事項である。
 このように三年生では、中心的な思想、基本的な事項を与えれば、その叙述の及ぶ範囲(段落)を判断し、限定
することが、かなりできそうである。
 <実験>3は、「五段落は、どこからどこまででしょうか。「」をつけなさい」というように指示し、調査した
ものである。残るのは、二段落(形式的には三段落)で、それを中心的な思想、基本的な事項を与えないで、区切ら
せた場合である。このようなことも、せまい範囲なら、かなりよくできそうである。
(3) 四年の実態

(大段落)           (小段落)
 四年生では「天気とわたしたちの生活」という、
左図のような内容と構造をもった文章を読ませ調
査した。
  「この文章は、三つの段落にわけることができ
ます。段落のくぎりに「」をつけなさい」とい
う指示に対して、つぎのような反応を示した。
  三段落とも正解のもの  三五・〇%
  一段落だけが正解のもの 五二・九%
  二股落だけが正解のもの 三五・二%
  三段落だけが正解のもの 五〇・〇%
 この実験で、わたくしたちがねらったことは。
より大きな意味の範囲の把握が、どの程度できる
かという。ことである。 

                                                     122
 大きな意味にまとめていくには、小さな意味のまとまりと、まとまりとの関係をとらえ、より高い次元で抽象し
なければならない。特に第二段落ができていないのは、こうした思考が、この学年ではあまりスムーズには、行な
われないことを物語っているといえよう。
 しかし、「三つに分けなさい」という指示によって、中心的な思想、基本的な事項を三つに抽象して考えようと
する能力がかなり芽生えているといえよう。

(5) 五年の実態
 五年生では「飛行機雲」という、左図のような内容と構造をもった文章を読ませ、その実態を調査した。
 「この文章はいくつの段落にわけて書いてありますか。段落のくぎりに「」をつけなさい」という指示で段落

(大段落)         (小段落)
にくぎらせた。その結果は、つぎのようである。
 三段落にわけたもの 四八・〇%
 四段落にわけたもの 一四・四%
 五段落にわけたもの 二四・〇%
 六段落にわけたもの  四・八%
 この実験の指示と同じ指示で、四年生でも行なったが、四
年生では、四九・四%が、小股落(形式段落)どおりにくぎっ
たのに対し、ここでは、小段落相互の意味を関係的にとらえ、
より抽象度の高い意味によってくぎろうとする傾向が見られる。
(5) 六年の実態
 六年生では「やきものしらべ」という次図のような内容と
構造をもつ文章を読ませて調査した。 

                                                     123


  (大段落)      (小段落)
  「この文章は、いくつの段落に分けて書いてあるでしょ
 う。段落のくぎりに「」をつけなさい」という、五年生
 と同じ指示でくぎらせてみた。その結果は、つぎのように
 なっている。
  三段落に分けたもの 五七・二% (内正解四六・二%)
  四段落に分けたもの 三三・〇%
  五段落に分けたもの  四・四%
  このように六年生では、広い意味の範囲を、かなり主体
 的につかむことができるといえそうである。
  以上の結果をつぎにまとめてみる。
二年>あることがらが、ある範囲内に書かれていることは、
 だいたいわかる。また、ここからは、書いてあることがら
 が違うということが判断できる。
三年>文章を構成している中心的な思想、基本的な事項を
 与えれば、その叙述の及ぶ範囲を限定することができる。

四年>段落の数を与えれば、基本的な事項が直接叙述されていないものについても、ある程度くぎることができ
 る。また、意味を抽象化していこうとする芽生えも感じられる。
五年>段落の数を与えなくても、段落相互の関係を考え、広い範囲にくぎることができる。
六年>一段と高いレベルで抽象された意味の範囲を、かなり正確にとらえることができそうである。
3 指導法
  「段落にまとめて読む技能」は、ことがら、要点・要旨等の、文章の内容を読みとる技能に方法的に関連しな
                                                     124
がら働く技能である。
 文章の内容を読みとるということは、技能的にいえば、ことがらを読みとること、要点を読みとること、要旨を
読みとること、等でもある。したがって「段落にまとめて読む技能」は、ことがら、要点、要旨等を読みとる技能
と、方法的に関連しながら指導することが望ましいと考える。
 このような考え方に立って、つぎに、その方法の一例を挙げてみたい。
(1) 主として低学年の例
 @ 段落を使って、ことがらを読みとる方法
 概して低学年では、課題に答える読みが多い。その際に、課題に答えるための叙述の範囲を明確にし、思考させ
ることも、忘れてはならない方法の一つであろう。。
 たとえば「どうぶつえん」(前述、2発達、二年の項参照)という文章を読む。この場合、「動物園には、たくさ
んの動物がいますね。そのことは、どこから、どこまで読めばわかりますか」というように、ことがらの述べられ
ている範囲(段落)を限定する。それから「どんな動物がいるか、そこを読んで、ノートに書いてみよう。」という
ことで、そこに書かれた内容を、もれなく正確に読みとらせていく。
 この際、最初から、文章の形式を中心にしていくと、読みが形式化され、読みの興味が阻害されたり、能力の実
態に即応できない学習となるので、学習過程上の位置づけに十分な考慮が必要である。
 A 読みとったことを段落を使ってまとめ、理解する方法
 低学年の児童の読みとりかたは、一般に断片的、部分的なものが多い。これをそのままにしておくと、知識とし
て理解されにくい。そこで、段落を使ってまとめ、理解を確かなものにしていこうとしたいわけである。
 たとえば「かたかなで書くことば」という文章がある。
 この文章は、
 a 「かたかなで書くことばには、どんなものがあるでしょう」と、問題提起をし、つぎに
                                                     125
 b 「よその国からはいってきたことば」を、かたかなで書くことを、例をあげて説明し、
 c 「外国の国名、人名」の表記もかたかなで書くことを、例をあげて説明している。また、
 d 「擬音・擬声語」の表記も、かたかなで書くことを、これも、例をあげて説明している。そして、
 e 「かたかなで書くことばを集めよう」
 ということで、この文章を結んでいる。
 この文章を読んで{子どもたちが、まず理解することは、かたかなで書くことばの例としてあげられたことがら
である。そこでこの読みとったことをもとにして、「これらは、どこのことばですか。」「外国から来たことばをか
たかなで書くということの説明は、どこから、どこまで書いてありますか」などとたずね、意味のまとまりを発見
させる。そして、かたかなで書くことばには
 1 外国からきたことば、
 2 外国の国の名まえ、外国人の名まえ
 3 音や動物の声
というように、段落を使って、まとめ、かたかなで書くことばを理解させる。
(2) 主として中学年の例
 @ 読みとった要点を、段落を使ってたしかめる方法
 たとえば、全文を読んで、わかったことを箇条書きする。つぎに、これを検討する。その方法として「○○のこ
とは、どこからどこまでに書いてあるか」といって、その意味の範囲を限定し、要点を明らかにしていく。

 (一) 大阪城は、大阪の名所の一つである。┐
 ┌―――――――――――――――――――┘
 |┌―@ほりの美しさ
 └┼―A城の石の大きさ
  └―B天守閣からみえる景観
もっと具体的に説明すると、たとえば、ここに、左のような文章構
造をもった文章(一節を例記する)がある。
 この文章の読みとりかたは、(一)としてまとめて読みとるもの、@
ABとバラバラに読みとるものなど、さまざまである。

                                                     126
 そこで「大阪城のことは、どこから、どこまで書いてあるか」をみつける。そして、(一)、@、A、Bの関係を
考えさせる。
 このようにして、@、A、Bは(一)の、「大阪城は大阪の名所の一つである」由因を述べたものであることを知り、
その要点である(一)を、はっきりと、構造的に認識する。
 A 段落を使って、読みとったことを組織し、全体を読みとる方法
 たとえば「動物の変相」について、つぎのように書かれた文章がある。
 a 動物は、それぞれ身を守るためのしくみを持っている。
 b 身を守るためのしくみの例
  ア まわりのものとよく似た色で身を守る。
  イ まわりのものとよくにた形で身を守る。
  ウ すばやい動作で敵の目をくらまし、身を守る。
 c 動物の変相は、種族と、生命を守るために、動物たちが、生まれながらに持っているしくみである。
 この文章の内容は、つぎのように組織させる。

     問題提起
      | ┌例 1
 結 論――┴―┼例 2
        └例 3
 このように組織するには、「間題提起の段落」「例をあげた段落」「結論を
のべた段落」などと判断する必要がある。そのために「この文章を三つの段落
に区切りなさい」とか「例は、何をいいたいためにあげたのでしょう」という
ように考えさせる必要がある。
 こうして、段落と段落との関係が有機的に結びつき、全体が理解されていく。

(3) 主として高学年の例
 @ 段落を使って要旨を読みとる方法
  要旨(意図)のはっきりした文章を読む場合に適用する。たとえば、意見を述べた文章などを読む場合である。
                                                     127
 高学年の児童ならば、直観的に、その文章の要旨(中心的思想・意図)を読みとることができる。それを検討する
ために、文章を段落にわけてみる。あるいは、「どうしてそのようなことがいえるのか調べる」つまり、要旨を支
える要素や、文章の構造を調べる。そのために段落に分けて考えてみる。このようにして、直観的に読みとった要
旨が、文章表現に即して分析され、確認、修正されていく。

 (二) 文章を要約する技能の指導法

1 定 義 
 要約する技能は、文章の大事なことを読みとって短くまとめる技能である。
 したがって、読みとったことを縮約する技能と、読みとったことをまとめる技能とを合わせたものと考えること
ができる。
 この技能は、文章の内容を直接読みとって理解するための技能ではなく、内容の理解を助ける方法的技能である。
2 発 達
 指導要領では、「要約」は六年の指導事項としてとりあげられ、つぎのような系列の中に位置づけられている。
o二年……書いてあることのだいたいを読みとること。
o四年……文章を段落ごとにまとめて読むこと。
o六年……要点を抜き出したり、全体を要約したりすること。
o中学二年……説明的文章の内容を正確につかみ要約すること。
 しかし、要約力は、四年ごろからつき始める。四年の指導事項として、ほかに、聞いたことをまとめる。考えを
まとめて話す。書こうとすることがらをまとめてから書くというように「まとめ」が強調されているのも、それを
物語っている。
                                                     128
 また、養成する技能として、
o二年……文を圧縮して、大事なこと、中心になることを読みとる技能。
o四年……要点を読みとるため段落を要約する技能。
o五年、六年……文章の意図、要旨を読みとるため文章を圧縮する技能。
としてとらえたゆえんも、そこにある。
 文章の難易の度合い、要約の程度によっては、中学年でも、指導は可能であるが、文章全体の要約は、高度の思
考を要するので、六年の大事な指導事項としてとりあげられている。
3 指導法
(1) 要点文を要約する場合
 段落には、要点をあらわす文がある場合とない場合がある。要点をあらわす文には、それがそのまま要点である
場合と要点以外のものをも同時に表わしているものとがある。その場合には、要点以外のものをけずって、要点を
明確にする必要がある。このときに要約する技能が働く。
 たとえば、

てい防ができあがると、内部の水がポンプですいあげられ、てい防の外にはきだされる。 

の文は、ある段落の要点をあらわす文であるが要点以外の内容も含まれている。
 そこで、要点以外のことば(傍線の部分)をけずると、つぎのようになる。

てい防ができあがると、内部の水が、てい防の外にはきだされる。 

こうすると、要点がいっそう明確になる。
この方法を消去法ということにする。
 要点以外のことばを消去する場合に注意することは「何がどうした」「何は何だ」「何はどんなだ」というよう
                                                     129
に、その文の文脈の上にたってことばをけずることがたいせつである。
(2) 二つの文の内容を要約する場合
 段落の要点が、二つの文によって表わされている場合がある。
 その場合には、消去法によって、それぞれの文を要約してから、二つの文の内容をまとめて、さらに、一つの文
に要約して要点をいっそう明確にする。
  たとえば、

@小鳥の大すきな清水先生に教えていただいて、六年前から、みんなですばこを作り始めました。Aそれからもう五百個
以上も作って、森の木にかけてやりました。 

の二つの文を、それぞれ要約すると、つぎのようになる。
a 六年前からみんなですばこを作り始めました。
b 五百個以上も森の木にかけてやりました。
 要約したこの二つの文を、さらに、一つにまとめて要約すると、つぎのようになる。

六年前から、みんなですばこを作り始め五百個以上も森の中にかけてやりました 

 このようにして、消去法と。総括法とを使って文章を要約することができる。
(3) 段落を要約して要点を読みとる場合
 段落には、要点をあらわす文のない場合がある。その場合には、書かれている内容を読みとり、それらを要約し
て要点を読みとる必要がある。
 たとえば、

@近視は、小学生で約十人にひとりのわりあいになっています。Aそして、中学校から高校に進むにつれて、だんだん、そ
130
のわりあいが多くなっていきます。B高校生では、三人にひとりが近視になっているという。たいへんなふえ方です。 

の段落には、要点をあらわす文がない。この場合、この段落の要点を読みとるには、二つの方法が考えられる。
 一つは、直観的に読みとる方法である。
 それは、この段落で、筆者は何をいおうとしているのだろうかということを頭において読んでいくと、つぎのよ
うに読みとれる。
  「近視は、小学校、中学校、高校と進むにつれてふえていく」
 これが、この段落の要点である。
 他の一つは、段落を分析的に読みとってまず、書いてあることがらをはっきりつかむ。つぎに、それらのことが
らの中に一貫して述べられていることがらを抽象化するとそれが要点になる。
 たとえば、前の段落の
@の文は、近視の小学生が多いということをいっている。
Aの文では、中学校から高校に進むにつれて多くなるといっている。
Bの文では、高校生では、三人にひとりというたいへんなふえ方だといっている。
 この三つの文に共通していることは、近視がだんだんにふえているということである。
 このように、段落の中に書かれていることがらに共通している意味を読みとって要約すると要点がまとめられる。
 段落の内容を要約して、要点を読みとる場合には。前に述べた例のように
1 段落に書かれている内容の共通点を読みとって抽象化する方法
のほかに、
2 段落の中に書かれている個々のことがらを総括して要点を読みとる方法
3 段落の中に書かれているいくつかのことがらを読みとって価値判断をして要点を読みとる方法
                                                     131
などがある。
(4) 文章全体を要約する場合
 文章の内容を要約する場合にも、二つの場合が考えられる。
 一つは、文章を要約して要旨や中心的事項を読みとる場合、他の一つは、文章の内容を縮約して大意、梗概など
を読みとる場合である。つぎに、その方法について述べる。
 @ 直観的に読みとった要旨や中心的事項を確認するために要約する場合
 この場合は、
 a 文章を直観的に読んで、その要旨や中心的事項をおさえる。
 b 文章を段落にわけて段落の要点を読みとる。
 c 読みとった段落の要点をまとめて要旨や中心的事項をおさえる。
 A 段落の要点をおさえて、大意・梗概を読みとる場合
 この場合には、文章の内容を縮約的に読みとって、その大意や梗概をおさえるのであるから、
 a 各段落の要点を読みとる
 b それぞれの段落の要点をまとめて、その大意、梗概とする。
 以上、述べたことを、例をあげて、具体化してみると、つぎのようになる。

 A たかさき山のさるは、三百ぴき以上も、一つのむれになって住んでいる。これらは、今からおよそ四百年も前からこ
こにいたさるの子孫だと言われている。
 B たかさき山の東海岸よりには、くす・かし・つばき・山ざくら・むくなどのよくしげった森林があり、このあたりが
さるたちのおもな住み場所になっている。食料がたくさんあるからである。
 C さるたちは、夜が明けると、寺のえさ場や山の中のえさ場へ出かける。山のえさ場では、木に登って、小えだの先に
ある新芽を口でしごいて食べたり、花のあまいみつをすったり、草や木の実を食べたりする。
 D さるのねる所は、見晴らしのいい山のいただきで、大きな岩があり、しかも、高い木がたくさんはえている所である。
夜になると、さるたちはこの高い木に登って、静かにねむる。
 

                                                     132
この文章を要約して梗概を読みとる例
この文章全体を読んで、段落に分けると四つになる。四つの段落のそれぞれの要点は、
A たかさき山のさるは、むれになって住んでいる。‘
B たかさき山の東海岸よりは、さるたちのおもな住み場所になっている。
C さるたちは、夜が明けると、えさ場へ出かける。
D さるのねる所は、山のいただきで、大きな岩があり、高い木がはえている所である。
となり、この四つをまとめると次のようになる。
 「たかさき山のさるは、むれになって住みたかさき山の東海岸よりが、おもな住み場所になっている。さるたち
は、夜が明けるとえさ場に出かけ、ねる所は、山のいただきで、大きな岩があり、高い木がはえている所である」
 B 要約する文章の長さ
 要約文の長さは、だんだんに短くしていけば、要旨や中心的事項となる。
 そこで、どの程度の長さの要約文を作るかは 要約の目的によって決まってくる。
 たとえば、その文章の内容を紹介する場合、あるいは、心覚えに記録しておく場合、あるいは、学校新聞などの
記事にする場合、あるいは、研究の中に引用する場合などによって、その長さは決まってくる。
 しかし、一般的には。もとの文章の三分の一くらいにするのが適当と考えられている。

 (三) 批判的に読む技能の指導法

1 定 義
                                                     133
 批判的な読みは、叙述面の読み、解釈的な(表現的な)読みと並んで、意味や思想、すなわち、価値を獲得する過
程の一つの型である。
 批判的な読みとは、書き手があらわそうとした思想について、判断したり、評価したりしながら読む読み、また
はそれをめざした読みである。
 「批判的」といっても、主観的に読んで、自分の意見をいうというのではない。その底には、つねに、文章を正
確にくわしく、筆者の立場に立って読むという態度がなければならない。それがあってはじめて批判もできるし正
しい思考力も育つのである。
 批判的な読みは、方法的技能に位置づけられているが、正しい思考力をのばし、思想を豊かにするというたいせ
つなはたらきを持つものである。
2 発 達
 批判的に読むということは、前にのべたように、読んで自分の意見をいうというような表面的な批判ではない。
判断しながら読む、正しく読んで反応するという判断力をたいせつにする読みでなければならない。したがってそ
の技能も、思考力や判断力を伸ばすようなものが必要となる。
    批判的に読む技能 
 @ ことばの具体的な意味を読みとる技能
 A 書いてあることの異同を読みわける技能
 B 書いてあることの関係を読みわける技能
 C 要点と細部との関係を読みわける技能
 D 要点と要点との関係を読みわける技能
 E 読みとったことに対し、感想・意見をもつ技能
 F 自分の考えと、書いてあることを比べながら読む技能
                                                     134
 G 自分の知っていることと書いてあることを比べながら読む技能
 このほか。一般意味論的な面からみて、
 @ 事実と意見を区別する。
 A 誇張された表現に注意する。
 B 宣伝の手法に注意する。
などもあげられよう。Bは、現在の教科書教材にはでてこないものであるが、これからは必要なものだと思うので
つけ加えておいた。
3 指導法
 この技能はいつ、どのような活動によって身につくかを考えてみると、およそつぎの三つになるのではないかと
思う。
 @ 内容理解の読解の中で、より正確な読みをめざした活動をすることによって
 A 読みとったことについて意見や感想を書いたり話し合ったりすることによって
 B 特別に用意された問題文によるスキル学習をすることによって
 右のうち、特に@が最も機会が多いので、@を中心に、いくつかの技能を例にとってその養成の方法を考えてみ
たい。
(1) ことばの具体的な意味を読みとる技能
 これは、基本的で、最も重要な技能の一つである。一年生の例からあげてみる。

 どうぶつのなかまで、いちばん大きいのはくじらです。大きいくじらは、きょうしつを三つつないだぐらいあります。 

                                   (日書一年下「どうぶつのはなし」)
ここでは、「大きい」という語句の意味を具体的に読みとるのである。
                                                     135
 oどうぶつの中でいちばん大きいというのですが、どれくらいなんでしょうね。今まであなたがたが見たどうぶ
  つの中で、いちばん大きいのは何ですか。
 このような発問によって、自分の知っていることと、書いてあることがらを比べて考える力が働く。そして、ぞう
を思い浮かべ、ぞうより大きいということが実感としてとらえられるようになる。さらに「大きいくじらは、きょ
うしつを三つつないだくらいある」という文を読み、その大きさがよりはっきりとわかるのである。その時、でき
れば「大きいくじらは」という表現から、それよりも小さいくじらもいるということに気づかせたい。このような
活動によって、ことばの意味を、事実に即して具体的に読みとる力をつけていくのである。もう一つ例をあげよう。

  はにわを通して、わたくしたちは、四世紀から七世紀ごろの古代日本人の風俗や生活について、いろいろと知ることがで
 きる。当時の日本人がどのような住居に住み、どのような服そうをし、どのような道具を使っていたかということがわかる
 のである。                                        (東書六年上「はにわ」)
 

 oはにわを通して、古代日本人の風俗や生活がわかると書いてありますが、「風俗や生活」というものを筆者は
  どのようなものと考えているのでしょう。わかったことを書き出してみましょう。
 このような作業をしながら、ことばの意味を事実によって限定することの必要をわからせるのである。
(2) 要点とそれを支える細部を読みわける
 これは、要点を読みとる技能としてもだいじな技能であるが、ここでは、読みわけるだけでなく、細部がどのよ
うな根拠を提供しているかを読みとる技能もつけたい。

  正倉院がほかの建物とちがう点は、まず、ゆかが高く作られていることである。ゆかの下には、四十本の柱が立ち、その
 高さが二・四メートルもあって、おとなでも立って楽に歩くことができる。このように、ゆかを高くしておくと、風通しが
 よく、しっ気を防ぐことができる。                             (東書六年下「正倉院」)
 

 oこの段落の要点に線を引き、それをくわしくいっているところをノートに箇条書きにしなさい。
                                                     136
 この課題によって、要点とその証拠となる細部の関係を読みとらせる。また、高さをただ「高い」だけにしない
で、「二・四メートル」とか、「おとなでも立って歩ける」などのように、正確に、具体的に表現していることに
気づかせ、このような限定がない文章に出会った時はどのように考えたらよいかというような点もつけ加えておく
ことがだいじである。
(3) 異同を読みわける技能(比較・対比)
 二つのものを対比させながら一方を強調するというような説明のしかたをしている文章がある。このような文章
では、対応するものをしっかりとらえ、それぞれどのように説明されているかを正確によみとらせる。

  ひこうきも。ヘリコプターも、人やにもつをのせて空をとびます。
  ひこうきは、とおくまで飛ぶことができます。けれども、空中にとまっていることができません。また、ひろいひこうじ
 ょうがなければ、とびあがることも、おりることもできません。
  ヘリコプターは、あまりとおくまでとぶことができません。けれども、空中にとまっていることができます。また、ひろ
 いひこうじょうがなくても、とびあがることも、おりることもできます。         (日書2年1 ヘリコプター)
 

 oひこうきとヘリコプターのよいところとにがてなところをくらべて表に書いてみましよう。

  飛    行    機  ヘ リ コ プ タ ー 
よいと
ころ 
oとおくまでとぶことができます。  o空中にとまっていることができます。
oひろいひこうじょうがなくても、とびあがる
 こともおりることもできます。  
にがてな
ところ 
o空中にとまっていることができません。
oひろいひこうじょうがなければおりる
 ことができません。 
oとおくまでとぶことができません。 

                                                     137
 こうして表にしてみたりすると、飛行機とヘリコプターのちがいがはっきりする。
 二年生では少し無理だが、筆者が対比によってどちらを強調しようとしているか。その意図を考えるような指導
も、高学年になったら必要になると思う。
 以上三つの技能をとりあげて養成法を考えてきたが、実際にはこのように文章をこまぎれにしてやるのではない。
授業の流れのなかで、このような考え方をとり入れてみてはというサンプルを示したものである。
 批判的に読むということは読解指導の上であまり強調されていないが、思考力や判断力をつけるための重要な技
能であるから、今後もっと研究を進めなければならないと思う。


     四 読解の総合的技能の指導法


 (一) 読みとったことを組織する技能の指導法

1 定 義
 説明的な文章を読んで知識を身につけるには、二つの立場がある。
 一つは、書き手の経験や思考を、読む活動を通して再経験、再思考する立場である。この場合は、書き手の価値
の構造が。そのまま再構造化されて読み手の身につく。意図、要旨に迫る読みとりは、この立場である。
 これに対して、読み手の目的によって、課題にふさわしく読みとった知識を組み立てて身につける立場がある。
発表したり、調べたりする生活的な必要から読むのは、この立場に立つ読み方である。ここでは、読み手の目的が、
読みとる知識の内容を規定する。読み手の目的にしたがって、読みとったことを組み立てる時に働くのが組織する
                                                     138
技能である。したがってこの技能は、つぎのような技能が総合されて働く。
 1 要点を読みとる技能
 2 要約する技能
 3 読みとったことを箇条書きにする技能
 4 抜粋する技能
 5 読みとったことを表解する技能
 6 アウトラインを作る技能
 7 目的に応じて読みとったことをまとめる技能
 8 目的に応じて読みとったことを取捨選択する技能
 また、この技能は、「調べるために読む技能」と密接に結びついている。
2 発 達
 これらの技能は、言語経験を通して具体的に総合的に身につく。組織する技能が身につくためには、組織する技
能が働く言語経験が与えられなければならない。
 予想される言語経験としては、つぎのようなものがある。
o学級新聞を作る。    (三年)
o説明文を読む。     (四年)
o報告文を書く。     (五年)
o研究発表をする。    (五年)
o自由研究をする。    (六年)
 このような言語経験の中で、児童はそれに関連のある文章を読んだり、辞典や参考書を利用したりする。そして
読みとった知識は、目的にしたがって組み立てられる。
                                                     139
経験の発達からみて、組織する技能が身につくのは、中学年から始まって、特に高学年でいちじるしいことがわか
る。
3 指導法
 知識を求めるために読む材料は、歴史、地理、科学などを中心にさまざまであるが、何をどれだけ読むかという
ことは、読み手の目的によってきめられる。
 その場合、一つの文章を読めば、必要な知識が得られる場合と、いくつかの文章を読まねばならない場合とがあ
る。
 たとえば、「本の歴史」について知りたいときは、本の歴史について書いてある文章を読めばわかる。これは組
織する技能が働く初歩の段階である。

 「大昔の地球」について知りたいときは、大昔の植物や動物、土地のようすについて書いた文章を読んだり、図
鑑や辞典で調べたりする。そして、読んだり調べたりしてわかったことを集大成して、はじめて「大昔の地球」に
ついての知識を身につけることができる。
 これは、かなり高度な段階で。高学年では社会科や理科の学習と密接に結びついているが、その活動を支えてい
る技能の養成は、国語がになわなければならないものである。
 一つの文章を読んで、読みとった知識を組み立てる場合と、いくつかの文章を読んで、読みとった知識を組み立
てる場合とでは、おのずから指導の方法がちがってくる。
指導例 「本の歴史」(五年)
1 この教材は、本の発生から説明し、発達の過程をヨーロッパと日本に分けて述べたものであるが。まず題名や、
 書き出しの文をふまえて、
  「本の発達について読みとり、発表しよう。」という目的がきめられる。
2 本の発達について読みとるために、読みの観点がきめられる。
                                                     140
  oいつごろ (時代)
  oごどこで (場所)
  oどんな本が(材料・形状)
  oなぜ   (原因)
 高学年では、全文を読んでわかったことをもとにして、児童が自分たちで観点を決めることが望ましい。
3 読みとった知識をどのように組み立てていくかを含める。
 一般的に、発達的な知識を求めるために、ある歴史について書いてある説明文を読んだり、構造的な知識を求
 めるために、科学的な説明文を読んだりするときは、課題を追求するのにいくつかの観点で関係づけて読まねば
ならないので、表に書く作業を通して、読解していくのが効果的である。
4 学習活動の展開
  読みの目的にしたがって、段落にまとめたり、要点、細部を関係的に読みとったり、要約したりする。それに
 必要なさまざまな、能力を動員し、ことがらの関係を分析的に追求し、読みとった知識を表の項目別に記入する。

本    の    歴    史   
ど こ で  い    つ  ど ん な 本 が  な      ぜ 
 古代エジプト   紀元前数千年   木や石に絵文字を書きつけた。  

  項目ごとの記入は、どの項目も関係的に読みとっていく方法もあれば、はじめに時代と本の材料・形状のみ共
 同学習で読みとり、他は個人作業で読みとっていくという方法もある、また、ヨーロッパは共同学習ですすめ、
 日本は、個人学習で取りくませれば、技能の練習、あるいは定着度を評価することができる。このようにいろい
 ろな方法がくふうされてよい。
                                                     141
5 表を完成する。
  読みとった知識をもう一度文章にかえって検討する。こうして獲得された知識の精度が確かめられる。そして
 本の歴史的な発達の大系が知識化される。
指導例 「大昔の地球」
1 大昔の地球について調べて発表するという目標を設定する。
2 目的を達成するために、具体的な追求の課題を決める。
  ここでは「大昔の植物」「大昔の動物」「大昔の土地のようす」が必要な追求の課題になる。
3 課題ごとに、ふさわしい読みの観点を決める。
 oいつごろどんな植物が繁茂したか。
  その植物にはどんな特徴があるか。
 oいつごろどんな動物が住んでいたか。
  その動物にはどんな特徴があるか。
 o地形はどのように変化したか。
4 必要な資料を用意する。
5 読みとった知識は、具体化された課題ごとに、観点にしたがって表に書きこんでいく。

@
大昔の植物  
時 代  植物の種頬  特 徴 
     
A 
大昔の動物  
時 代  動物の種類  特 徴 
     
B
大昔の土地のようす
時 代  土地のようす 
   

6 課題ごとに読みとった知識を大昔の地球のようすについて知るという目的にふさわしく体系化する。その場合、
 それぞれの課題に共通した観点が、組み立てる基準になる。
                                                     142
ここでは、一つ一つの課題の内容が「時代」によって関係づけられ、発達的におさえられる。

時 代  地 形  植 物   動  物 
種類 特徴 種類 特徴
           
 
o指導上の留意点
1 「本の歴史」や「大昔の地球」の指導は、いずれも読み
 とったことを表に書き入れて組織するという方法がとられ
 ているが、このように組織する技能を働かせて表解するの
 は、いくつかの読みの観点で関係的に知識を読みとる時、 

 効果的な方法である。
2 大昔の植物の種類だけを知りたい場合は、どんな植物が生えていたかという観点で読めばよい。このように、
 目的を達成するために、一つの観点で読みとった場合は。抜粋して箇条書きにしたり、要約して文章表現するの
 が適切である。
3 読み手が、ある目的によって一つの文章を読む場合は、国語学習では単元の学習が終わって発展的に他の文章
 を読む時が、そのよい機会である。この場合は、単元の学習方法が転用でき、その時の技能が適用できる文章が
 望ましい。

 (二) 実験・作業等の手順・方法を知るために読む技能の指導法

― 定 義
 @実験のしかた、A物の作り方、B劇のしかた、C遊びのしかたなどを書いた文章を読んで、その手順・方法を
正しく理解して、そのとおりに作業し、行動することができるようにする能力。この場合、手順・方法を正しく理
解することが中心になる。
 この能力は、読解のいろいろな技能を総合的にふくんでいるが、この種の教材が低学年および中学年に多いこと
                                                     143
から、低・中学年で特に関係の深い技能をあげると、つぎのようなものがある。
o書いてあるとおりに読みとること。(二年)
o順序をたどって意味をとること。(二年)
o要点をおさえて読むこと。(三年)
o必要なところを細かい点に注意して読むこと。(四年)
 このような総合的な読解力を必要とする教材には、つぎのようなものがある。
@ 遊び方……あぶりだし遊びのしかた、運動のしかたなど
A 物の作り方……おもちゃの作り方、模型の作り方
B 実験・観察・飼育のしかたなど……植物栽培のしかた、動物飼育のしかたなど
C 調べ方、研究のしかたなど……かたかなの使い方、よい聞き方、話し合いのしかた、会議のしかた、本の読み
 方、辞書・事典の使い方など
 この技能の指導は、実験すること、作業することの読解指導であって、実験すること。作業すること自体は、学
習内容ではない。読解の結果理解した知識が適用できるところまでいくことが望ましいのである。したがって読解
技能を養うことに重点をおかなくてはならない。
2 発 達
 この種の教材は、低・中・高学年を通じて各学年にとり上げられているので、その読解技能も一年から六年にわ
たっている。したがって、指導要領に示されたそれぞれの読解技能の発達については、それぞれの項を参照された
い。
 また、この種の教材は、何を実験するか、何を作るかなど、その題材に対する児童の興味・関心・必要が読解を
すすめる上で、きわめてたいせつなものの一つである。
それぞれの技能の発達・興味・関心・必要等の発達段階を具体的に表わすものとして、教科書の教材がある。教
                                                     144
科書の教材は、児童の経験の発達をある程度表わしているから、各学年のおもな教材をつぎに掲げる。
o一年           o二年               o三年
 ・おきゃくさまごっこ    ・みぶりあそび           ・リボン人形の作り方
 ・がっこうごっこ      ・声あてあそび           ・指人形の作り方
 ・いろがみならべ      ・いろいたをつくりいろあわせ    ・やじろべえの作り方
 ・カレンダーづくり     ・ほかけぶねつくり         ・グライダーの作り方
               ・「さるのつなわたり」つくり    ・文集の作り方
               ・話し合いのしかた
o四年           o五年               o六年
 ・ノートの使い方      ・会議の運び方           ・百科事典の使い方
 ・かべ新聞の作り方     ・辞書の利用法
 ・学級新聞の作り方     ・手紙の書き方
 ・図書の利用
 ・見学記録の書き方
3 指導法
 この読解の指導法には、大別して二つのものがある。一つは、実験・作業の方法・手順を読み、それを理解した
あとで実験したり、作業したりする場合であり、他の一つは、読みながら実験したり、作業したりする場合である。
 つぎに、それぞれの場合について考えてみよう。
(1) 実験・作業の方法・手順などを読みとり、理解したあとで実験・作業をする場合
 この方法が、読解指導としては、一般にとられているものである。それは、読解活動と作業などとをはっきり区
                                                     145
別することによって、読解指導―指導事項―を明確にすることができるからである。
 教材名「おどる かげえ」(東書 一年)
 @ 文章(構成)
 (一) 作り方
  1 わくの作り方 @中を切りぬく。A半紙か障子紙をはる。
  2 紙人形の作り方 @切りぬく。Aわくにはる。B頭・手・足の先をそらす。
  3 紙人形の材料について
 (二) 遊び方
  1 電燈で遊ぶ場合
  2 懐中電燈の場合
  3 もっとおもしろくするしかた
  以上のように使い方、遊び方をはっきりした段落で書き分け、しかも、各ページに多くの絵を入れて説明の不
 足を補った文章である。
 A 学習指導計画(四時間 作るを含む)
 ・作り方、遊び方のだいたいを読みとるために全文を読む。(一時間)
 ・作り方をしらべるために読む。(一時間)
 ・遊び方をしらべるために読む。(一時間)
 ・作り方、遊び方をはっきりさせてから「おどるかげえ」を作って遊ぶ。(一時間)
 B 指導例
  ・「おどるかげえ」を作るのに、準備するもの(材料と道具)を読んでノートに書きなさい。
  ・ボールがみ(半紙の半分ぐらいの大きさ)
                                                     146
 ・はんし、または、しょうじがみ
 ・がようし(はがきの古いものでもよい)
 △はさみ
 △のり

 これによって要点を読みとること、必要な細部を読みとることの素地が技能として身につき、書いてあるとお
りに読む技能も養なわれる。
o「おどるかげえ」を作る順序に、1、2、3、4と番号をつけてノートに書きなさい。
 1……きりとって……つくります。
 2このわくに……はります。
 3…………
  このように、「何をどんな順で、どうする」という読ませ方によって、順序を表わすことば、指示するもの
 などをふまえて、順序をたどって読みとる技能を身につけさせる。
oこの絵のことは、どこまでに書いてありますか。
o「人の かたちに切ります。」と書いてありますが、どんなかたちに切るのがよいのでしょう。絵を見て話し
 なさい。
 などの発問から本文と絵とを対照させることによって、説明のまとまり、本文の表現不十分なところ、必要

ようい
するもの 

つくる
じゅんじょ 

2 
な細部などを読みとる技能を身につけさせる。
 また、読む目的を明確にさせて、つぎのような用紙に読み
とったことを書かせ、みんなで話し合い、読みを深めること
も技能養成には有効な方法である。 

C 留意点
                                                     147
  「おどるかげえ」を作るために読むという読む必要感をつねにもたせること。(読みを進める過程で読む意欲
 がうすれたり、細部を読むことが軽視されることがある)
(2) 読みながら実験したり、作業したりして読みを進める場合
 日常生活におけるこの種の文章の読みでは、この方法がとられている。これがこの種の文章の自然な読みでもあ
る。
 教材名「ひこうきの 作り方」教出
    二年上(単元「ざっし」の中の工作のページ)
 @ 文章(構成)
  oよういするもの
   1 あついがよう紙
   2  …………
  o作り方
   1 ………
   2 ………
  用意するもの、作り方をかんけつに順序よく箇条書きにし、各ページとも上部に、つばさの形状を明示した図、
 作る順序を図解した絵などをはっきり書いたもの。
 A 学習指導計画(二時間)
  ・飛行機を作ることについて話し合い「飛行機の作り方」を読みながら飛行機を作る。……………(一時間)
  ・でき上がった飛行機をもとに、材料、作り方について「ひこうきの作り方」を読みながら話し合う。…(一時間)
 B 指導例
  ・「作り方」を読みながら飛行機を作ってみましょう。
                                                     148
  ・文章と図をくらべながら読みなさい。  ・
  ・つばさの大きさは書いてあるとおりに正確につくりなさい。
  これらの指示によって文章と図、絵を対照して読むこと、「わりばしのわれめにのりを つけて さしこみま
 す」「のりが かわくのを まちます」など、細かなことに注意して読むことを指導することができる。
 o用意するものや作り方で、この文章だけでは、はっきりしなかったことはありませんか。
  △わりばしに、われめをつくるのにどうすればいちばんよいのかがわがらなかった。

 (三) 調べるために読む技能の指導法

1 定 義
 調べるために読む技能は、問題を解決したり、何かについて調べたり、研究したりするために読む場合に働く技
能である。
 したがってそれは、国語辞典・百科辞典などの各種の辞書・年鑑・動植物図鑑・統計・年表・手引書・案内書・
報告書・自然・生物・社会・科学・文化・言語等について説明解説した参考書などを読む場合に働く技能である。
 調べるための読む活動には、いろいろな技能が総合的に働く。たとえば、書いてあることを正確に読みとる技能、
また読みながら要点を抜き出したり、必要なところを抜き書きしたりする技能、あるいは、索引やもくじを利用し
たりする技能などが働く。また、この読解だけでなく、説明・発表・報告・記録などの表現活動を伴う場合にも、
表現の技能と結び合って総合的な技能が働く。
o必要なところ、細かいところに注意して読むこと。(四年)
o辞書・事典をひくこと。            (五年)
o文章の組み立てや叙述に即して正碓に読むこと。 (六年)
                                                     149
o文章を要約すること。             (六年)
などがあげられる。なお、小学校学習指導要領国語には、五年に「調べるために読むこと」があげてある。
 調べるための読みには、前項の技能のほかに
o必要なところ、大事なところを抜き書きすること。
o読みとったことを箇条書きにすること。
o読みとったことを表にまとめること。
o読みとったことを組み立てること。
o表やグラフを読むこと。
o索引やもくじを利用すること。
o資料を選ぶこと。
o梗概を作ること。
などの諸技能が必要である。
2 経験の発達
 調べるために読むことは、主として、五、六年で要求される読みであるが、個々の技能としては、三年ごろから
発達し始める。
 しかし、一般的にいって、調べるための読みかたの指導は四年ごろから始めるとよい。
 その学習経験を発達的に配列してみるとつぎのようになる。
 四年
o教科書の研究問題、文字やことばの索引、国語辞典などを利用して、文章を読んだり、ことばを調べたりする。
o全科などの初歩的な学習参考書を利用する。
oさし絵、図表、地図などを利用する。
                                                     150
 五年
o児童むき百科事典で調べる。
o参考書などの資料を使って研究をまとめる。
o地図・年鑑・統計・年表を読む。
 六年
o百科事典の序・もくじ・索引などを利用して調べる。
o適切な資料を選んで使う。
o多くの参考資料を読み合わせて研究原稿をまとめる。
o統計・年鑑などを利用してグラフなどを作成する。
3 指導法
 つぎに、六年の調べるために読む技能の指導法について考えてみる。
(1) 資 料
 @ いろいろな参考書や百科事典などを使って調べた結果の研究発表の原稿。
 A 百科事典や辞書の使い方について述べた解説文。
(2) 指導する技能
o多くの資料の中から適切なものを選ぶこと。
oもくじや索引を利用すること。
o百科事典や辞書を利用すること。
oアンダーラインを引きながら読むこと。
o必要なところ、細かいところに注意して読むこと。
o大事なところ、必要なところを抜き書きすること。
                                                     151
o図や表にまとめること。
o文章を要約すること。
o梗概を作ること。
(3) 指導の実際
 @ 調べる目的、内容をはっきりさせる。
o研究発表をするために「紙の発達」について調べる。
 ここでは、まず、何を調べるのか、調べる内容をはっきりさせることがたいせつである。
 紙の発達のうち、主として、何について調べるのか、知ろうとしているのはどういうことなのかを確かにしてか
ら調べる活動にはいる。これがはっきりしないと、細分されている事典や参考書の、調べる項目がきまらず、むだ
な面の多い学習となってしまうからである。
 A 調べる計画・方法を考える。
 つぎに、何によって、どんな方法で調べるのか計画をたてる。ここでは、参考書や事典で調べるわけである。
 B 調べ方
 実際に調べる活動にはいるために、まず、資料の選択の必要がででくる。

a 資料を選ぶ
 前もって参考図書の性格や構成・特色などについて指導しておく。多くの資料の中から適切な資料を選ばせる。
一般にことがらを調べるときには、百科事典が選ばれるが、調べる内容に合わせて資料を選ぶように指導する。
 ここでは、

 ・百科事典 ・世界地図 ・紙について児童むきに書いた単行本
の三つを選ぶことにする。
b もくじ、索引を利用する
                                                     152
 さて、資料を選んだら、百科事典や参考書の、どこを読んだらよいか、書いてある場所をさがさなければならな
い。そこで、
oもくじや索引を利用する。
 百科事典の索引によって短時間にどことどこを読めばよいかを知り、また、参考書のほうでは、もくじの中から
紙の発達に関係のある項に見当をつけて読むようにする。これらの技能は、実際に調べる活動の中でこそ、しっか
り身につく技能である。必要に応じて、もくじや索引の使い方を指導する。
C 内容を正確に読みとる
 もくじや索引を使って、読む場所が明らかになったら、まず、書いてあることがらを正確に読むことがだいいち
である。そのために 
oアンダーラインを引きながら読む
o必要なところ、細かいところに注意して読む。
ように指導する。
ア アンダーラインの引き方
 アンダーライン(サイドライン)は、調べていることがらについて特にだいじなところや注意するところなどに引
く。たとえば、
 o説明の要点―中心的事項
 oまとめているところ―結論、結び
 o発達の原因や段階について書いてあるところ
 o重要な地名や人名
 o年号
などである。
                                                     153
イ 抜き書きのしかた
紙の発達の上で、たとえば、イギリスの産業革命のことやシルクロードのことがたいせつなことであれば、発表
のまとめでもふれる必要がでてくるし、また、質間があることも予想されるので、百科事典や参考書の産業革命や
シルクロードの部分について、必要なところだけ、ノートに抜き書きをしておく。抜き書きするところは、
 o複雑で要約しにくい部分
 o筆者のことばをそのまま伝えたほうが効果的と思われるところ
 o特に重要で正確を要するところ
 o説明に変化を持たせるために特に選んだところ、
などである。
ウ 辞書や字典を引く
 また、読みながらわからないことばや文字については
 o辞書や字典でことばや文字を調べることも必要である。
エ 特殊参考書を利用する。
 また、シルクロードを通って西洋の紙が東洋に送られた事実があれば、世界地図の上では、シルクロードのあり
場、年表の上では何年ごろになるかなどを調べる。
 こうして、
 o地図や年表を利用すること
ができるようになる。
 図表やグラフは、往々にして、その使い道をまちがえたり、不必要なものを書き入れたりすることが多いので、
その利用や作成については適切に指導する。
d 調べたことをまとめる
                                                     154
 これまでに百科事典と地図と参考書との三つの資料を読んで得たことを、研究の課題「紙の発達」を中心にして
まとめることがたいせつである。いろいろの資料を使うと、だんだん調べる焦点がぼけたり、違った分野に方向が
ずれたり、全く違うことをまとめてしまったりしがちである。
 そこで、いつも研究の問題にかえりながら、要約のしかたや梗概の作り方を指導することがたいせつである。
e 発表する
 最後に「紙の発達」について調べてまとめたことを発表する。
4 まとめ
 以上のような調べる各過程における活動の中で、総合的にいろいろな読解技能が養成されるのが、この読みの特
徴である。このような総合的な読解技能養成にあたっては、指導者が、その技能養成の場と、そのための活動とを
明確には握して、計画的にまちがいなく指導することがたいせつである。

 (四) 生活に適応するために読む技能の指導法

1 定 義
 生活に適応するために読む技能というのは、日常生活に適応するために必要な読み物の内容を読みとって理解す
る技能である。
 児童が日常生活をするのに必要な読む能力としては、@新聞を読むことができる、A手紙を読むことができる、
B掲示を読むことができる、C広告・広報・通知・案内などを読むことができる、などがあげられる。
 これらの能力は「情報を求めて生活に適応するために必要な能力」であるが、これをさらに分析するとつぎのよ
うな読解技能があげられる。
 @ 正確に読みとる技能
                                                     155
 A 要点(用件)を読みとる技能
 B 速く読みとる技能
 C 意図を正しく読みとる技能
 D 事実と意見とを読み分ける技能
 このような技能が総合的にはたらいて、読む生活に適応することができるのである。
2 発 達
 これらの読解技能は、総合的に働くものであるから、それらの技能を必要とする言語経験の発達とともにとらえ
ることがだいじである。

段階 一 般 的 な 読 む 活 動  具 体 的 な 読 む 経 験 
低学年  o身のまわりの書き物を読む。
o知識や情報を与える説明的な文章を読む。
o児童の日常生活に取材したものを読む。 
o簡単なお知らせや指示を読む。
oやさしいニュースを読む。 
中学年  o日常生活に取材したものを読む。
o知識・情報を与える説明・報道の文章を読む。
(手紙を書く、学級新聞を作る。) 
oかべ新聞を読む。
o学級新聞(印刷されたもの)を読む。
oたんじょう会の招待状を読む。
o掲示を読む。
o遠足のしおりなどを読む。 
高 学 年  o児童の日常生活に取材した手紙を読む。
o知識や情報を与える報道の文章を読む。
(手紙を書く、学級新聞や学校新聞を作る) 
oあいさつの手紙を読む。
oみまいの手紙を読む。
o学級新聞・学校新聞を読む。
o小学生新聞を読む。
o掲示を読む。
o遠足のしおりや案内などを読む。 

                                                     156
3 指導法
 生活に適応するために読む活動は、主として中学年以後に行なわれる。このころからしだいに、新聞や掲示やし
おりなどを読まなければならない必要性が生じ、また知識や情報を得ようとする欲求や興味も増してくる。
 したがって、この能力をのばすためには必要に応じて随時学習する場合と、カリキュラムに従った、計画的に学
習する場合とがある。
(1) 随時学習する場合
 @ かべ新聞を読む指導の例(三年)
a 指導のねらい
 かべ新聞を読んで、全校児童委員会で決まった「遊びのきまり」について知る。
b 教 材
 全校児童委員会で決定された「遊びのきまり」についての記事。要点はつぎのようになっている。
 o各学年で、なかよく遊ぶために遊び場所をきめたこと。
 o三年生の遊び場所は、中庭であること。
 o野球や馬とびなどのあぶない遊びはしてはいけないこと。
 o放課後は、四時の閉門まで遊んでいいこと。
c 指導の方法
 ア 質間紙による方法
 つぎのような質問をし、どのように読みとっているかをみて、情報に適応できるかどうかを判断し指導する。
 o三年生の遊び場所はどこですか。
 o遊ぶときに気をつけることは、どんなことですか。
 o何時まで遊んでいてよいのですか。
                                                     157
 イ 話し合いによる方法 
 つぎのような課題によって話し合いをし、内容を正しく読みとらせるように指導する。
 o全校児童委員会で決まった「遊びのきまり」で、三年生としてとくにたいせつなことはなんでしょう。
 o遊ぶときに、とくに気をつけることはどんなことですか。
 ウ ノートに書かせる方法
 まちがいなく、必要なことを読みとったかどうかをみるため、ノートにまとめさせる。
 oこの記事で、三年生としてたいせつなことをノートに1、2、3と順番に書いてみましょう。
 A たんじょう会の招待状を読む指導の例(四年)
a 指導のねらい
 たんじょう会の招待状を受けとり、いつ、どこで、何がおこなわれ、自分はどうしたらよいかを正しく読みとる。
b 教材(要約)
 十月十五日にたんじょう会を開きます。なかよしの友だち六人をおまねきしてあります。午後四時から、わたし
の家までぜひおいでください。 十月十日                         山中よし子
c 指導の方法
 ア 質問紙による方法
 oたんじょう会の案内状をいただいてあなたはどうしたらいいですか。
  あ 出席か欠席かを通知する。
  い 出席の場合は、十五日午後四時までに、山中よし子の家へ行く。
 イ 話し合いによる方法
 つぎのような設間により、話し合いながら、この招待状の要点を読みとるようにする。
 oこの手紙(招待状)をもらって、あたたならどうしますか。
                                                     158
 o出席できない昜合はどうしますか。
 o出席する場合はどうしますか。
 oいつどこへ行ったらいいですか。
 B 遠足のしおりを読む指導の例(六年)
a 指導のねらい
 遠足のめあて・時程・行動・心がまえ・準備・事後のまとめなどについて知り、楽しい遠足ができるようにする。
b 教材
 「陣馬高原」遠足のしおり
  ア めあて
   o秋の野山を観察しながら自然に親しみ、また、自然を愛護するように心がける。
   o集団行動をとおして、協力したり親愛感を深めたりする。
   o陣馬高原へ行くことにより、楽しいひとときを味わうようにする。
  イ 期日・場所(目的地)
  ウ 学習内容
  エ 注意すること
  オ 準備するもの
  ヵ 学習のための資料
  キ その他(バスの座席・費用・つきそい教師・雨天の場合の行動など)
c 指導の方法
 ア しおりを利用した方法
 o遠足をするのに、どうしてもわすれたりまちがったりしてはこまるところに、赤えんぴつで線をひきなさい。
                                                     159
 oどういうめあてで遠足をするのか、ここがたいせつだと思うところに赤線をひきなさい。
 o遠足の道順に赤線を引きなさい。
 oあなたが、ここだけはよく注意して見てこようというところ(資料の)にしるしをつけなさい。
 イ 質間紙による方法
 つぎのような設問をして、要点や必要な細部を読みとらせるようにする。
 oいつどこへ行くのですか。
 o貲用はいくらで、いつ、どこに出せばよいのですか。
 o雨天の場合はどうしますか。
 o持ち物で、わすれてはこまるものはなんですか。
 o朝になって急に行けなくなったら、どうすると書いてありますか。
 ウ 話し合いによる方法
 つぎのような話題を出して、正確に読みとるための話し合いをする。
 oねらいはなんですか。
 oとくに気をつけることはなんですか。
 o楽しい遠足にするために、どんなきまりがありますか。
 C 掲示を読む指導の例(六年)
a 指導のねらい
 日常の学校生活に必要な情報を、校内掲示から読みとり、生活に役だてる。
b 教材
 校内の中央玄関にある大掲示板にある掲示の文章。(項目だけ)
 o今週の生活目標(週番から)
                                                     160
 o児童会からのお知らせ
  ・内遊び、外遊びについて
  ・インド児童救援募金について
 o交通安全の具体的方法について
 o学校からのお知らせ
  ・父母会の日時と授業参観
   一、二年 十八日(水) 三枚時
   三、四年 十九日(木) 五校時
   五、六年 二十日(金) 五校時
C 指導の方法
  ア メモ帳に記録する方法
 つぎのような設問により、メモ帳に記録させる。内容と技能とを一元的に考える。
 o六年生として、ぜひ、知っていなければならないことをメモ帳に書きとりなさい。
 o家に連絡しなければならないことを書きとりましょう。
 o学校生活で、気をつけなければならないことはどんなことですか。
 oインド児童救援募金は、いつまでに、どこに出せばいいのかメモしておきなさい。
  イ 学級で話し合う方法 
 つぎのようなことについて話し合いながら、掲示されていることがらの要点をとらえさせるための指導をする。
 o生活目標は何か、それを学級で具体的に行なうにはどうするか。
 oインド児童救援募金を扱う係りはだれですか。
 o交通安全のため、どういうことが必要なのですか。
                                                     161
 o遊びについて児童会で決まったことはどういうことですか。
(2) 計画的に学習する場合
 @教科書のニュース記事、小学生新聞等の指導
a この新聞で知らせていることは何と何か――見出しを見て答えさせる。
b 報道されていることで、特に知りたいこと、あるいは自分たちに関係のあることは何か。それはどんなこと
  (事件)か。
 ――要約(リード)を読んで答えさせる。
c それは、いつ、どこで、だれが、どうして、どうなったことか。その理由は何か。――詳細を読んで答えさせ
 る。五W一Hについて。(これらのうち必要なことについてのみ)
 このように、教科書教材、または小学生新聞全体に目を注ぎ、直観的に(見出しに注意して)どんなことがらや事
件が報道されているかを明らかにする。
 つぎに、それらの記事のうち、自分たちの生活に関係のあるものは何か、学習に関係のあるものは何か、感動し
たものは何か、興味あるものは何か等をあげさせる。
 それらの記事について、そのだいたいや詳細を読みとらせる。それらのことがらや事件についての感想や意見を
述べあう。
 こうして、迅速に正確に情報を求める、必要に応じて情報を選んで読む、必要に応じて要約あるいは詳細を読み
とる、情報を批判的に読みとる、などの技能を育てる。
 A 手紙を読む指導の例
a ねらい――手紙の内容によって、どのように読んだらいいかを考え、目的に合った読み方をし、それに適応す
 る。
b 教材――知らせの手紙、まねきの手紙、みまいの手紙。
                                                     162
C 指導法
 ア これらの手紙をもらったらどうするか。
 イ それぞれの手紙はどんな目的で書かれたものか。
 ウ それぞれの手紙の目的は、どの部分を読めばわかるか。
 エ それぞれの手紙で差出人のどんな気持ちがわかるか。それがどこでわかるか。それに対してどう思うか。
 オ それぞれの手紙に対してどんな返事を書こうと思うか。
 この過程をたどって、手紙を読むのに。必要な技能を育てる。
                                                     163


 第V章 読解能力の科学的養成法の実践

          ――各学年の読解能力養成の実践例――



 ここには、各学年の読解技能指導の機能的方法の実践例が、(1)教材、(2)教材研究、 (3)指導する技能、(4)指
導計画、(5)実践例の順に述べてある。
(1) 教材――ここには、各学年の基本的教材があげてある。特に、児童の関心・興味・能力にあっているものが選
ばれている。
(2) 教材研究――ここには、その教材としての文章の構造過程が述べてある。この教材の構造過程によって、つぎ
のことが明らかになっている。
 @ 文章の内容(意味)が、どのような過程をたどって構成されているか。――論理の展開の過程(思考の過程・
  叙述の過程

 A 文章の内容の構造はどうなっているか。――中心的事項・基本的事項・詳細がどのように有機的関係をもっ
  て構成されているか。(価値の構造・文章の成立の過程
 B その文章を読むのに必要な技能は何か――指導する技能が、どこにどのように含まれているか。「読解技能の
  構造化

などがわかるようになっている。つまり、その文章の要旨(中心思想)、中心的事項、要点(基本的事項)、詳細(細
部)と、それらの相互関係、段落相互の関係などが明らかになっている。
                                                     164
(3) 指導する技能――ここには、その文章によって主として指導する技能があげてある。あとの実践例にあげてあ
 る技能は、ここにあげてあるものである。
(4) 指導計画――その教材の学習指導の計画が立ててある。この計画中のどの部分かの実践例があとに載せてある。
(5) 実践例――そこにあげてある技能指導の機能的方法があげてある。


    一  一年の読解技能の養成


 (一) 書いてあることを正しく読みとる技能の指導例

1 教材「たなばた」
  たなばたは ほしの おまつりです。だけに たんざくや おりがみを つるします。
  それを たてて かざります。 
  ほしの うたも うたいます。
2 教材研究―文章の構造過程
     <中心事項>              <基本事項>
                   ┌―たけに たんざくやおりがみをつるします。
 たなばたは、ほしのおまつりです。―┼―それをたてて かざります。
                   └―ほしのうたも うたいます。
3 この教材の処理技能
                                                     165
 (1) 書いてあるとおりに読みとる技能
 (2) 意味がわかるように音読する技能
4 指導計画(技能の養成計画)
 (1) 全文から何のはなしか読みとる。
 (2) たなばたまつりには、どうするかを ―┐
    読みとる。            |
    ―書いてあるとおりに読みとること |(1時間)
 (3) 全文を読み、書いてあることをまと  |
  める。               ―┘
 (4) 技能・文字・語句などの練習をする   (1時間)

5 指導法

  『書いてあることを、正しく読みとる技能の指導』
   <記号> T=教師 C=児童    =板書 ( )=説明
 標題を読んで、簡単にたなばたについて話し合う。読む興味を喚起する。深入りをしない。「たなばた」と板書。
  T それでは、「たなばたのどんな話が書いてあるか」を考えながら、終わりまで読んでみましょう。
    (「どんな おはなしか」と板書。課題を明確にして読ませる。自由に微音読する)
  T たなばたの どんな おはなしが 書いて ありましたか、発表して もらいます。
  C たなばたの ことです。
  C ほしの おまつりの ことです。
  C ほしの おまつりに、した ことです。
  C ほしの うたを うたった ことです。

                                                     166
  C たんざくや、おりがみを つるした ことです。
 児童の読みとったことを並べて板書する。板書を自由に読ませて、この中で、どれとどれが同じかを考えさせる。
わからない場合は、
  T 「たなばた」と「ほしのおまつり」は、同じですか。ちがいますか。はじめの文を読んでみましょう。
  C たなばたは、ほしのおまつりです。

 たなばたはほしのまつりであることを確認する。まだ理解が不十分だと思われる児童がいる場合には、「たなば
たは、何のおまつりですか。」と聞く。「たなばたは ほしの おまつりです。」と板書する。板書を読ませてから、
各自ノートに書かせる。
 ノートに書いたのを各自読ませて、たなばたはほしのおまつりであることを確認してから(中心的事項)、「たなば
たにはどんなことをしますか。」と聞きながら、つぎの板書をする。
  たなばたにはどんな ことを しますか。
 板書を読ませて、読みの目的を確認してから、自由に読ませる。
 T どんなことをしますか。
 C たんざくをかざります。
 C たんざくをつるします。
 C いろがみをつるします。
 C おりがみをつるします。
 T 何に何をつるすのですか。もう一度よく読んで確かめてください。
    (書いてあるとおりに読みとる指導をする。児童は文章を読まないで、生活経験で答えることがあるから注意)
 C たけにたんざくとおりがみをつるします。(「たけに。たんざくと おりがみを つるします。」と板書。竹につるすのは、
  いろがみでないことを確認する。板書をノートに書かせてから)
 T 竹につるす短冊というのは何のことですか。
                                                     167
 C 細長い紙です。じぶんがなりたいことを書きます。

 さがし絵を見て、たんざくはどれか、どのようにつるしてあるか、また、それにはどんなことが書いてあるかを
話させる。もう一度板書を読ませてから、「それをどうしますか」と聞く。
 児童の答えによって「それを たてます。」と板書。「それ」の横に赤線を引く。「それ」というのは何のことか
を聞いて、たんざくやおりがみをつるした竹であることを確かめる。板書をノートに書く。
   (児童読む)
 T そのほかどんなことをしましたか。
 C うたをうたいました。
 T どんなうたですか。
 C ほしのうたです。
   (「ほしのうたをうたいました。」と板書。ノートに書く)
   たなばたは何のおまつりでしたか。
 C ほしのおまつりです。
 T そうですね。では、その文を指でおさえてごらんなさい。どんなことをしましたか。
 C たけに、たんざくやおりがみをつるします。それをたててかざります。
   ほしのうたもうたいます。
 T そこをまた指でおさえてごらんなさい。何をかざったのでしょう。
 C たんざくやおりがみをつるした竹です。
 T そうですね。
   それでは、ほしのおまつりのことを思い浮かべながら読んでください。

 低学年の指導は、問答法ですすめる場合が多くなる。その場合、書いてあるとおりに読みとる技能を高めるため
には、つねに、文章のどこにどのように書いてあるかをおさえさせることが必要である。とくに、児童は叙述に即
                                                     168
さないで、自分の経験や自分の文脈で読んでしまうおそれがある。
 <練習
    たなばた
   みんなで、たなばたの
  かざりを つくりました。
   とおるくんは、たんざくに、
  「ひこぼしさま」
  と かきました。
   しげこさんは、
  「おりひめさま」
  と かきました。
   つぎの といに こたえましょう。
  1 みんなで、なにを つくりましたか。
    (                      )
  2 とおるくんは、たんざくに なんと かきましたか。
    (                      )
  3 「おりひめさま」と かいたのは だれですか。
    (                      )
  4 「おりひめさま」と なにに かきましたか。
    (                      )


 (二) 何が書いてあるか考えて読む技能の指導とその練習例
                                                     169
1 教 材 
   ぞうの はな
  ぞうは ものを たべる ときに、はなを つかいます。りんごを なげて やると、はなの さきで、その りんごを
  つかんで、くちに ほうりこみます。
  また、ぞうは みずを あびる ときにも、はなを つかいます。はなの なかに みずを すいこんで からだに ふき
  かけます。
  そのほか ぞうは てきと たたかう ときにもはなを つかいます。ながい はなを ふりまわして てきを おいは
 らいます

2 教材研究=文章の構造過程
   ぞうの はな

  3 この教材で指導する技能
 A 何が書いてあるかを考えて
  読む技能
 B 書いてあるとおりに読みと
  る技能
4 指導計画
 (1) 全文を読んで基本的事項を
  読みとる。(一時間)
  (何が書いてあるか考えながら読
  むこと)
 (2) 各段落ごとに詳細を読みと 

                                                     170
  る。(一時間)
  (書いてあるとおりに読みとること)
 (3) 練習をする。(一時間)
5 技能の養成法                      `
 (1) 何が書いてあるか考えながら読む技能の養成。
  考える観点を与えて全文を読ませ、課題に従って内容を理解させる過程でこの技能を養成する。
 (2) 指導法
 @ 第一時の指導
 ぞうやぞうのはなについて簡単に話し合い、「ぞうのはな」を読む興味を起こさせたのち標題「ぞうのはな」を
読ませる。
 「ぞうのはな」と板書する。「ぞうのはな」を読む目的をはっきりさせ、読みの課題を出して、読みの構えを確
立する。
 T ぞうはどんなときにはなをつかうか、この文章に書いてあります。読んで調べてみましょう。
  「ぞうは どんな ときに、はなを つかいますか。」と板書。板書を読ませて、何を読みとるのかを明らかに

する。つまり「どんなときにはなをつかうか」ということを考えながら読むことを注意して読み方を教える。つぎ
に読みとった結果の処理のしかたを指導する。
 T ぞうはどんなときにはなをつかうか考えながら読んでみましょう。読んでわかった人はノートに1、2、3と番号をつけ
  てその下にどんなときにつかうかを書きましょう。

 この場合、答えを書く用紙をプリント(答えを記入する   を三つ作っておく)して与えてもよい。
 教師は机間を回って読みとりのようすを観察する。
 そのとき、読みとりに、「ものをたべるとき。」とか、「ものをたべるときはなをつかう。」とか、「ぞうはものをた
                                                     171
べるときはなをつかいます。」「りんごをたべるとき。」など読みとりの能力に応じた類型のあることを確かめる。
その類型ごとの読みとりの割合をも調べて、あとの指導の手がかりにする。
  T ぞうはどんなときに、はなをつかうか、わかった人に話してもらいます。
 課題に応じて読みとっだことを、ノートを見ながら、二、三の者に発表させる。発表者は、あらかじめ机間を回
って観察するときに選んでおく。基本的事項を読みとっている者、詳細を読みとっている者などを含める。
  T いま、○○さんが読みとったことを書いてみます。
    (発表した順に板書する)
  T この三人のうちのどれと自分のが、同じか、くらべてごらんなさい。
    (各自の読みとったものと比べさせる。一致したものがどのくらいか調べる。どれが、課題に対していちばんよいか考え
  させるために、さらに全文を読む。三人のうち、どれがよいか段落ごとに読みとった基本的事項を検討する。)
  T それでは、三人の読みとったことのうち、どれがいちばんよいか、みんなで調べてみましょう。

 三人が読みとった第一段落の基本的事項、つまり課題に対する答えを読んで確認する。それから(1)の答えを検討
するために、第一段落の範囲を決め、そこを課題に従って読ませたのち検討する。
  T (1)ばんの答えがよいかわるいかを調べるにはどこからどこまでを読めばよいか、そこに「」をつけましょう。
    (机間を回って個人指導をする。読む範囲を確認したのち)
  T 「」をつけた所を「ぞうはどんなときにはなをつかうか」を考えながら読んで、(1)の三つの答えのうちどれがいちばん
  よいか調べてみましょう。

 児童第一段落を読む。。「ものをたべるとき」「りんごをたべるときつかいます」「ものをたべるときはなをつか
います」の三つの答えのうち、どれがいちばんよいかを文章に即して考えさせる。
  T 三つのうち、いちばんよいのはどれですか。
  C 「ものをたべるとき」がいいと思います。
  C 「りんごをたべるときつかいます」がいいです。

                                                     172
  T もう一度読んで、どちらがよいか考えてみましょう。
  T ものをたべるとき、と書いてあるところに線を引いてください。
  C (ものをたべるときの右に赤線を引く。)
  T 「りんごをたべるときつかいます」と書いてあるところがありますか。
  C ありません。
  T ここには、ものをたべるときと、はっきり書いてありますから、三つの答えをくらべると、「ものをたべるとき」がよい
  のです。
  T あっていた人は○をつけましょう。「ものをたべるときにつかいます」でもいいのです。
  T ぞうはどんなときにはなをつかいますか。という問題のよい答えが一つきまりましたが、まちがっていた人は、答えの横
   のところによい答えを書いてください。

 第二、第三段落も同様にして検討して、各段落の基本的事項を読みとらせ、確認する。全部確認できたら、さら
に課題を確認させてから、もう一度、全文を読ませて三つの基本的事項をはっきりさせる。
 A 第二時の指導
 第二時には、「ぞうはどんなときにどのようにはなをつかいますか。」という課題によって第一時と同様に指導
する。「どんなとき」は、前時の学習の三つの事項を板書し、それぞれ、そのそばに「どのようにつかいますか。」
と板書して読みとりの指導をする。それによって「書いてあるとおりに読む」技能の学習をする。
注意> 課題に答える部分を読みとる技能は、発展すると要点を読みとる技能、必要な細部を読みとる技能に発
 展する。この技能の指導は、つぎのような点に留意して行なう。
 a 児童に課題をはっきりと確認させる。
  そのために板書したり、カードにしたりしておく。
  また、教材を読むたびに意識させるように、くふうする。
                                                     173
 b いろいろな答えがでたら、文章に即して取捨選択させる。
 c 一年の課題は、その答えが、教材に記述されているような課題でなければならない。
 B 第三時の指導
 第三時には第一、二時で指導したA「どんな事が書いてあるか考えながら読む技能」
B 「書いてあるとおりに読む技能」の練習をする。
 Aの技能は、考える観点、つまり課題を与えて、それに応じた読みとりをする練習をする。Bの技能は、どちら
が文章に書いてあるとおりであるかを考えながら、文章に即して、正しい意味を理解する技能の練習をする。練習
に使った文章をつぎに掲げる。
  (ァ) きょうの おんがくの じかんには、もっきんを つかいます。わたしは もっきんに あわせて ひのまるの うたを
   うたうのが すきです。
  もんだい
  いつ もっきんを つかいますか。
  (ィ) ぼくは おつかいに いく ときに じてんしやに のって いきます。ぼくの じてんしやは あかく ぬって あり
  ます
  もんだい
  どんな ときに じてんしやに のって いきますか。
  (ゥ) おとうさんは、たばこを すう とき、マッチを つかいます。おかあさんは、ガスに 火を つける とき、マッチを
  つかいます。
  マッチは、火を つける ときに つかう ものです。
  もんだい
  マッチは どんな ときに つかいますか。

                                                     174
 このような練習教材をたくさん用意して、教材と問題とを厚紙(画用紙)にプリントしておく。答えは、ノートに
書かせても、学習用紙に書かせてもよい。この練習教材は、他の学級でも使えるようにしておく。練習教材の(ァ)(ィ)
は基本的事項(要点)が、段落の初めにある例、(ゥ)は、段落の終わりにある例である。



      二 二年の読解技能の養成




 (一) 書いてあることのだいたいを読みとる技能の指導例


1 教 材
      リンゴと ミカン
  リンゴは、北の さむい 地方で とれる くだものです。
                                                            
175
  五月に 花が さきます。その あとに、小さな みが たくさん なります。
   一本の 木に あまり 多くの みを ならせて おくと 大きく なりません。ですから じょうぶそうなのを のこし
  て、あとは とって しまいます。
  虫を ふせぐために、ふくろを かぶせたり、くすりを かけたりして、せわを して そだてます。
  リンゴには。いろいろな ものが あります。早いものは、夏ごろから たべられます。おそいものは、秋の おわりでな
  ければ たべられません。かたちの 大きい ものも あれば、小さい ものも あります。色の 赤い もの、き色の も
  のもあります。あじの あまい もの、あまずっぱい ものなど あります。
   ミカンは、リンゴと ちがって 南の あたたかい 地方で とれる くだものです。
   五月に 花が さき、やがて、小さい みを むすびます。十一月ごろから、ミカンとりが いそがしく なります。それ
  までに 何かいも 虫よけの くすりを かけたり、ガスしょうどくを したりして そだてるのです。
   ミカンにも、やはり いろいろな ものがあります。かたちの 大きい もの、小さい もの、かわの あついもの、う
  すいものが あります。あじの あまい もの、すっぱい ものなど と いろいろ あります。

  北の 地方で とれた リ
 ンゴは、はこづめに されま
 す。かもつれっ車や トラッ
 クに つまれて、たびを し
 ます。
  南の 地方で とれた ミ
 カンも はこづめに され、
 日本じゅうに おくられて
 いきます。
  そうして、なかよく くだ
 ものやの みせさきに なら
 べられるのです。

2 教材研究―文章の構造
 過程(右図参照)
3 この教材で養成する技
 能
(1) 書いてあることのだい
 たいを読みとる技能
(2) 書いてあることをまと 
 
176
めながら読む技能
4 指導計画  四時間
(1) 文章全体を読んで、わ
 かったことを話し合う。
 (書いてあることのだいたい
 を読みとる)(一時間)
(2) リンゴについて読みと
 って話し合う。
 (書いてあることをまとめな
 がら読む)(一時間)
(3) ミカンについて読みと
 って表に記入する。
 (書いてあることをまとめな
 がら読む)(一時間)
(4) リンゴとミ ┐
 カンの送られて|
 いく先を読みと|
 って話し合う。|(一時間)
(5) 全文を読ん |
 でわかったこと|
 を確かめる。 ┘ 
5 指導法
(1) 書いてあることのだい
 たいを読みとる技能の指
 導例
  T 「リンゴとミカン」の勉
   強をしましょう。
  T どんなことが書いてある
   か考えて文章全体を読んで
   ごらんなさい
    177

  T どんなことが書いてあったか、発表してください。
    (児童の発表をカードに書き、黒板に掲示する)
  C リンゴは。北のさむい地方でとれるくだものです。
  C 五月に花がさきます。
    リンゴには。いろいろなものが、あります。
  C ミカンは、南のあたたかい地方でとれるくだものです。
   (このように、児童の発表があり、それをカードに書いていった)

 児童の発表したものについてみると、つぎのようなものがあった。
 @ 要点的に反応したもの
 ・リンゴのとれる地方。
 ・リンゴのしゅるい、等。
 A 細部的に反応したもの
 ・一本の木に、あまり多くのみをならせておくと、大きくなりません。
 ・かたちの大きいものもあれば、小さいものもあります、等。
                                                     178
  「一本の木に……大きくなりません」のような答えについては、さらに「それは、何をどうするときのことです
 か」と発間して、「リンゴをそだてるときのこと」であることに気づかせていった。
  これらの発表のカードについて、リンゴについてのもの、リンゴとミカンの行く先についてのもの、というよう
 に整理していった。
  こうして、つぎのような板書ができた。
 リンゴ
  ・北の さむい 地方で とれます。五月に 花が さきます。その あとに 小さい みが、なります。
  ・じょうぶそうなのを のこして あとは とります。
  ・ふくろを かぶせたり、くすりを かけたり します。
  ・リンゴには、いろいろな ものが あります。
 ミカン
  ・南の あたたかい 地方で とれます。
  ・五月に 花が さき、やがて 小さい みを むすびます。
  ・十一月ごろから ミカンとりが いそがしく なります。
  ・虫よけの くすりを かけたり ガスしょうどくを したり します。
  ・ミカンにも、いろいろな ものが あります。
 リンゴとミカン
  ・はこに つめられて、おくられます。
  ・なかよく、くだものやの みせさきに ならべられます。
 (2) 説明されていることをまとめて読みとる技能の指導例
  T.きょうは、リンゴについて書いてあることをまとめて読みとりましょう。
                                                     179
   (読みの構えをもたせ、範囲を確認してから読ませる。リンゴと板書する)

  T リンゴについて、どんなことがわかりましたか。発表してください。
  C リンゴは、北のさむい地方でとれることがわかりました。
   カード 
リンゴは 北の さむい 地方で とれる。
  C リンゴのあじがわかりました。
   カード あじ
  T どんなあじですか。
  C あまいもの、あまずっぱいものなどです。
  T そうですね。
  カード

       
  T ほかにわかったことはありませんか。
  C 五月に花がさき、そのあとに小さなみがたくさんなります。(カードに書く)
  C 一本の木にあまり多くならせると、大きくなりません。
  T それでどうしますか。

  C じょうぶそうなのをのこして、あとは、とってしまいます。(カードに書く)
  T まだありますか。
  C 虫をふせぐために、ふくろをかけたり、くすりをかけたりすることもわかりました
   カード

       
   (指示しながら読ませ、文型に注意させる)
                                                     180
  T ほかにもありますか。
  C 大きなものもあれば、小さなものもあることがわかりました。
   カード

        
   まだあります。リンゴの食べられるじきがわかりました。
   カード
  
        
  C 色のこともわかりました。
  C 赤いもの、き色のものもあります。(カード)
  T これで、おちたところはないか、もう一度読んでしらべてみましょう。
  C リンゴには、いろいろなものがあるということがわかりました。(カードに書く)
  T 「いろいろなもの」というのは、どんなことでしょう。
  C あじのこと、色のことです。
  C まだあります。かたちの大きいのや小さいのがあることです。
  C 早いものは夏、おそいものは秋のおわりごろたべられることです。
  T そうです。今、三人のいったことが、リソゴのいろいろなもののことです。
  T 黒板にわかったことのカードがたくさんならびましたが、これは、文章に書いてあるとおりにならんでませんね。文章を
   よく読んで、ならべかえてください。
    (児童にならべかえさせる)

  その結果、つぎのようになった。
                                                     181
 @ リンゴは、北の さむい 地方で とれます。
 A 五月に 花が さき、その あとに 小さな みが、たくさん なります。
 B じょうぶそうなのを のこして、あとは とって しまいます。
 C 虫をふせぐために――ふくろを かけたり くすりを かけたり して せわを します。
 D リンゴには。いろいろな ものが あります。
 E たべられる じき
   早い ものは 夏ごろ
   おそい ものは 秋の おわりごろ
 F 大きな ものも あれば
   小さな ものも あります。
 G 赤いもの
   き色の ものも あります。
 H あじ
   あまい もの
   あまずっぱい もの
  T いろいろわかりましたが、もっとわかりやすくするために、同じようなものはまとめてみましょう。文章にどう書いてあ
    るかよく読んで考えてごらんなさい。
  C @は、リンゴのとれる地方のことです。
    (板書「リンゴの とれる 地方」)
  C AからCまでは、リンゴのそだて方です。
  T そこは、「リンゴのそだつまで」です。

                                                     182
  T どちらがいいですか。
  C 「そだつまで」がいいと思います。そのわけは、五月に花がさき、小さなみがなります。じょうぶそうなのをのこすこと
   や、袋をかけたり、くすりをかけたりするのですからです。
  C 「虫をふせぐために、ふくろをかけたり、くすりをかけたりして、せわをしてそだてます。」と書いてあるから「そだて
   方」だと思います。
  C 「じょうぶそうなのをのこして、あとはとってしまいます。」とありますが、だれがとるのですか。
  C 人です。リンゴを作っている人です。
  T 袋をかけたりくすりをかけたりするのはだれですか。
  C せわをしてそだてている人です。
  T リンゴは、ひとりで大きくなるのではないのですね。○さんもいったように、文章に、「せわをしてそだてます。」と書い
   てありますから、「そだて方」のほうがいいですね。(板書「そだて方」)
  T そのあとは何のことですか。
  C 種類のことです。
  C そだってからのことです。
  C たべられるころだと思います。
  T Eですね。FやGやHは何ですか。
  C Fは、かたちのこと、Gは、色のこと、Hは、あじのことです。
  T Dからあとのことをまとめていったら、どういったらいいでしょう。
  C 種類のことです。
  T そうですね。種類といってもいいですが、文章には何と書いてありますか。
  C リンゴには、いろいろなものがあります。
  T そうですね。「いろいろなもの」ですね。
   (板書「リンゴの いろいろなもの」)
                                                            
183
  T きょうは、リンゴについて、三つにまとめてみましたね。文章を読んで、ここは、何のこと、ここは何のことと考えなが
  ら、わかったことを確かめてごらんなさい。

 (二) 順序をたどって意味を読みとる技能・文章に即して書いてあるとおりに正しく読みとる技能の指導例

1 教 材
   「さるの つなわたり きょうそう」の作り方
  赤ざると 黒ざるが 糸に ぶらさがって きょうそうする、おもしろい おもちゃが あります。
  この おもちゃの 作り方を せつめいしましょう。
 (1) よういするもの
 画用紙(半紙ぐらいの 大きさの もの一まい)
 もめん糸(一メートルの もの 二本) ミシン用の 木の 糸まき(一つ) ボタン(十円玉より 大きな もの 一つ)
 わゴム(四つ) はさみ クレヨン のり

2 作り方
 @ 画用紙を 二つに おります。それに、手を 上に のばした、よこむきの さるを かきます。画用紙を かさねた
 まま、さるを 切りぬきます。これで、二ひきの さるが できます。
 A 二ひきの さるの 手の 先を おりまげます。おりまげた はしの ほうに、のりを つけ、糸を とおす ところを
 作ります。
 B さるに 色を ぬります。
  一ぴきは 赤く 一ぴきは 黒く、おもても うらも おなじ 色に ぬります。
 C 糸まきの あなに 二本の 糸を とおします。とおした 二本の 糸を ボタンに むすびつけます。
 D 糸の もう一方の はしを、べつべつに して、一本ずつ、さるの 手に とおします。さるが、糸まきの ほうを 見
 るように とおします。

                                                     184
 E さるの 手に とおした 糸の はしに、わゴムを 二つ つないだ ものを むすびます。
3 遊び方
   二本の 糸に つけた わゴムを 二本の くぎに べつべつに かけます。くぎと くぎの あいだは、十センチぐらい
  に します。これで、じゅんびが できました。
  左手で 糸まきを もち、右手で ボタンを もちます。ボタンを ひっぱって はなします。何ども くりかえすと、そ
  の たびに、さるが 少しずつ こちらへ よって きます。

4 文章の構造過程




 
5 この教材で指導する技能
 (1) 順序をたどって意味を読みとること。
 (2) 文章に即して書いてあるとおりに正し
 く読みとること。
6 指導計画
 (1) 全文を読んでわかったことを話し合う。
 (2) 用意するものを読みとる。
 (3) 作り方を読み、おもちゃを作る。
 (4) 「あそび方」を読み、作ったおもちゃ
 で遊ぶ。
 (5) 遊んだことを話し合う。
 (6) 文字・語句・技能の練習をする。
7 指導法
 順序をたどって意味を読みとる技能、及び
                    185
文章に即して書いてあるとおりに正しく読み
とる技能の指導法。
 この教材においては。上記の二つの技能が
同じ活動を通して、同時に養うことができる。
 指導計画の三の段階で、つぎのような指導
を行なった。
 T さあ。これから綱渡りをするさるを作りま
   しょう。どこを読めば作り方がわかりますか。
 C 2の作り方です。
 T そうですね。ここを順番に読みながらさる
   を作っていきましょう。
   まず、1の所だけを読んで、どのように作
   るか、わかったことを発表してください。
 C 横向きのさるをかきます。
 C 画用紙を二つにおります。
 C 画用紙を重ねたまま、さるを切りぬきます。

  (あらかじめ用意したカードを、発表順に黒板に並べる。)
 T (1)には、このようなことが書いてあるのですね。では、どんな順に作ればいいのでしょうか。もう一度教科書を読んで作
  る順番を考えてみましょう。読むとき、一番めにやることには@――、二番めにやることにはA−−、三番めにやることに
  はB………と線を引きながら読んでいきましょう。
   (黒板に記号を書いておく)
 T さあ、読めましたか。では、自分の教科書を見ながら、黒板のカードを順序よく並べかえてみましょう。

                                                     186
 C 一番めは、「画用紙を二つにおります。」です。
 C 二番めは、「よこむきのさるをかきます。」です。
 T 文章を読んで、よこむきのさるをかくのが二番めだということを表わしたことばをさがしてみましょう。
 C 画用紙を二つにおります。それにさるをかくのですから二番めです。
 T そうですね。それにというのは何のことですか。
 C 二つに折った画用紙です。
 T だから、よこむきのさるをかくのが二番めですね。
 (三番目を確認してから黒板に、つぎのようにカードを並べる)

1 画用紙を 二つに おります。
 それに ↓
2 よこむきの さるを かきます。
3 画用紙を かさねたまま さるを 切ります。
 T もうここまではできますね。では確かめてみますよ。初めにどうしますか。
 C 画用紙を二つに折ります。
 T そのつぎは……。
 C よこむきのさるをかきます。
  (よこむきのさるはどんなさるか、いわせてからさがし絵を見させて確認する。カードの「よこむき」の所に赤線を引く)
 T そのつぎは……。
 C 画用紙を重ねたまま、さるを切ります。
 T 重ねたまま切るというのは、どんなふうに切るのでしょう。紙をもってまねをしてみましょう。
  (動作化によって、かさねたままの語句を指導する。)

                                                     187
 T では、ここまでを、教科書を見ながら作ってみましょう。
    (教師は机間を回って、できない児童には文章をよく読ませながら作らせる)
 T つぎは2のことを作ってみましょう。こんどは、めいめいで文章を読みながら作ってみましょう。2の一番初めだけをや
   ってみましょう。
    (児童作業)
 T どんなふうにやりましたか。
 C 手の先を折りました。
 T そのつぎをやりましょう。(児童作業)
 T つぎは、どうしましたか。
 C はしのほうに、のりをつけました。
 T どのはしのほうですか。
 C おりまげたはしのほうです。
   (教師は机聞巡視して、この作業ができているかどうか調べる。できていない児童には、文を指さしながら読ませる)
 T これは(おりまげた手の先を指示して)何のために作ったのでしょうか。
 C 糸をとおすためです。
 T そうですね。このことを、教科書には、どのように書いてありますか。
 C 「糸をとおすところを作ります」と書いてあります。
 C 「おりまげたはしのほうに、のりをつけ、糸をとおすところを作ります」と書いてあります。
 T はしのほうにのりをつけて、あいた所が糸をとおす所なのですね。
   では、みなさんが作ったおもちゃの糸をとおす所を、えんぴつでとおしてぶらさげてごらんなさい。
 T みんなできたようですね。
   (以下3〜6まで 以上二つの方法で指導した)

 この教材のような指示文の読解は、
                                                     188
@ 指示の一つ一つを読ませてから、指示に従う活動をさせる。
A 個人個人で文章を読みながら、いちおう、指示に従った活動をさせ、その後確認しながら指示文の内容を指導
 する
 の二つの方法が考えられる。
 指示文の難易さ、児童の実態から指導の方法を考えていくことが必要である。


     三 三年の読解技能の養成


 (一) 段落にまとめて読む初歩的な技能・要点を読みとる技能の指導例

1 教 材
     むかしのとけい
  とけいは、わたしたちの生活にとって、たいせつなものです。世界じゅうのとけいが、みんなこわれてしまったら、どんな
 にこまるか、そうぞうしてみてください。
  大むかしの人たちは、とけいがなかったので、たいようや月で、時間と時こくを知りました。たいようが出て、外が明るく
 なると、おきてはたらきはじめ、たいようが西にしずんで、あたりがくらくなると、しごとをやめて休みました。
  けれども。たいようや月を目で見ただけでは、あまり正かくな時間や時こくはわかりません。たいようがどのくらい動いた
 かを、はっきりはかることができないからです。
  そこで。むかし、ギリシアの国では、外に立ててある柱のかげが何歩あるかをはかって時こくを知りました。柱のかげは、
 朝は長くて、正午にはいちばんみじかくなり、夕方にはまた長くなるのです。けれども、こういう日どけいは、たいようがて

                                                     189
 っているときしかつかえないので、ふべんでした。
  天気のわるいときや夜でも時間がはかれるとけいもありました。水どけい、すなどけい、火どけい、などがそうです。
  いちばんかんたんな水どけいは、水のはいったおけのそこにあなをあけて、下のおわんへ水がしたたるようにしたものでし
 た。したたった水でおわんがいっぱいになると、あるきまった時間がたったことがわかります。
  けれどもそのためには、いつでも、そばに人がついていて、おわんに水がいっぱいになったら、すぐ、すてなければなりま
 せんでした。
  すなどけいには、上も下も同じ形をしたびんが、つかわれています。まん中が細くなったびんの中に、すなが入れてあるの
 です。すなが、まん中の細いところをとおって、下へおちます。おちたすなのぶんりょうで、時間をはかります。すながぜん
 ぶおちてしまったら、びんをさかさにすればいいのです。すなをとりかえなくてもいいので、水どけいよりもべんりでした。
  すなどけいは、今でもつかわれています。三分、五分、十分などの、みじかい時間をはかるのにべんりです。
  では火どけいというのは、どんなとけいでしょう。みなさんのよく知っているろうそくをつかった火どけいがあります。
 むかしの人は、ろうそくの長さで時間をはかることを考えました。ろうそくには、目もりをつけて、色がぬってありました。
 この目もりのどこまでもえたかを見て、時間をはかったのです。ひとばんをろうそく三本ではかることになっていて。「ろう
 そく一本め」とか「二本と半分」とかいいました。「二本め」というのは、その夜の三分の二ちかくがすぎた、といういみだ
 ったのです。
  火をつかうとけいは、ほかにもあります。中国には、せんこうの目ざましどけいがありました。‘
  小さな船の形をしたさらの上に、せんこうがのせてあります。その上に、どうでできた小さなすずをりょうはしに一つずつ
 つけた糸をわたします。せんこうのはしに火をつけます。せんこうがもえてきて、火が糸にとどくと、糸がやけ切れて、二つ
 のすずは下におちます。すずが、下においてあるかねのさらにあたって音をたてる、というしかけになっているのです。
                                                  (教出三年上)

2 文章の構造過程
                                                     190

3 この教材で指導する技能
(1) 要点と細部との関係を考えて
 要点を読みとること。
(2) 段落にまとまることに気づく
(3) 語句の意味を文脈に即して考
  えること。
(4) だいたいを読みとること。
4 指導計画
(1) 学習の目的をたてる。
(2) 「むかしのとけい」を読み、
 わかったことをノートに書く。
(3) むかしのとけいには、どんな
 ものがあるか読みとる。
 ・段落にまとまることに気づく
  こと。
 ・要点と細部の関係を考えて、
  要点を読みとること。
(4) それぞれのとけいが、どのよ
 うな関係で進歩したかを読みと
 る。(表に記入しながら読む)
(5) 表をもとにして、全文を読む。
(6) 学習のまとめ・技能・文字・
  語句の練習
5 技能養成の方法
(1) 段落にまとめて読む初歩的な
 技能の指導例
 学習計画をたてたのちに、つぎ
のような学習活動を通して、段落
にまとめられることに気づく技能
の指導を行なった。
T むかしのとけいには、どんなもの
 があるか読んでみましょう。わかっ
 たことはノートに書いておきましょ
 う
  (問題を板書する)
むかしのとけいには、どんなも
のがあるか。 
 (黙読によって課題に答える読みを
 させる)
 その結果を発表させた。児童は、
つぎのような読みとりをしている。

    |                            191

    |

                                                     192

 T 
1 たいようや月ではかるとけい
2 日どけい
3 水どけい
4 すなどけい
5 火どけい
6 せんこうの目ざましどけい 
 U
1 たいようや月で時間や時こく
 をはかる
2 日どけい
3 天気のわるいときや、夜でも
 時間がはかれるとけい 
 V
1 たいようや月ではかる
2 水どけい
3 すなどけい
4 火どけい 
 W
1 日どけい(はしらどけい)
2 水どけい
3 すなどけい
4 ろうそくの火どけい
5 せんこうの目ざましどけい 
 X
  全部は書けていない。 


                                                     193
の五種順に分類できた。そして、それらを板書して、自分はどれにいちばん近いかを確認させた。
 Iの型 13/34  Uの型 9/34  Vの型 4/34 Wの型 6/34  Vの型 8/34
 まず、Tの型のものに、それぞれのとけいはどこに書いてあるかを発表させた。
 T たいようや月ではかるとけいは、文章のどこからどこまでに書いてありますか。
 C 「大むかしの人たちは」というところから「はっきりはかることができないのです。」までです。
 T そこをめいめいに読んで、今発表したところが「太陽や月ではかるとけい」かどうか調べてみましょう。
    (黙読)
 T どうでしたか。
 C ここに書いてありました。
 C ここは、太陽や月で時間や時こくを知ったということです。だから、とけいのことではありません。(Wの型の児童の意見)
 T そうですね。今、意見をいった人は、昔のとけいには、どんなものがあったかという課題で読んだので、初めの部分は、
  太陽や月で測ったということだから、とけいではないというのですね。どうでしょう。
 C そうです。これはとけいではありません。
 C 時間や時こくを測る方法です。
 C それはどんな部分からわかりましたか。
 T 「大むかしの人たちは、とけいがなかったので、たいようや月で、時間や時こくを知りました。」とあるからです。
 T そうですね。ここは「太陽や月で時間と時こくを知った」ということが書いてあるのですね。
  では、つぎの日どけいはどうですか。
   (同じような方法で、日どけいについて説明している段落の指導をする)
   (水どけい、すなどけい、火どけい、せんこうの目ざましどけいの部分もつぎのような方法で調べる)
 @ 水どけい等について書いてあるところはどこか全員が読む。

                                                     194
 A 発表する。
 B その部分を再び読ませて確認する。
  (この文章は、わりあいにはっきりしているので大部分の児童が読みとれた)
  (段落指導は、段落のはっきりした文章で指導しなければならない)

 最後に、文章は意味のまとまりごとに書き表わされていることを話す。
(2) 要点と細部を読み分け、要点を読みとる技能の指導例
 日どけいの段落の要点を読みとる指導
 T 日どけいはどんなとけいですか。それが書いてある段落を読んで考えましょう。
 C むかし、ギリシアの国では、外に立ててある柱のかげが何歩あるかをはかって、時こくを知りました。
 C 柱のかげは、朝は長くて、正午にはいちばん短くなり、夕方にはまた長くなるから時こくがわかります。
 T 今発表したことを比べて考えてみましょう。
 日どけいは何かというとき、どちらの答えがよくわかるでしょうか。
 C 前の発表です。
 T では、「柱のかげは、朝は長くて……」ということは、何のために書かれているのですか。
 C 「柱のかげが何歩あるかをはかって、時こくを知った」だけではわからないからです。
 C 柱のかげが長いときは、朝か夕方で、みじかいときはおひるだということがわかるように説明してあるのです。
 T 「柱のかげは、朝は長くて……」は、柱のかげをはかって時こくがわかるのはどうしてかという説明ですね。そうする
  と、日どけいはどんなとけいだといえばよいのですか。
 C 柱のかげが何歩あるかを測って時こくを知るもの。
 T そうですね。これが、この段落ではいちばん大事なところで、あとは、それを詳しく説明しているのですね。
  では、この日どけいは何かということを考えながら、この段落をもう一度読んでみましょう。
 T つぎに同じように考えて、水どけいは何かというところを読んで考えてみましょう。
                                                            
195
  C したたった水でおわんがいっぱいになると、あるきまった時間がたったことがわかります。
  C 水のはいったおけのそこにあなをあけて下のおわんへ水がしたたるようにしたものです。
  T さあ、これも二つの考えが出ましたね。どちらが、よくわかるか考えてみましょう。
   二つの考えのうち、前を@とし、後をAとして、水どけいはどんなものか、どちらの文を読んだら、自分で想像して水ど
  けいの絵がかけるか。実際に想像して絵をかいてみましょう。

 このようにして、略画をかかせる。そうすると、@では、おわんとしたたった水しかわからず、Aだとおけの底
に穴をあけ、下におわんをかき、水がしたたっているようすをかいた。このことから、水どけいは何かということ
をあらわす文は、Aであることに気づかせられた。そして再びその段落を読ませて、要点を考えて読むようにさせ
た。
 要点と細部を読み分ける指導は、
a 要点がどんな形で表われているかを知る。
b その表われ方にそった課題を与えて読みとらせる。
c 課題にそった答えであるかどうか検証しながら、要点と細部を見分けさせる。
d 要点を考えながら、再び段落を読ませる。

 (二) 要点を読みとる技能の指導例

1 教 材
  むかしから、いろいろな人が、鳥のまねをして、空をとぼうとしましたが、うまくとべませんでした。ところが、鳥は大空
 を自由にとんでいます。それは、鳥のからだが人間のからだにくらべて、空をとぶのにつごうよくできているからです。
  鳥のからだは、その大きさにくらべて、たいへんかるくできています。鳥のはねがかるいのは、もちろんですが、ほねも、
 ほかの動物よりずっとかるいのです。鳥のほねは、中がからっぽになっているからです。また、鳥は、空をとびながらでも、

                                                     196


  ふんをします。これも、少しでもからだをかる
  くするために、ふんをためておかないしくみに
  なっているからです。
   次は、鳥のつばさのしくみです。鳥は、つば
  さを上下に動かしてまい上がります。まい上が
  ることのできるのは、上から下へつばさを動か
  すとき、空気を下へおすからです。空気をたく
  さんおすために、つばさが大きくできています。
  上から下につばさを動かすには、下におりたつ
  ばさを、上に上げなければなりません。つばさ
  を下から上に上げるときには、はねとはねの間
  にすきまができて、空気がとおりぬけるように
  なっています。ですから、ほとんど空気におさ
  れずに、つぱさを上げることができます。鳥の
  つばさは、まいあがるのにつごうよくできてい
  ます。
   このように、鳥のからだは、空をとぶのにつ
  ごうのいいしくみになっています。

 2 教材研究――文章の構造過程(左図参照)
 3 指導しようとする技能
  (1) 要点を読みとること
  (2) 要点と関係づけて細部を読みとること

                                                     197
4 指導計画………………………四時間
 (1) 全体的に読んで、文章の中心的なことと、基本的なことを読みとる。………………(一時間)
 (2) 「鳥のからだが、かるくできている」ことを調べる。―(本時)……………………(一時間)
 (3) 「鳥のつばさが、まいあがるのにつごうよくできている」ことを調べる。…………(一時間)
 (4) 鳥のからだが、空をとぶのにつごうのいいことを考えながら全文を読む。┐
 (5) 文字・語句の練習                        ―┴………(一時間)
5 技能の養成法
  「要点を読みとる技能」の指導
 T 「鳥のからだが、かるくできている」ことを勉強しましょう。そのことは、どこを読めばわかりますか。はじめから読ん
  で「」をつけなさい。(範囲をおさえる)
 T 今「」をつけたところを読んで、鳥のからだが、空をとぶのにどのようにつごうよくできているか調べなさい。わかっ
  たら。ノートの上の口に書きなさい。(前時に読みとった要点を確認する)

   (記入ノート)

鳥のからだは、空をとぶのにつごうよくできている

 
C (記入例)
・たいへんかるくできている。
・鳥のからだは、大きさにくらべて、かるくできている。
・ほねがかるい。
・はねがかるい。 

  (読みとったことが統一できていないと、つぎへの学習が展開できない。それで、読む観点を前の発間より具体的にし、読
   みとりやすくする。ここでは、文章の表現形式に合わせた発問形式をとり、つぎのようにした)
 T 鳥のからだは、どのようにできていると書いてありますか。もういちど読んで調べなさい。前に書いたものとちがう人は、
  書きなおしなさい。

                                                     198
 C 鳥のからだは、その大きさにくらべてたいへんかるくできています。
   (板書「鳥のからだは、たいへんかるくできている。」)                      
 T どんなところがかるくなるようにできているのでしょうか。ノートの下の  に書きなさい。二つ以上あったら、1、2、
  3と番号をつけて書きなさい。
 C (書きながら、文章を確かめている。「1、はねがかるい」「2、ほねもかるい」までは、ほとんど書いているが、「3、
  ふんをする」は、三分の一ぐらいしか書いていない)
 T どんなところがかるくなるようにできていますか。発表してください。(指名)
 C I はねがかるい。
   2 ほねもかるい。
 T このほかにもあった人は話してください。
 C ふんをする。
 C ふんをためておかないしくみになっている。
 T 三ばんまで書いた人がありますが、それでよいかどうか、読んで確かめてください。わかったら、書きだしたり、書き直
  したりしなさい。
 C (順番を書き直したり。3を書きだしている児童が多い)
 T みなさんが書いたものを発表してもらいましょう。
   (板書する。一つずつ板書しながら文表現を確かめ、「もちろん」「……も」などの語句や語法に注意し指導することをふ
  くむ――ノートの記述を挙手によって確かめ、または訂正させる)
 T この三つのことをまとめていうと、鳥のからだは、どのようにできているということですか。自分のノートを見て、その
  ことが書いてあるところを、赤えんぴつでかこみをつけなさい。
 C (ほとんどの児童が、ノートの上の口をかこむ)
 T かこみをつけたところと同じように黒板のにもかこみをつけてもらいましょう。(指名)
 C (「鳥のからだは、たいへんかるくできています。」をかこむ)
                                                     199
 T このことは、本のどこに書いてありますか。書いてあるところに赤えんぴつで――をひきなさい。
   (机間巡視によって確かめ、指名して発表させる)

<技能の指導について>
 1 記述による方法をとり入れたが、記入ノートを、要点と細部とをわけだ形式にすると、特に要点と細部とを
  読みわける技能をはたらかせるのに役立ち、構造的に理解を深めることができる。
 2 要点を読みとることと、要点と細部とを読みわけることの技能は、密接な関係をもっているが、過程的に
  は、要点を読みとり、要点を支えている細部を読み、関係判断をするという順序をとっている。


     四 四年の読解技能の養成


 (一) 段落にまとめて読む技能・要点を読みとる技能の指導例

― 教 材
    動物のへんそう
  野原を歩いているとき、ばったが、ぱっと飛びたつことがあります。つかまえようと思って、おりた所に行ってみても、も
 うみつからない。こんなけいけんはありませんか。これは、ばったの色が草の色ににているからですが、動物たちは、このよ
 うに、身を守るためのしくみをもっているのです。
  あぶらなやだいこんの葉にいるあおむしは、もんしろちょうのよう虫です。あおむしも、ばったと同じように、葉の色にに
 ています。もんしろちょうは、たくさんのたまごを葉に産みつけますが、そのたまごがみんな育つというわけにはいきません。
                                                      
きせい
 あおむしは、すずめやむくどりのような小鳥やあしながばち・すずめばちなどにおそわれますし、あおむしのからだに寄生

                                                     200
 するこまゆばちなども、あおむしにとっては、おそろしいてきです。あおむしが葉の色によくにているのも、このようなてき
  から身を守るのに役だっていると考えられます。                          
 これらは、こん虫のれいですが、鳥やけものはどうでしょう。雪国にすむらいちょうやえちごうさぎは、冬、あたりが雪に
 うずまっているころは、はねや毛がまっ白です。ところが、春になって雪がとけると、らいちょうは、地面の色ににた、茶色
 のまだらなはねに、えちごうさぎは、茶色の毛に変わります。らいちょうやえちごうさぎは、こうして、じぶんをねらうてき
 の目をごまかすのです。
  動物の中には、また、色だけでなく、形までまわりのものににていて、てきにみつからないようになっているものがありま
 す。しやくとりむしがかれえだににていたり、このはちょうが木の葉にそっくりだったりするのは、そのれいです。
   ハワイにいるある種のかまきりは、あとあしや中あしに、それぞれ、木の葉のようなものをつけているので、ちょっと見る
  と、木のえだに葉がついているようにしか見えません。また、マライ半島やインドにいるかまきりの中には、きれいなばらや
  らんの花にそっくりの色や形をしていて、みつをすいによってくる虫たちを、かたっぱしから食べて生活しているものさえい
  ます。これなどは、てきから身を守るためではなく、えものをとるためにも役だっているれいです。
  魚の中にも、まわりにあるものに、ずいぶんよくにたものがいます。上の絵は、ようじうおという魚が、海底にしげったあ
 まもという海草の間を泳いでいるところです。頭を上にして、立ったようなかっこうで泳いでいるすがたは、海草そっくりで
 はありませんか。これでは、てきたちには、なかなかみつからないでしょうね。
  たつのおとしごも、色や形が海草ににていますが、この魚は、動作にとくちょうがあります。てきが来ると、海草に、おで
 まきついて、すがたをくらますのです。また、へらやがらという細長い魚は、てきにおそわれると、じぶんのからだににた形
 のかいめんのそばに。急いで行って、さか立ちのかっこうでじっとします。すると、かいめんと見わけがつかず、苦労して追
 いかけてきたてきたちは、たちまちえものを見失うというわけです。
  ところで。動物たちは、人間のように、ものごとを考えてこうしようと決めるわけではありません。このような「動物のへ
 んそう」は、自分の生命を守り、種族をほろぼさないようにするために、生まれつきそなえている。自然のしくみなのです。

2 教材研究――文章の構造過程
                                                     201


                                                     202
3 この教材で主として指導する技能
 (1) 段落ごとにまとめて読むこと。
 (2) 段落の要点を読みとること。
 (3) 段落を要約すること。
 (4) 要点と関係させて細部を読みとること。
4 指導計画………………九時間
 (1) 動物のへんそうを読む目的を話し合う。
 (2) 話題をもとにして全文を読み、何について説明しているかを読みとる。………………(二時間)
 (3) どんな動物のどんなへんそうかを読みとる…………………………………………………(三時間)
  @ 段落ごとにまとめて読むこと。
  A 段落の要点を読みとること。
  B 段落を要約すること。
(4) 何をどのようにしてへんそうするのか、また、その理由を読みとる。……………………(二時間)
  ・要点と関係させて細部を読みとること。
(5) 動物のへんそうの特徴を表にまとめる。
(6) 動物のへんそうは、どんな意味があるか読みとる。
(7) 文字・語句・技能練習。
5 技能の養成法
 (1) 段落にまとめて読む技能の指導
 指導計画の(3)で、全文を読み通し、つぎの表の@Aの欄に記入させる。
  この表に記入したことをもとに、つぎのような指導を行なう。
                                                     203

@ 動物の名  A へんそう  B へんそうのまとめ  C へんそうのしくみの特徴 
       

 T いろいろな動物が、いろいろなへんそうをしていることがわかりましたね。初めにわかった動物は何ですか。
 C ばったです。
 C もんしろちょうのよう虫。
 T どちらかな。
    (児童は口々に「ばった」「ばった」という)
 T では、ばったについては、文章のどこからどこまでに書いてあるか読んでみましょう。ばったのことを書いてある初めと
  終わりに「」をつけながら読んでみなさい。
 T さあ、どこからどこまででしたか。
 C 初めから、「ばったの色が草の色ににているからですが」までです。
 C ちがいます。初めから、「しくみをもっているのです」までです。
 T さあ、また二つの答えがでましたね。それは、ちょっとおいておいて、前の二つの答えの「ばった」か「もんしろちょう
  のよう虫」か、ということは、どちらが先に書いてあったかわかりましたね。「ばった」ですね。では、ばったのことが書い
  てあるのは、初めは同じでしたが、終わりが違いますね。それぞれ答えた考えを発表してください。
 C 「……草の色ににているからですが」のあとは、ばったでなくて動物のことだからです。
 C でも、そこでは文が終わっていません。だから、「しくみをもっているのです」までにしなければいけません。
 T 前に、「だんらく」ということを勉強しましたね。だんらくは、一つの意味のまとまりで、文章の中で、初めは一字さげ
  て書き出してありますね。終わりは文のあとがあけてあります。ですから、ここは、「しくみをもっているのです」までで
  す。(この段落は、話題の提示の段落で、「ばった」は、一例として引用しているのである。この点については、要点を読み
  とる段階で指導する)

                                                     204
 T つぎの動物は何ですか
 C もんしろちょうのよう虫。
 C あおむし。
 T どちらですか。文章をもう一度読んで考えてみましょう。
 C 「あぶらなやだいこんの葉にいるあおむしは、もんしろちょうのよう虫です」と書いてあります。ですから、「あおむし」
   と「もんしろちょうのよう虫」とは同じことです。
 C 同じことにはちがいないが、ここでは。「あおむしは」と書いてあるし、あとの文章にも、あおむしのへんそうのことが
   書いてあるので、あおむしのほうがよいと思います。
 T そうですね。では、あお虫のことは、どこからどこまでに書いてあるか、またしるしをつけてみましょう。
   (このような指導で、説明されている動物によって段落にまとめる指導を行なう。段落にまとめたあとは、段落の要点を読
 みとる指導を行なう。このことは、つぎの技能養成の項に説明する)

 つぎに、この文章は「へんそう」という観点からながめると、「色」「色と形」「色と形と動作」という三つの
意味段落にまとめられる。その点についても、児童に目を向けさせる必要があるので、指導計画の(5)で、つぎのよ
うな指導を行なった。
 T 表の@ABは記入できましたね。いまこれを見て、動物のへんそうのしくみで、似た点はないか考えてごらんなさい。
 T ヒントを与えましょう。「ばった」「あおむし」は、どのようにしてへんそうしますか。
 C ばったは草の色ににて、あおむしは葉の色によくにていますJ
 T そうすると、この二つのへんそうのしかたで似た点はありませんか。
 C 色です。
 T そうですね。このように、へんそうのしくみの似た点をまとめてみましょう。では文章を読んで、色だけでへんそうして
   いるのはどこまで書いてあるか読んでみましょう。

 このようにして、三つの大きな段落にまとめられることを指導した。
 段落にまとめて読む技能の指導は、単に形式的にはいるのではなく、内容と形式とを切りはなさずに行なう。形
                                                     205
式的というのは、一字さげだけに注意させたり、つなぎことばに注意させて、段落にまとめて読む技能を指導する
ことである。また段落は、観点によって区切り方がちがうこともはっきりと指導しておかなければならない。この
教材でいえば、初めは動物の種類によって段落ごとにまとめて読ませた。つぎは、へんそうの特徴(共通点)という
観点から、段落にまとめて読む技能の指導を行なった。段落にまとめて読む技能の指導のとき、たいせつなことは、
どんな観点から段落にまとめるのかをはっきりさせて読ませることである。
(2) 段落の要点を読みとる技能の指導
 指導計画(2)の段階で、全文を読み通し、直観的に要旨を読みとる活動を行なったのちに要点の指導をつぎのよう
に行なった。
 T 段落にまとめて読むところで、ばったについて書いてあるところは、どこからどこまでかわかりましたね。この一番めの
 段落では、この作者は何を説明したかったかもう一度読んで考えてみましょう。
 T 読み終わって考えがまとまった人は、前に記入した表のBへんそうのまとめに書いてみましょう。
 T どのように書いたか発表してください。
 C ばったは草の色ににている。
 C ばったは草の色ににているからつかまらない。
 C 動物は身を守るためのしくみをもっている。
 T いろいろ答えが出ましたね。どれがよいか考えてみましょう。今、答えたことを二つに分けると、
   ばったは草の色ににている。
   動物は身を守るためのしくみをもっている。
 ということになりますね。

                                                     206
  この文章全体では何をいおうとしているのでした(指導計画(2)で直観的に要旨を読みとる活動をした。 それを想起させ
 る。)
 C 動物のへんそうのこと。
 C 動物のへんそうは、自分の生命を守り、種族をほろぼさないようにするために、生まれつきそなわっている自然のしくみ。
 T そうでしたね。そうすると、文章全体のことを考えると、この最初の段落は、どちらがたいせつになりますか。
 C 動物です。
 C 動物たちは身を守るしくみをもっているということを説明しますと、初めに書いたのです。
 T そうですね。この段落をよく読んでも、ばったは、みんなの知っていることに結びつけて書き出しているのですね。では、
  二番めの段落を読んで、ここをまとめるとどうなるか、表に書いてみましょう。
 T 二番めの段落はどうでした。
 C 「あおむしも、ばったと同じように葉の色ににています。」
 C 「あおむしも、ばったと同じように葉の色ににていて、身を守ります」としたほうがよいと思います。
 T どうしてですか。
 C ただ葉の色ににているだけでなく、すずめやむくどりや、あしながばちにおそわれないように葉の色によくにていると書
  いてあるからです。
 C この文章は、動物のへんそうが身を守るために役立つということを説明しているのだから、「葉の色ににていて身を守る」
  とまとめたほうがよいと思います。
 T いろいろいい意見が出ましたね。段落のまとめを考えるとき、文章全体のことを考えることがたいせつですね。
  では、ここは、「あおむしは、ばったと同じように葉の色ににていて、身を守ります」とまとめましょう。この段落の説明
  を詳しく読みながら、このまとめ方がいいかどうか考えてみましょう。この段落の中に「もんしろちょうは、たくさんのた
  まごを葉に産みつけますが、そのたまごがみんな育つというわけではありません。」とありますが、なぜでしょうか。
 C すずめやむくどりやあしながばち、すずめばちにおそわれるから。
 C それに、こまゆばちにもおそわれる。
                                                     207
 C こまゆばちには、おそわれるのではないと思います。おそろしいてきです。
  てきだから、おそうのです。
 C でも、こまゆばちは、あおむしのからだに寄生しているとあるから、おそうのとはちがいます。
 T 寄生とはどういうことかがわかればいいわけですね。寄生虫というのをしっていますね。それから考えてみなさい。
 C 寄生って、こまゆばちがあおむしのからだにくっついていることです。
 T そう、あおむしにくっついていて、その養分をとるのですね。だから、おそろしい敵なのですね。今、発表してもらった
  ように、たくさんの敵がいて、あおむしをねらっているのですね。では、なぜあおむしは、葉の色ににているのですか。
 C てきから身を守るためです。
 T そうですね。そうすると、この段落のまとめとするとどちらがいいでしょう。
 C 「あおむしは、葉の色ににて、身を守るのに役だっている」のほうがいいと思います。

 以下同じような方法で、段落の要点を読みとらせた。
 段落の要点を読みとる技能養成は、つぎの点に留意する。
@ 要点がどのような表われ方をしているか。
 段落の中に、要点文として表わされているか、それとも、段落を要約しなければ要点がつかめないか。また、要
点文として表わされているとき、他の文との関係はどうなっているかを調べておく。
A 要点は、その段落だけでは、解決されない場合がある。要旨との関係を考えて要点を読みとらせる。


                                                     208
      五 五年の読解技能の養成


 (一) 要旨(意図)を読みとる技能の指導例

1 教 材
    機械の美しさ
  わたしたちが生きているこの二十世紀は、機械文明の時代です。空には、飛行機が音以上の速さで飛んでいます。町には、
 新しい型の自動車があふれています。家庭では、スイッチ一つひねれば、自動的にご飯をたく道具や、せんたくをする道具な
 どが使われるようになりました。
  このように、わたしたちの生活を取りまいているおびただしい機械や道具は、人間の生活を便利に、楽しくするという要求
 から生まれたものです。
  ところで、これらの機械や道具をよく見ると、その形がとても美しくできていることに気がつきます。飛行機でも、自動車
 でも、歯車でも、すべてその一つ一つが独特の美しさを持っています。
  時計を見てみましょう。時計は、時間を計るために作られた機械です。けれども、むかしは、時間を計るのに必要のない、
 手のこんだちょうこくやうき出しもようなど、いろいろなかざりをつけていました。そのかざりの重々しさは、まるで、どう
 だ、りっぱだろう、こんなめずらしい高価な時計はそんなにはないんだぞと言わぬばかりに、その持ち主のえらさをほこって
 いるかのようでした。そして、だんだんそのかざりは多くなり、とうとう時計は、時間を計るためだけの機械ではなくなり、
 へやのかざりになってしまいました。
  ところが、時計がすっかりゆきわたって、だれでも使うようになった時、それまでの見た目にだけいいようなむだなかざり

                                                     209
 は、かげをひそめてしまいました。かざりが多いことは、かえって時計としての役に立たないことがわかってきたのです。そ
 して今度は、はりや文宇板など、時計としての役割を果たすために、なくてはならないものだけで美しさをくふうするように
 なったのです。
  飛行機を見てみましょう。飛行機は、空を速く飛ぶという目的を持っています。したがって、形もその目的に合うように作
 られています。はじめのころめ飛行機は、車輪が外に出ていました。形も、四角いはこのような形でした。ところが、速く飛
 ぶためには、車輪はじゃまになるので、飛んでいる時は中へ引っこめるようにしました。形も風のていこうを少なくするため
 に、はこ型から流線型になってきました。このように、速く飛ぶという目的のために、くふうがこらされていくうちに、自然、
 あのようなすばらしい性能と美しい形を持った飛行機ができたのです。
  新聞牡の輪転機はどうでしょう。大きな歯車は、何百となくかみ合って、ゴーゴーとはげしい音を立てて働いています。白
 い紙の流れを次から次へと順序よく回して、最後に、できあがった新聞が折りたたまれて正確に出てくるようになっています。
 そのふくざつなしくみの中には、ねじ一本、歯車一つでさえ、むだなものはありません。そして、それらがみな関係し合って、
 流れるように動くのです。よけいなかざりや、ごたごたしたもようなど、この輪転機にはすべて不必要なのです。見ていると、
 何か大きな生き物のように思えてきます。そして、次第にそれは、たくましく美しくさえ見えてきます。
 機械の美しさ――それは機械文明の時代に生まれた新しい美しさです。むかし、ただ花や鳥や自然の美しさだけに美を見
 いだしてきた人間が、生活のための必要を追って機械文明の時代にふみ入った時、そこに新しい美しさを発見し、新しい美を
 作り出したと言うことができましょう。


2 文章の構造過程(二一〇ページの図)
3 この教材で指導する技能 
 (1) 要点を読みとること
 (2) 段落相互の関係から文章の組み立てを読みとること
 (3) 要旨を読みとること
4 指導計画
                                                     210


                                                     211
 (1) 全文を読んで直観的に要旨を読みとる。……(一時間)
 (2) 学習計画をたてる。
 (3) 機械のもつ美しさを読みとる。………………(三時間)
  ・段落にまとめ要点を読みとる。
  ・要点と細部を関係づけながら要点を明らかにする。
 (4) 要旨を読みとる…………………………………(一時間)
  ・段落相互の関係から文章の組み立てを読みとる。
  ・要旨を読みとる。
 (5) 文字・語句・技能の練習………………………………(一時間)
5 技能の養成法
 (1) 要旨を読みとる技能の指導
 a 指導計画(1)の段階(全文を読んで直観的に要旨を読みとる)
  T 「機械の美しさ」という文章の中で、作者がいちばんいいたいことは何か、考えながらよく読んでみましょう。読んで
   わかったら、この用紙の最初の   の中に書いてください。
   (記入用紙は、つぎのような形式のものを与えた)

 「機械の美しさ」の文章の中で、作者がいちばん言いたいことはどんなことでしょう
 1                       
     ↓
 2                       
     ↓
 3                       
 


                                                     212
 この時間には、1と2を使い、3は、学習のまとめに使う。これは、指導の資料として、また児童の自己評価の
資料として活用するためのものである。。
  (黙読。その間に読みの目的を板書)

作者は「機械の美しさ」の文章を通して
何をいちばんいいたいのでしょうか 

 T作者がこの文章の中でいちばんいいたいことはどんなことでしょう。発表してください。
  @
 C 機械や道具は、人間の生活を便利に楽しくするという要求から生まれたものです。
  A 
 C 飛行機でも、自動車でも、歯車でも、すべてその一つ一つが独特の美しさを持っています。
  B
 C 機械の美しさ。それは機械文明の時代に生まれた美しさです。
  C
 C 機械の美しさは機械文明の時代に、人間が生活のための必要を追って生みだした新しい美しさです。
  (発表順に板書。ほかにないことを確かめてから@からCまで、同じとらえ方をしたものを挙手によって確認。次にそれぞれ
 作者のいちばん言いたいこととしてとらえた理由を発表させる)
 T 作者がいちばん言いたいことは何か、なぜそれをとらえたかがわかりましたね。
  @は、機械や道具が生まれた理由
  Aは、機械や道具は、一つ一つ独特の美しさを持っているということ
  BとCは、機械の美しさとは何かということでしたね。それでは、作者が、それらをいいたいために、どんな順でどのよう
  に説明しているか考えながら、全文をもう一度読んでみましょう。そして、それらがほんとうに述べられているのかどうか
  考えてみてください。もう一度読んでみて、作者のいちばんいいたいことは何かを改めて考え、2の  の中に書いてくだ
  さい。
  (熟読。全文を再度読み直して、要旨を用紙に書きこむ)
 T どうなりましたか。発表してください。
 C 機械は、すべてその一つ一つが独特の美しさを持っています。
                                                     213
   (「同じ」の声あり)
  A
 C 機械の美しさは、人間が生活のための必要を追って生みだした機械文明の時代の新しい美しさです。
   (前と同じく「同じ」「そうそう」の声あり)
 T 二つに分かれたようですね。どちらが、ほんとうに作者のいいたいことなのか確かめるのには、どのような計画で学習し
  ていったらいいでしょう。

 学習計画を話し合った結果、つぎのようになった。二つでた要旨を確かめるためには、内容をくわしく読みとる
必要がある。そのためには、@全文を読んで段落にわける。A段落の要点を読みとる。B段落の要点を、細部と関
係づけながら明らかにする。C要点と要点を関係づけながら文章の組み立てを調べる。D要旨はどれかを改めて考
える。この順にしたがって学習をすすめていった。
 b 指導計画(4)の段階(要旨を読みとる)
 指導計画(3)までは、まず、段落わけし、その段落の要点を読みとり、それを細部との関係において確認し、用紙
に記入、つぎに、段落相互の関係をおさえながら、さらに大きく段落にまとめ、その要点を確認、用紙にそれを記
入という学習が行なわれた。つぎに示すのがその結果である。なお、( )と傍線は本時に取扱ったものである。

              機  械  の  美  し  さ
文章の
組み立
て 
段落
番号
要        点  段落
番号
(前書き)   1   二十世紀は機械文明の時代です。  @
機械や道具は人間の生活を便利に楽しくす
るという要求から生まれたものです。 
機械や道具は、人間の生活を便利に楽しくすると
いう要求から生まれたものです。 
A
(具体的
に説明) 
 2




(1)


(2)


(3)
機械はすべてその一つ一つが独特の美しさ
を持っている。 
機械はすべてその一つ一つが独特な美しさを持っ
ています。 
B
  時計は時間を計るための機械ではなくなり、へや
のかざりになってしまいました。 
C
時計は時計としての役目を果たすためにな
くてはならないものだけで美しさをくふう
するようになった。 
時計としての役目を果たすためのものだけで美し
さをくふうするようになったのです。 
D
飛行機は速くとぶという目的のためにくふ
うがこらされすばらしい性能と美しい形を
持つようになった。 
飛行機は速くとぶという目的のためにくふうがこ
らされ、すばらしい性能と美しい形を持つように
なったのです。 
E
輪転機のしくみはむだなものがなくたくま
しく、美しくさえ見える。 
輪転機のしくみにはむだなものがなく、それらが
活動するさまはたくましく美しくさえ見えます。 
F
(まとめ)  3 ┌機械の美しさは、人間が生活のための必要
を追って機械文明の時代に生み出した新し|
└い美しさです。            ┘
機械の美しさは機械文明の時代に、人間が生活の
ための必要を追って生み出した新しい美しさです
G










  214

 

 本時は、ァ前に読みとった最後の段落の要点を明らかにする。ィ文章全体の組み立てを調べる。ゥ要旨を確認す
るの順序で学習が行なわれた。文章の組み立てについては、すでに要点を確認していく段階で、1は前書き、2は
説明の部分というように、話題として児童の間では出ていたが特にとりあげて指導はしなかった。
(a) 最後の段落の要点を明らかにする
                                                     215
 最後の段落は二つの文から成り立っているので、その二つを対比して話し合った結果、この段落は、二つの文を
要約して要点をまとめることを確認、つぎのような過程をとおって要点をまとめ。用紙3の下に記入した。
 @ 機械の美しさは機械文明の時代に生まれた新しい美しさ
 A 人間が生活のための必要を追って、機械文明の時代に発見し作り出した新しい美 
 @とAをつないで「機絨の美しさは人間が生活のための必要を追って機械文明の時代に生み出した新しい美しさ」
 (b) 文章全体の組み立てを調べる
  T これではじめに読みとった要点が全部確認されましたね。では、最後の段落は、文章全体としてどういう役わりをもって
   いるのでしょう。
  C まとめです。
  C 作者の意見をまとめて述べているところです。(「同じ」の声多し)
  T この段落はまとめ、または、作者の意見のまとめが述べられているというわけですね。では、最初とつぎの段落はどんな
   役わりをしているのでしょう。
  C 1の段落は、前書き、2の段落は、例をあげて説明してある部分です。
  T それでいいですか。そうするとこの文章は前書きがあって、つぎに具体的な説明が書かれ、最後にまとめという組み立て
   になっているのですね。用紙にそれを記入しておきましょう。(用紙中の文章の組み立て欄に記入する。)
  T つぎに三つの要点の関係をみてみましょう。まず機械や道具は、どんな要求から作られましたか。機械の美しさはどんな
   美しさでしたか。(1と3の要点の関係を調べる)

生活を楽しく便利にするため 

    ↓

人間が生活の必要を追って生みだした機械文明の時代の美しさ 

                                                     216
 解答をそのまま上のように板書し、生活の必要とは生活を楽しく便利にするための必要であることに気づかせ、
傍線によって関係を明らかにした。なお、残りの要点を間に書き、独特の美しさが、時計では、役目を果たすため
のもの、飛行機は速くとぶ目的のため、輪転機はむだのないしくみで、すべて必要を追って生みだした美しさであ

ることを明らかにし傍線をひいた。
 c 要旨を確認する                         ゛
 T 前書き・説明・まとめの関係がわかりましたか。それでは、いよいよ、作者がこの文章の中でいちばんいいたいことは何
   か確かめることにしましょう。はじめにとらえたのは、ちょうど、2と3の要点と同じになりましたね。この二つのうち、
   どちらが正しいのでしょう。今までの学習を参考にして、全文を読み、作者がいちばんいいたいことは何か、読みとってく
   ださい。
  (黙読する)
  T さあ、どうでしょう。独特の美しさがあるというほうだと思う人。(挙手なし) 人間が生活の必要を追って生みだした新
   しい美しさだと思う人。(挙手全員)どうして、それだというのでしょう。
  C たしかに独特の美しさについては。くわしく説明してありますが、その美しさは、むだのない美しさで、人間が生みだし
   たものだと作者は述べています。機械の美しさを説明しているおく底に、それを生み出したのは人間なのだと作者は強くい
   いたいのだと思ったからです。
  (表現はちがうが、同じ意見を続いて三名が発表)
  T 今、発表にもあったように、作者は。機械の美しさについて、例をあげて説明しています。しかし、それが目的でなく、
   機械の美しさを作りだしたのは人間なのだ。人間が生みだした美しさなのだと強調していますね。ですから、この文章で作
   者がいちばんいいたいことは。まとめの部分つまり最後の段落の要点ということになります。ではその部分を赤で囲みまし
   ょう。そして、また、用紙(指導計画1に使用した用紙)の3の   にも、それを書いておきましょう。


                                                     217

      六 六年の読解技能の養成


 (一) 段落を要約する技能・文章を要約する技能の指導例

1 教 材
      雪と戦う
  北海道・東北・北陸地方などの雪国に住む人々にとっては、雪のない生活など、考えることができません。なぜなら初雪は、
 早い所では十月の終わり、おそい所でも十二月のはじめにふります。その時ふり積もった雪は、四月の末から五月の中ごろま
 で、そのまま残っている所がありますから。人々はまる半年も雪にうずもれてくらすわけです。
  雪国の人々はそうして、来る年も来る年も雪と戦ってくらしてきたので、雪国特有の生活様式を持つようになりました。
  秋の取り入れがすむと、追いかけるようにしてやってくる雪に備えて、大急ぎで食料をたくわえます。雪にとざされてしま
 うことは食料を手に入れる道がふさがれることですから、人々はしんけんです。うちじゅう総出でいもや野菜をあな倉にしま
 ったり、土の中にいけたり、つけ物にしたり、かんそうさせたりするのです。
  いよいよ雪がやってくると、今度は家を雪から守らなくてはなりません。あれくるうふぶきや、積もったままでとけない雪
 にたえられるように、男たちは、じょうぶな雪囲いを作ります。家のまわりにまる太を立てて、その間に竹やぼうをいくだん
 にもわたし、そこに「かや」のたばで、大きなかきねを作るのです。出入り口や、まどの所は、特にしっかり囲います。
  ふぶきの夜には、家のまわりの防風林のこずえが、ピューピューとぶきみにうなり続けます。そんな夜など、ふぶきのため
 に歩けなくなった人があったりすると、ただちに、村のわか者たちが何人か集まり、しっかりと身じたくを整えて、その人の
 救い出しに出かけます。たくさん雪が積もって、そりでさえ通れない所を、かんじきをはいて行くのです。

                                                     218
  ふぶきが収まって、雪がやむと、人々は自分たちの家の屋根の雪おろしをします。そのままにしておくと、雪の重みで、屋
 根はこわれ、柱はゆがみ、ひどくなると、家がつぶれることさえあるからです。
  雪は、交通機関や通信機関にとっても、おそろしいものです。ふぶきになると、交通機関はほとんど止まってしまいます。
 鉄道の機関区の人々は、昼と言わず、夜と言わず出動して。ラッセル車やロータリー車をくり出し、除雪に努めます。ラッセ
 ル車は、前がすきの形になっていて、線路の雪を左右にかいて進みます。これは、一メートル半ぐらいまでの積雪の時に使い
 ます。雪がそれよりも深くなると、強力なじょう気機関をもち、前の大きな鉄のはね車を回して、線路の上の雪をふき飛ばす
 ことのできるロータリー車を使います。ふき飛ばすきょりは、最大六十メートルほどです。ラッセル車もロータリー車も機関
 車の前につなぎます。
  また、春さきおこるなだれもおそろしいものです。山の上からものすごい勢いで落ちて来て、線路をめちゃめちゃにしてし
 まうからです。山の下を線路が通っている所では、このおそろしいなだれを防ぐために、鉄やコンクリートや石で土手を作っ
 たりします。線路の上に、雪のふきだまりができるのを防ぐためには、防雪林といって風上に林を作ったり、防雪さくと言っ
 てさくを作ったりします。本州の雪国では、すぎ林が多いようです。
  ふぶきやなだれのために、電柱がたおれたり、電線が切れたりして、電燈がつかなかったり電話が不通になったりすること
 があります。工夫の人たちは、ふぶきやなだれが収まるとすぐに、工具をたずさえて復旧工事に出かけます。
  雪国の鉄道や通信機関で働く人々は、雪国の人々の生活と文化の守り神だと言ってもいいでしょう。
  このように、雪国では、人々は雪と戦わずにくらすことはできません。もっと科学が進歩して、科学の力で雪の害を取り除
 くことができるようになったら、雪国の人々はどんなにしあわせになることでしょう。


2 この教材で指導する技能
 (1) 要点を読みとること。
 (2) 段落を要約すること。
 (3) 段落相互の関係を理解すること。
 (4) 文章全体を要約すること。
                                                     219
 (5) 要旨を読みとること。
3 指導計画
 (1) 全文を読んで要旨を読みとる。┬……………………(一時間)
 (2) 学習計画を立てる。     ┘
 (3) 段落にまとめ、要点を読みとる。……………………(一時間)
 (4) 要点と関係づけて詳細を読みとり、記録する。……(三時間)
 (5) 文章全体を要約して記録する。………………………(一時間)
 (6) 全文を読んで感想を話し合う。┬……………………(一時間)               
 (7) 文字・語句・技能の練習。  ┘
4 技能の養成法
 (1) 段落を要約する技能の指導
 読みとった知識を記録するためには、箇条書きにしたり要約文を作ったりすることが必要である。ここでは要約
文を作って記録するという目的で、段落の要点と関連させて詳細を読みとる活動を行なった。
 指導計画の(4)で、第二段以降段落の詳細をつぎのような方法で読みとらせ、段落を要約する技能を指導した。
 T 雪国の人々は、長い間、雪と戦ってくらしてきたため、特有の生活様式を持つようになったというわけなのですね。それ
  ではどんな生活様式なのでしょう。よく読んでこの用紙にまとめてみましょう。
  (記入用紙はつぎのような形式のものを与えた。みんなでまとめる欄には、自分でまとめたものとを比べながら、板書した事
 項を書き写させ、自己評価をねらった)

自分でまとめる  みんなでまとめる 
   

                                                     220
 机間巡視し、児童のまとめ方を観察した。ほとんどが、小段落の要点をとらえ、四つの生活様式をおさえていた。
まとめ方は、時期や理由を入れて、つぎに示す例のようにまとめているのが大部分であった。
 @ 秋の取り入れがすむと食料を貯える。
 A 雪がやってくると、家を守るために雪囲いを作る。
 B ふぶきで歩けなくなった人を若者たちが助けにいく。
 C 雪がやむと屋根の雪おろしをする。

 T 雪国特有の生活様式は、いくつ説明されていますか。
 C 四つ、説明されています。
 T その四つをいってください。
  (前に示した例のように答える。答えたとおり板書)
 T これでいいですか。(同意の声)ちがったまとめ方をした人はいませんか。
 C ちがったとはいえないけれど、もっと簡単にまとめました。1食料を貯える。2雪囲いを作る。3ふぶき で歩けなくなっ
  た人を救い出しにいく。4屋根の雪をおろすなどです。
 T ここだけにしたわけですね。(板書に、発表か所だけ、傍線を入れる)このようにまとめた人は、どのくらいいますか。
   (挙手により人数確認18%)どちらにしても雪国特有の生活様式をまとめたものですが、一つずつ、くわしく内容を読んで、
  正しいまとめかどうか確かめてみましょう。まず1をとりあげてみます。文章を五つの視点(@いつ、A何のために、Bだ
  れが、C何をする。Dどんな方法で)をあてて読み、みんなで、生活様式の内容を調べてみましょう。
 (段落の要約を段階的に指導する。段落を五つの視点から縮約。その文中から大事なことをとり出させる)
 C @秋のとり入れがすむと、A雪に備えて、B家中総出で、C食料を貯える、Dあな倉や土の中、つけ物、かんそう。
 T 今のようなやり方であとの三つをやりなさい。中には、@からDまで、全部あてはまらないのもあるでしょうから、気を
  つけてまとめなさい。
 (机聞巡視して、個別指導「いつしますか」「何をしますか」と一つずつ分けて質問、@〜Dに、書きこませる)

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 T まとまったものを発表してもらいます。
 C 2…雪がやってくると。家を雪から守るために、雪囲いを作る。家のまわりにじょうぶな大きなかきねをつくる。
 C 3…ふぶきの夜、若者たちが、ふぶきのために歩けなくなった人を救い出しにいく。身じたくを整え、かんじきをはいて。
 C 4…雪がやむと、雪の重みの被害をなくすために、自分の家の屋根の雪おろしをする。
 (1にならって@A……と間をあけて板書。説明のない箇所は、話し合いながら、空欄にしていった)
 T 生活様式の内容がわかりましたね。この中で。生活様式をまとめていることばはどれでしょう。
 (1を指し発問、能力、中くらいで前に示した「例」のようにまとめた児童を指名する)
 C 食料を貯える。
 2では、どれでしょう。
 (前の児童より、やや低い児童を指名)
 C 雪囲いを作る。
 T 3、4は、各自でまとめていることばを四角で囲みなさい。
  (囲んだことばを発表させる。3ふぶきで歩けなくなった人を救い出しにいく。4屋根の雪おろしをする等に、全員まとめる。
  まとめの箇所を色チョークで囲み、生活様式四つを確認する)
 T まとめ方がわかりましたか。こんどは、第三段落を今のようにして、まとめてみてください。ここでは、交通機関、通信
  機関の雪の害と、それと戦う人々の努力を調べるのでしたね。
  まず、交通機関と通信機関にわけて、雪の害との戦いの例が、いくつあげてあるか読みとる。それがわかったら、つぎに
 何のためにどうしている か、か条書きにしてみましょう。

 ここでは、個別指導を行なうためにグループ別にし、各自でまとめる→グループで話し合ってまとめる→全体で
まとめるという手順で学習を行なった。
 第二段落のまとめをすぐ応用できる児童もいるが、全体を考えて、最初に、まとめ方を与えた。能力の低い児童
のグループに対しては、読む範囲を内容に応じて、二、三センテンスずつ与え、「何のことについて書いてあるのか」
                                                     222
「その人々が、どんなことをするのか」「それは、なんのためにするのか」など、具体的に質問してまとめさせた。
全体でまとめた結果は、

 ┌―1 交通機関で働く人々
 |  (1) ふぶきから線路を守るため
 |   除雪に努める(ラッセル車・ロータリー車)
 |    ・・・・・・・・・・・・
 |   ―昼といわず夜といわず出動―
 |  (2) なだれから線路を守るため
 |   土手を作る(鉄・コンクリート・石)
┌┤  (3) 線路に雪のふきだまりを作らないため
||   防雪林・防雪さくを作る
|└―2 通信機関で働く人々
|   ふぶきやなだれのための通信機関のひ害を除くため
|        ・・
|   ―収まるとすぐ―
|   復旧工事にでかける
|  ・・・・・・・・・・・・・・・
└→(雪国の人々の生活と文化の守り神といえる)
  は、雪との戦いの姿、―は作者の感想で
 (・・・)の素地として、話し合いながら分け
ていったものである。第四段落は省略。
 (2) 文章全体を要約する技能の養成法
 T 各段落ごとに学習してきましたが、もう一度初
  めから読んで、雪国の人々の雪と戦う生活のよう
  すが、ひとめでわかるようにまとめ直してみまし
  ょう。四つの大きな柱と、その柱を説明している
  大事な点を、か条書きにしてみましょう。前に学
  習した四角に囲んだところに注意しながら。
 (プリント<まとめの用紙>を配布、学習に使った
 記入用紙を参考にしてまとめさせる)
 T それから初めたてた計画のとおり、雪との戦い
  のようすを、まとめて文章にしてもらいますから、
  どうまとめたらよいか考えながら全文を読んでご
  らんなさい。
 

(ここでも、前時のグループで学習。書いたものを確かめ合いながら整理するよう指示。終わったころ、模造紙に教師がまと
めておいたものを指示。各自のものと比べさせた)
T 雪との戦いのようすを文章にまとめてもらいます。今、まとめた上段を参考に、下段に書いてください。要点をそのまま
つなげただけでは、要約したとはいえません。段落と段落の要点の関係を考えてまとめることが大事です。ここでは、まず、

                                                     223

雪 と 戦 う

1            
   ・
2            
   ・
   ・
   ・
3            
 (1)
   ・
   ・
   ・
 (2)
   ・
4            


 
大事なことをおとさず短く
まとめましょう。

              

              

              

              

              

              

              

              

              
 
  なぜ、雪国特有の生活様式を持つようになっ
  たかから考えてみるといいと思います。どん
  なわけからですか。
 C 長い間、雪と戦って生活してきたからです。
 C 半年も雪にうずもれた生活を、来る年も来
  る年も続けてきたからです。
 T まとめ方の一例をだしますから、それを参
  考に、各自、考えてまとめてみてください。
         ・・・・・・
  雪国の人々は、こういう環境から雪と戦って
             ・・・・・・・・
  くらしてきた。そして。こういう生活様式を
           ・・・・・・・・・・・
  持つようになった。交通や通信機関で働く人
  ・・ ・・・・・・・・
  々も、やはり雪と戦ってくらしている。雪国
          ・・・・・
  の人々のために、こんな努力をしているの
  だ。だから、その人たちは、雪国の人々にと
  っては、こういってもいいのだ。
 掲示した要点と要点の関係をおさえなが
ら・・・のところを強調して話す。各自、
要約文を書く。行きづまっている児童には、 

それがどこか明らかにしながら、文章を読ませたり、その段落の大事な点をおさえさせたり、書き出し文を与えた
りして助言する。書きあがったものを集め、次時の学習の資料をその中からみつける。
 要約文の例をプリントに二つ示し、比較させながら要約文の書き方を学習する。この例は学級の傾向を示すもの
で、<例>1は、三割近く<例>2は、四割近くを示していた。
                                                     224

 雪国に住む人々は、まる半年も雪にうずもれて雪と戦ってきたので、雪国特有の生活様式を持つようになりまし
た。
 秋の取り入れがすむと、雪に備えて、食料をたくわえます。雪にとざされると、食料が手にはいらないので、い
もや野菜などを、くさらないようにします。
 いよいよ、雪がやってくると、今度は、家を雪から守るために、じょうぶな雪囲いを作ります。
 ふぶきの夜など、歩けなくなった人を助けに、若者たちは、かんじきをはいていくのです。
 雪がやむと、家がつぶれないように、雪おろしをします。

 雪は、また、交通機関を、ほとんど、とめてしまい、機関区の人々は、いつでも、そのために出動し、一メート
ル半ぐらいまでの雪は、ラッセル車を使い、それ以上の雪は、ロータリー車を使って除雪します。
 春さきのなだれのために土手を作ったり、雪のふきだまりを防ぐために、防雪林、防雪さくも作ったりします。
 ふぶきなどで、通信機関と害があると、そこで働く人々は復旧工事にでかけます。
 このように機関区の人々は、雪国の人々の守り神といってもいいでしょう。
 科学の力で雪の害をなくせば、雪国の人々は、しあわせになるでしょう。

 雪国の人々は、まる半年も雪にうずもれてくらすごとを毎年続けてきたので、雪国特有の生活様式をもつように
なった。
 雪に備えて食料をたくわえる。雪から家を守るための雪囲い作りや、屋根の雪おろし、ふぶきの夜など、歩けな
くなった人の人命救助などである。
 交通機関で働く人々は、線路上の除雪に努め、なだれを防ぐため、土手を作る。また、雪のふきだまりができる
のを防ぐため、防雪林、防雪さくを作って雪と戦ってくらしている。
                                                     225
 通信機関で働く人々も、電柱、電線に害をうけた場合、すぐに復旧にでかける。
 このような人々は、雪国の人々の生活と文化の守り神だといっていいだろう。
 だが、科学の力で雪の害をとり除くことができるようになったら、雪国の人々は、どんなにしあわせになること
だろう。
  (前時、集めた要約文は、児童に返しておく)
 T <例>1のようなまとめ方をした人、手をあげてください。<例>2のようなまとめ方をした人は、どのくらいいますか。
  (挙手させためは、自己の実態を確認することによって、学習の目的をはっきり持たせるためであった)
 T 手をあげなかった人は何人かいますが、大きくわけて、この二とおりにまとめ方がわかれました。この二つの例文を比べ
  ながら文章全体を要約するということは、どういうことなのか考えてみたいと思います。どんな目的で要約するのでしたか。
 C あとで見ても、すぐわかるように、自分のために記録しておくという目的です。
 T 文章を要約するのは、「何のために」という目的によって要約のしかたがちがいましたね。今いわれた目的にてらして、
   この二つの例文を読んでみましょう。
 C <例>1は、くわしく書きすぎていると思います。そのわけは、内容を知らない人に知らせるのには、とてもいいと思い
  ますが、ぼくたちは、内容をくわしく調べて、細かいことはわかっていますから、あとになっても思い出せます。自分のた
  めの記録は、<例>2のほうがいいと思います。
  (続いて三名から同じ意見の発表がある。全員まとめ方については、<例>2のほうに賛成する)
  T まとめ方は<例>2くらいがいいというわけですね。では、<例>2について、これでいいのか、プリントを見たり、全
  文を読んだりして考えてください。
  C 第一段落が、第二、第三段落にかかっているはずなのに、第二段落の生活様式だけに関係があるみたいに感じるので、そ
   こを直したらいいと思います。
  C 第二段落は、一般の人の雪との戦い、第三段落は、交通や通信機関に働く人の雪との戦いが書いてあって、第一段落で、
  雪との戦いが生まれる自然条件みたいなものをいっているって、前に勉強したはずなんです。ですから、そこのつながりを、

                                                     226
  もう少しくふうしたほうがいいと思います。
 T それなら、どうしたらいいのか。このまとめ方とちがったまとめ方をしている人が何人かいます。今、その中のひとりの
  を印刷したのを配りますから、・・・のところに気をつけながら読んで考えてください。

<例>3
 まる半年も雪にうずもれてくらす雪国の人々は、毎年、雪と戦いながらくらしてきました。
   ・・・・
 その長い戦いの間に、雪国の人々は食料のたくわえ、雪囲い作り、屋根の雪おろし、ふぶきの夜の人命救助など
の雪国特有の生活様式を作り出してきました。
             ・・
 交通機関・通信機関で働く人々も、雪と戦っています。
 線路を、ふぶきやなだれから守るための除雪車をくり出しての除雪作業、土手や防雪林、防雪さく作り。電柱、
                      ・・・・
電線の復旧工事など、昼も夜も雪と戦ってくらすこの人々を、雪国の人々の生活と文化の守り神といってもいいで
しょう。
 ・・
 将来。科学の力で雪の害をなくせたら、雪国の人々は、どんなにしあわせになることでしょう。
 <例>2と比較しながら話し合う。@関係ある段落の要点の順序をかえてわかりやすくまとめてある。A「こ
の」「その」「……も」などで段落と段落を関係づけているなどの意見がかわされる。
  T 段落と段落の関係をよくとらえて書いてあるというのですね。こそあどことばを入れて、段落をうまくつないでいること
   に気がついたようですね。「・・」のところがくふうされているところです。このように段落の要点を後ろにもってきて
   関係あることがらをしめくくったり、段落をつなぐことばをくふうしたりするのも、文章を要約する場合の大事な点です。
   このほかに、四つの要点だけつないで、もっと短い要約も考えられますが、ここでは、要点と、それを支えていることがら
   を含めてまとめる学習で、<例>3のようなくふうをしてまとめてほしいと思います。各自、自分のをまとめ直してみまし
  ょう。(学習の整理として、記入用紙、プリントをそろえてとじておく)

 3 要約技能養成の留意点
                                                     227
@ 段落を要約する場合
まず、要点文を読みとる。つぎに、その要点文の
 要点以外のものをけずって、要点を明確にする。要点以外のものをけずる場合には「何がどうした」「何は何
だ」「何はどんなだ」というように、その文の文脈の上にたってことばをけずる。
A 文章全体を要約する場合
a 各段落の要点を読みとる。
b それぞれの段落の要点をまとめて、文章の内容を縮約する。
  各段落の要点をおさえ、段落相互の関係を考えながら、それらをつないで、文章の大意、梗概とする。



                                                     228
第Y章 読解技能練習の科学的方法



 はじめに
 読解の技能は、文章の内容を読みとって理解するいわゆる読解学習の過程で身につけるのが現在の国語教室では
ふつうである。
 しかし、現在の限られた国語科の時間の範囲内で、同一の技能をくり返し学習するということは、なかなか容易
でない。そこで、読解学習で学習した技能を、いっそう確実に身につけさせるために、練習の必要が生まれてくる。
つまり、読解学習の過程で学習した技能について、さらに特別にそれを取り上げ内容理解は考えず、技能自体を機
械的に練習しようとするのが、ここでの考えである。
1 練習の考え方
 読解技能の練習は、読解学習のような、内容の学習とは切り離して、技能それ自体を取り出し、機械的に反復練
習し、技能が形式化し、型として身につくことをねらいとする。したがって、このことから、練習の基本的な考え
方が生まれてくる。
(1) 練習すべき技能を明らかにしなければならない
 どのような技能を練習するかは、のちに具体的に述べるが、つねに単元おける読解学習と関連して、技能を明
らかにしなければならない。
                                                     229
(2) 一つの技能について、くり返し練習するようにすること。
 たとえば、要点を読みとる技能の練習であるならば、文字や語句の抵抗がなく、しかも他の技能を含まず、要点
だけを読みとればいい文章によって、練習しなければならない。
(3) くり返し、機械的に練習すること。
 練習は、技能が確実に身につくことをねらいとするのであるから、文章に対したら反射的に反応できるようにな
るまで、くり返し練習し、型を身につけなければならない。
(4) 練習による進歩を自覚させ、興味をもって意欲的に練習するようくふうすること。
 練習は、とかく、形式的で単調なくり返しである。そのため、児童はあきやすい。したがって、段階的に練習さ
せたり、練習の結果を評価して、その効果を知らせたりして、興味と意欲を持って練習するようにしなければなら
ない。
(5) 児童の能力に応じて、段階的に、また、個別的に指導すること。
 練習は、だれにも一律に課するのではなく、児童それぞれの技能の定着の度合いによって個人差に応じた練習を
させることなどに注意して指導しなければならない。
2 練習の機会と内容
 練習は、すでに学習した技能についておこなうのが原則である。そこで、いつ練習するかによって、その練習の
内容や方法をくふうする必要が出てくる。
 練習の機会としては、つぎの二つの場合が考えられる。
(1) 毎時間、読解学習の終わりに五〜十分の時間をとって練習する場合。
(2) 単元の終わりに、一〜二時間の時間をとって集中的に練習する場合。
  まず(1)の場合は、前もって、それほど準備しておかなくてもできる技能について練習することが便利である。た
とえば、
                                                     230
 ア 文字の読み書き技能の練習
 イ 語句を理解し使用する技能の練習
 ウ 文型を使う技能の練習
 工 文法事項の練習
 オ 語として読む技能の練習
 カ すらすらと音読する技能の練習
 キ 黙読になれる技能の練習
 ク 速く読む技能の練習
 などがある。
 つぎに、(2)の場合であるが、この場合は。あらかじめ準備し、作られた練習の年間指導計画に従って、計画的に
技能の練習をすることになる。
 ここで取り上げる技能は、その単元なり、教材なりで学習した技能のうち、もっとも基本的・機能的な技能を選
んで練習することになる。
 たとえばば、新聞とテレビの長所と短所を説明し、それぞれの社会に対する効用を説明した文章を読解する場合、
各段落で、それぞれの長所と短所とを比較した文が要点的に出ている教材であったとする。この要点を読みとって
いくことによって、新聞とテレビの長所と短所がわかり、それぞれの特色が読みとれるという読解であるならば、
この教材読解上の基本的技能は「要点を読みとる技能」ということになる。それがもっとも機能的技能であり、か
つ中心的技能である。したがって読解学習後の練習も、「要点を読みとる技能」の練習ということになる。
 このようにして、各単元、各教材ごとに、そこで練習する技能を選んで、年間の指導計画を立てることが大事で
ある。こうして、計画的に、各学年で諸技能を系統的に練習する。
3 練習の指導過程
                                                     231
 技能の練習をするにあたっては、つぎのような指導過程によるとよい。
(1) 練習する技能を明らかにする。たとえば文章の内容を読みとる学習において要点を読みとる技能がじゅうぶん
 でないことを自覚するなど。
(2) 技能練習の必要なことを自覚し、練習しようとする意欲を持つ。
(3) 技能の練習をする。あらかじめ用意した練習文によって行なう。
(4) くり返し練習し、機械的に反応できるようにする。
(5) 練習した技能を使ってみる。あらかじめ用意した文章の内容を理解するために技能を適用する。
 このような五つの過程をたどって練習する。
 つぎに「雪とたたかう」という情報教材で学習した場合の技能練習の過程について述べてみる。
(1) 練習する技能を明らかにする。(技能の自覚)
 「雪とたたかう」の学習のおりに、「どんな雪国特有の生活様式を持つようになりましたか。」と発間して、食
 料をたくわえること、家を守るための雪囲いを作ること、ふぶきのために歩けなくなった人を村の若者たちが救
 い出しに出かけること、など、この文章の要点を読みとる学習において、要点の読みとり方を自覚させておく。
(2) 要点を読みとる技能を練習する必要のあることをわからせる。(練習の必要と意欲)
  第三段落の要点がよく読みとれなかったことを話し合い、要点を読みとる技能を練習する必要のあることを意
 識させる。
(3) 技能の練習を行なう。
 @ つぎのような段落の要点を各自読みとる。(要点を表わす文に傍線を引く)
 a 細部を総括している要点文を含む段落
 b 細部を抽象した要点文を含む段落
 A つぎのような段落の要点を要約して読みとる(要点を書き出す)
                                                     232
 a 要点を表わす文を含まない段落
 b 共通点をもった細部が述べられている段落
 問題としての段落は、語い負担・文字負担のないもの、内容理解を特に必要としないもの、したがって、要点を
読みとる技能が単独に機械的に働くことのできるものとする。
(4) 練習した技能を適用して、文章の内容を読みとる。
 練習を終わったあと、あらかじめ用意してある文章(練習した技能が適用できるもの)を読解する。それによって練
習の効果を判定する。
 このような練習を、計画的・系統的に行なう。
4 練習文の作り方
 読解学習後、一〜二時間の時間をとって読解技能の練習をする場合は、前もって、計画的に練習文を作っておく。
 練習文作成に当たっては、つぎの事項に留意する。
(1) 文字や語いの抵抗ができるだけ少なく内容が容易に理解できるものであること。
 練習は、ひたすら、ただ一つの技能について、くり返し練習するのであるから、できるだけ、他の要素が入りま
じってこないようにすることが大事である。
(2) 単一の技能の練習ができるもの、つまり、一文章で一技能を養成する練習文であること。
 一つの練習文で、いくつかの技能を練習しようとすると、練習が複雑になり、効果的な練習ができない。
(3) 同一の技能の練習には、同一の文章形式をもった練習文を作ること。
 練習は、ある一定の言語刺激をくり返し与えて、一定の刺激に速く反応できるようにすることである。つまり、
反応の型を確実に身につけさせようとするのがねらいであるから、同一技能について、くり返し練習する場合、与
える刺激が一定でなければならない。
(4) 練習文は、やさしいものから、むずかしいものへと、段階的に進むことができるようにくふうすること。
                                                     233
 いきなり、児童の能力に合わないむずかしい練習をさせると、練習の興味を失い、消極的になって効果があがら
ない。また、つねに同じ程度の練習を反復することは、技能の定着ということだけでは、それでもよいが、やはり、
技能の高まりという面では、ものたりなさがある。また児童の能力の優劣ということからも、易から難への段階が
有効であると考える。
5 練習のさせ方
 練習文が準備でき、実際に練習を行なう場合、つぎの方法を考えた。
(1) 練習カードの作成
 練習文が完成したら、それを画用紙などのやや厚い紙に一文章ずつ印刷し、カード式にする。それらを、技能別
にひと組としてとじ、学級の人数分より三〜四組ぐらい多いかずを用意する。これは、つぎの利点かある。
o他の学級でも、使用できること。
oうまく保存しておけば、そのまま、来年度また再来年度の当該学年で使用することができること。
oその他、いつでもくり返し使用できること。
o破損が少なく、保存できること。
 この練習カードは、学校内の一定の場所に保存しておけば、使用したい時、いつでも利用することができる。
 また練習カードの裏面に、設間の解答を記入しておき、児童自身で自分の能力が診断評価できるようにしておく
ことが必要である。
(2) 解答用紙の作成
 練習カードとは別に、解答用紙を印刷し作っておく。これは、カードに解答を記入してしまうと、のちの機会に
利用できなくなるからである。解答用紙は、一枚に一組文の解答らんを作り、しかも、設問にもっとも答えやすい
形式の解答形式とする。
(3) 練習の過程
                                                     234
 練習は、つぎの過程で進むことを試みてみた。
 @ 技能の診断の段階
 前の読解学習で養成した技能が、児童自身どの程度身についているか診断する。その方法として、練習文の中か
ら、ある段階の練習文を一つ抽出して、全員いっせいにやらせる。結果を解答と比較して自己診断し、できたもの
は、つぎの段階から練習をはじめ、できなかったものは、いちばん最初の段階から、練習をはじめるようにする。
 A 技能の練習と診断
 練習文のプログラムにしたがって、作業を進めていく。問題なく通過していく児童に対しては、とくべつの指導
は必要としない。つまずいた場合のみ、その児童に対して、教師の指導が必要になってくる。この場合、つまずき
の原因をすぐに判断して、もう一度やりなおすか、下の段階に落とすかする。
 B 技能の定着度の診断
 練習の最後に、どこまで技能が定着したか十分程度のテスト的診断をおこない、つぎの技能練習の参考とすると
有効である。
6 練習指導の実践
(1) 練習の計画
 技能練習の方法について、五年生の要点を読みとる技能の実践例によって、具体的に述べることにする。
@ 教材と技能
a 教材「魚の感覚」(科学的説明文)
 無心に金魚ばちで泳いでいる金魚に、いったい感覚はあるのだろうかという問題提起から、実験や事例を説明し
て、魚にもすばらしい感覚があるのだという解決をあたえる科学的説明文である。
 この文章は、はじめの段落で問題提示がされ、それが、段落をおって解決されていくという構造をもっている。
b 練習する技能
                                                     235
  「魚の感覚」の読解の中で養成したい中心的技能は
o第一段落の問題提示を読んで、読みの構えを作る(読みの態度)
o文章全体を読んで問題がどう解決されているかを読みとる。
 この読みとりの過程で「要点を読みとる」技能を中心にして養成するので、それを練習する技能とした。
 (2) 練習文の作成
  練習文の作成にあたっては、つぎの四つの点を考慮した。
 a 学習した基本的・機能的な技能について練習すること。
o「魚の感覚」では、要点を読みとる技能を中心として学習した。
o「魚の感覚」の読解における要点を読みとる技能は「問題―→解決」の思考のすじみちをたどっている。したが
 って、練習文も間題提示があり、それを受けて解決する叙述があるという思考の型をとる文章を選んだ。
o「魚の感覚」の読解における要点を読みとる技能は、要点をふくむ段落から、要点となる要素を抜き出し、要点
 を書き出す技能である。したがって、練習文も、それと同じ作業をふむものを作った。
 b 練習文は、やさしいものから、むずかしいものへと、段階的に進むことができるように作った。
 児童の能力に合わないむずかしい練習をさせると、練習の興味を失い、消極的になって効果があがらない。練習
は、同じ技能を同じ条件のもとで反復することによって技能を定着する。つまり、ことばの刺激に対して反射的に
反応できるようになることが理想である。もちろん、練習する技能を分析して、易より難へと段階的に並べて練習
することはいうまでもない。
 ここでは、つぎのような段階を考えてみた。
 @ 課題に応じた答えを読みとれば、それが要点である文章
 ↓
 A 課題について答えを表わす文がない文章(課題一つに対して解決も一つ)
 ↓
                                                     236
 B 課題について答えを表わす文がない文章(課題二つに対して解決が二つ)
 つまり、@からBまでの練習は、「課題→解決」の思考の型を訓練する文章である。
 このような一定の思考の型をくり返すことによって、要点を読みとる技能を養成するのである。
 c 内容の学習を伴わないものとした。
 内容の理解に抵抗のないもの、つまり、内容を理解するための特別な学習を必要としない文章であるようにした。
 d 文章形式が同じであること。
 同じ技能の練習は、ことばの刺激を一定にする、つまり、同じ条件、同じ形式の文章によって行なう必要がある。
刺激条件がちがうと、反応も異なるから、新たな学習になってしまって、練習にならないからである。
2 練習文例
 練習文は、前述の考え方や方法に従って作成し、やさしいものからむずかしいものへと段階的に並べ、1から9
までの番号をつけた。中間の4の練習文が、学習要点の技能で、1、2、3はそれよりやさしく、5、6、7、8、
9はそれより順次むずかしくなっている。ここには、1、2、3、4、5の練習文を参考に掲げた。

 ○どういう問題について、どう答えればよいですか。
  1 商業の役わりは何でしょうか。いまは工業が発達して、品物がいちどにたくさん作られます。また、大都会などでは、
   大ぜいの人が、たくさんの品物を必要としています。ですから、工場でできたものを、早くほしい人にわたさなければな
   りません。作られた品物を生産地から使う人のところへ、早くわたるようにするのが商業の役わりです。

        問   題            こ た え
                                  
  2 しゅんせつ船の役目はなんでしょう。川やみなとを長くほうっておくと、砂やどろがたまり、浅くなってきます。川で
   はこう水のもとになります。みなとでは、大きい船が出入りできなくなります。そんなことになったらたいへんです。川
                                                     237
   やみなとのそこにたまった砂やどろをすくいあげるのが、しゅんせつ船の役目です。

                                  
  3 冷ぞうこの中にこおりを入れて、物をひやすことがあります。こおりは上においたほうがよいでしょうか。下においた
   ほうがよいでしょうか。空気は、あたためられると体積がふくらみます。ひやされると、体積がちぢみます。体積がちぢ
   むとそれだけ空気はいままでよりも重くなります。ですから、ひやされた空気は重くなって下にさがるのです。冷ぞうこ
   の中のこおりは、上においたほうが、ものがよくひえます。

                                  
  4 石けん水は酸性でしょうか、アルカリ性でしょうか。赤いリトマス試験紙を青にかえる性質を、アルカリ性といいます。
   青いリトマス紙を赤くかえる性質を、酸性といいます。石けん水は、青いリトマス試験紙の色はかえませんが、赤いリト
   マス試験紙を青にかえる性質をもっています。

                                  
  5 ひこうき雲が、高い空にだけ出るのはなぜでしょう。ひこうき雲は、ひこうきからはき出した水じょうきからできた、
   こおりのつぶの集まりです。温度がひくければ、水じょう気は水の玉になりますが、これはたちまち、また水じょう気に
   なって見えなくなります。だから、こおりのつぶができたときでないと、ひこうき雲はあらわれないのです。水じょう気
   がこおりになるには、温度は0℃よりひくくならなければなりません。気温は、地面に近いほど高く、地面から上へあが
   るほどひくくなっていきます。だから、ひくい空では、ひこりき雲はできないのです。

                                  
3 練摺の方法
                                                     238
 練習はつぎの方法で試みた。
 a 技能の診断
 はじめに4の練習文をいっせいに児童にやらせた。これは「魚の感覚」で学習した要点を読みとる技能が、どの
程度身についているか診断するためである。
 4の練習が終わったら、いっせいに答えをあわせる。できなかったものは1にもどらせ、1から3までの練習文
によって、課題―→解決の思考のすじみちを通る型の訓練をさせる。4ができた者は、5―→9の練習文の順にし
たがっておこなっていく。
 b 技能の練習
 練習文の番号にしたがって、練習を行なう。途中でつまずいた者は教師にそのことを知らせる約束をする。その
場合のみ、教師は児童のつまずきの原因を指導することにする。
 c 技能定着度の診断
 最後に、はじめの読解教材と類似の文章によって、どの程度技能が定着したか診断する必要がある。しかし、今
回は、時間のつごうで省略した。
                                                     239



第Z章 読解能力評価の科学的方法



       一 読解能力評価の考え方


 (一) 読解能力評価についての基本的な考え方

 戦後の学習指導の進歩発達の特徴の一つは、評価の考え方を大きく取り入れ、これを、指導過程の中に明確に位
置づけたことであるといわれている。
 読解指導に当たっても、学習にはいる前にその文章を読解するのに必要な読解能力をどの程度持っているかを評
価し、読解の過程においても、学習した技能がどの程度身についたかを評価しながら学習を進める。また、読解が
終わったあとで、その学習効果を評価し、判定する。
 このように、読解の評価を読解指導過程の中に明確に位置づけるようになっている。
 また、読解力の評価にあたっては、何のために、どんな読解能力について、どんな基準で、どんな方法で評価し、
評価の結果に対して、どのように対策をたてるかということ、すなわち、読解評価の目的、評価する読解力、評価
の時期、方法などをしっかりおさえ、意図的、計画的に行なうことがたいせつである。
                                                     240
 また、その方法として使われる読解力テストは、あくまでも、評価のための資料を得る方法の一つであるから、
テスト即評価というふうに混同しないようにしたい。たいせつなことは。その結果得た資料をどのように解釈し、
判断して、どのような効果的な対策をたてるかということである。
 つまり、読解の評価は、たんなる児童・生徒の段階づけのためのものではなくて、読解に対する児童個々の傾向
や間題点をさぐって、対策をたてたり。教師としては読解指導上の種々の改善すべきことがらを発見したりするた
めに行なわれるものである。


 (二) 読解能力評価についての問題点


 読解能力の評価について一般に行なわれているワークブックや教師自作のテスト間題などを検討すると、そこに
種々の問題点を指摘することができる。
たとえば、
(1) 読解能力を評価するための間題でありながら、文章の内容や語句・文字などについての知識をテストしている
 ものがある。
  これは、問題の作成者が、読解能力とは何かについて認識があいまいであり、また、読解能力はどのようにし
 てテストされるかについての理解が乏しいからである。
(2) 読解能力をテストしようとしているが、その読解能力をテストするのに、問題文やテストの方法・設問などが
 適切でないものがある。

(3) 読解能力の評価は、そこで学習した能力について評価するのだという意識がうすい。つまり、読解指導にあた
 って、そこでどんな能力について学習したかが明確に押えられていない面がある。
 つぎに、実際の問題例について考えてみたい。
                                                     241
(一) つぎの文しょうを読んでこたえなさい

 〔ァ〕には、石や[ィ]で作った家が多い。( )、日本には、木で作った家が多い。〔ゥ〕の家は、たいてい、木で作
られている。〔ェ〕には、なぜ、木で作った家が多いのだろうか。……@
 その大きな〔ォ〕は、日本には、家を作るのによい木がたくさんあるということである。すぎ、〔ヵ〕などの木が、日
本じゅう、どこにでもあって、手に入れやすいのである。……A

 (1) 文の〔 〕に入れることばを、つぎの  からさがして、あとの〔 〕に書き入れなさい。
   ひのき、日本、ふつう、れんが、外国、理由
 ァ〔 〕 ィ〔 〕 ゥ〔 〕 ェ〔 〕 ォ〔 〕 ヵ〔 〕
 (2) 文の( )に入れるとよいことばに、○をつけなさい。 
   ( )ところが( )だから( )そして
 (3) 文しょうの@とAとは、どんなつながりがありますか。○をつけなさい。
   ( )@とAは、ちがったこと
   ( )@が理由で、Aがもんだい
   ( )@がもんだいで、Aがその理由
 (4) 略
(二)  略
(三) つぎの文で正しいと思うのに○、正しくないと思うのに×をつけなさい。
  ( )とくに雨の多い所なので、空気のしめっている時がひじょうに多い。
  ( )空気のしめりけは、石で作った家が多いと少なくなる。
  ( )木で作った家は、風とおしがよいので、しめりけがへやにこもる。(以下略)
                                                     242
 これは、東書三年下 せつ明文を読む
  一 日本には、なぜ、木で作った家が多いか
 という教材によって読解学習したあと、その効果を評価するために作られた間題である。
 この教材は、単元名にもあるとおり、説明文を読む学習のための文章であるから、おそらく、段落の要点を読み
とる技能、要点と関係づけながら、細部を読みとる技能、文章の要旨を読みとる技能などを学習するものと思われ
る。

 ところで、前掲の間題によって、はたしてそれらの読解力をテストすることができるであろうか。
 わずかに、(2)で「つなぎことば」のはたらきについてふれ、(3)で段落のはたらきについてふれているが、(1)
および〔三〕は、読解力をテストするための間題とはいいがたい。
 とくに、(1)は教材文の内容の記憶にたよるところが多く、〔三〕は、選択肢の内容的なむじゅんを判別すれば、
間題文を読まなくてもできる間題である。
 このような問題で読解力のテストができると考えている現場はきわめて多い。

 (三) 読解能力評価の考え方

(1) 評価する読解力をはっきりさせる
 読解力のうち、どんな技能を評価しようとするのか、たとえば、要点を読みとる技能か、あるいは、段落にまと
めて読む技能かなど、評価する技能をはっきり押えておかなければ、評価はあいまいになる。なお、そのためには、
あらかじめ、その教材で学習する読解力の構造を明らかにし、指導にあたっては、この点を明確にして指導してお
くことはいうまでもない。
(2) 評価しようとする読解力をテストするのに適切な間題文・方法・設問等を用意する
                                                     243
 たとえば、段落の要点を読みとる技能をテストする問題文が、段落のはっきりしないものであったり、要点・要
旨を読みとる技能をテストするのに、物語的な文章を用いたりしたのでは、その目的は達せられない。
 また、設問も、段落の要点を直観的にとらえる力を見るのか、あるいは、詳細とのかかわり合いにおいて分析的
にとらえる力を見るかでは、とうぜん異なってくるはずである。なお、同じ要点であっても、主意文(中心文)が
はっきり出ている段落と、出ていない段落、必要な用件を述べていて、価値判断によって要点を読みとっていく文
章と、かならずしもそうでない文章などでも問い方が異なるはずであろう。
 つぎに、方法として、もっとも多く用いられるペーパーテストにおいても、本文にサイドラインを引かせるか、
抜き出させるか、選択肢法を用いるか、図表等に書きこませるかなど、見ようとする読解力や問題文の機能によっ
てそれぞれ適切なものを用いる必要がある。
(3) 結果の処理・対策を計画的、効果的にする。
 学習評価の目的・機能として重要なことの一つが、児童個々について、どのくらい学習の成果があったか、ある
いは、どこにつまずきや問題点があったかを診断し、これに対して治療の手だてをさぐることにあることはこれま
で再三見てきたとおりである。
 このように考えてくると、テストや観察の結果得た資料をどのように処理し、それについてどのような考察判断
を行ない、どのような対策の手だてをとるかなどを目的にてらして計画的、効果的に実施することがとくに重要な
問題となってくる。
 もちろんこのことは、結果をいつも数的に処理し、客観的な基準にてらして行なわなければならないということ
ではない。それは、あくまで原則であって、指導者が、いつも、頭の中にこのような態度、かまえをもっていれば、
それほど時間や労力を費やさなくても効率的に実施できるのではないか。
 とくに、学習過程における評価などは、評価が、すぐつぎの指導の手がかりとなるわけであるから、教師は学習
中の児童の反応を的確に把握判断する目を常に養っておきたいものである。また、常に評価の観点を指導のねらい
                                                     244
に即して明確にして、指導の場に臨むことが必要となってくるであろう。

       二 読解能力評価の方法


 (一) 一般的な評価法

 読解技能の評価法を考える前に、一般に行なわれている評価法を概観しよう。
1 どんな方法があるか
 その目的、その実施時期によってさまざまな評価の方法が考えられるが、おもなものをあげてみる。
(1) 観察による方法(主として学習中)
 ア 尺度表を持っていて、そのつどチェックする方法
 イ 発間応答の過程で観察する方法                           `
 ウ 個別に面接して観察する方法
 I 机間を回って観察する方法
 オ ノート・記録用紙・作文などによって観察する方法
(2) 測定による方法(主として学習後)
 ア 主としてペーパーテストによる方法、これには、再生形式と再認形式の二つがある。
2 どんな形式があるか
 ここでは、テストの形式をあげてみる。
                                                     245
       ┌ア 単純再生法            ┌ア 多肢選択法
       |イ 完成法              |イ 真偽法
(1)再生形式┤ウ 記述法       (2) 再認形┤ウ 組み合わせ法
  (記述式)|エ 作文法         (○×式)|エ 弁別法  
       └オ 作文法              └オ 順序配列法

 (二) 読解技能の評価法

 上にあげた一般的な評価の方法・形式などを読解技能の観察・測定にどう適用し、どう評価するかがここでの課
題である。
1 何を、いつ、どのように評価するか。(評価の内容・時期・方法)
(1) 何を評価するか
 ア 読解の基本的処理技能(ことがら・要点・要旨を読みとる技能など)を評価する。
 イ 読解の方法的技能(段落分け・要約・判断をする技能など)を評価する。
 ウ 読解の支持技能(文字・語い・文法・発音などの基礎的技能)を評価する。
 エ 読解の機械的技能(音読・黙読の技能など)を評価する。
(2) いつ評価するか
 ア 学習中に評価する。
 イ 学習後に評価する。
 ウ 学期末、学年末に評価する。
(3) どのように評価するか
                                                     246
 ア 教師が観察し評価する。
 イ 教師作成のテストによって評価する。
 ウ 市販の学習帳・テストなどによって評価する。
 エ 標準テストによって評価する。
2 どのような配慮が必要か。(実施上の注意)
(1) 「何を評価するか」では、中心的に指導した事項についてなるべく評価し、指導しなかった事項について評価
 することのないように気をつける。
(2) 「いつ評価するか」では、とくに学習中における教師の観察を重視したい。この的確さが授業をよりよい方向
 に導くことになるからじゅうぶん気をつける。
(3) 「どのように評価するか」では、つぎの各項目の特質をわきまえて実施することがたいせつである。
 ア 教師による観察
  授業の進行中における児童の理解程度、つまずきの要因などをつかむのに便利だが、客観性の乏しいうらみが
 ある。
 イ 教師作成テストによる測定
  指導のねらい、内容にぴったりした出題ができるが、問題作成に時間と労力が大きくかかるので、再生形式
  (記述式)を多くとりたがる。それも簡単な問いで、複雑な答えを要求するものになりがちである。
 ウ 市販のテストによる測定
  問題再認形式(○×式)を多くとり入れてあるが、教師が指導したねらい、内容にそわないものが多い。中に
 は粗雑なものもある。
 エ 標準テストによる測定
  他との比較によって担任している学級児童の能力の位置づけがわかるはずだが、残念ながら、読解技能評価に
                                                     247
 関する標準テストでいいものがみつからない。

 (三) 学習中における評価(学習指導の進行を効果的にするための評価)

 学習中におげる評価は、児童の理解の程度・興味の所在などを知ることによって、授業の内容・方法が適切かど
うかを判断し、授業の改善に役立てるのがその目的である。
 したがって、個々の児童の学習結果を観察記録することはもちろんであるが、特に、クラス全体としてどのくら
いできているか、誤りの実態・傾向はどうかなどを的確につかんでつぎの指導の手がかりにすることがたいせつで
ある。
 つぎに、観察による方法について述べる。
1 発問応答によって観察する方法
 ふつう、だれもが行なっている方法である。児童の応答を確かめながら観察していく方法である。この場合注意
したいのは、つぎの諸点である。
 ア 発問が的確で具体的であること。
 イ 問いの目的がはっきりしていること。
 ウ 応答のしかたを明確に指示すること。
  ・書いてあるところを指で示す。
  ・色板を使って、「はい」「いいえ」の意味を示す。
  ・手をあげて意志表示するなど。
2 机間を回って観察する方法
 たとえば、「段落の要点」に傍線を書き入れたり、「段落の切れめ」にかぎをつけたりしている児童ひとりひと
                                                     248
りの理解程度をキャッチするために机間を回る。
 巡視して誤りに共通点があれば、全体的に指導する。また、全体的に学習が困難であることをつかんだら、その
原因を早くつきとめ、その指導法を変えることもありうる。
 個々の児童についても適切な助言をしていく。
3 ノートによって観察する方法
 ノートに記述されてあることが、課題に正しい答えであるかどうかを調べる。「か条書きにしなさい」という指
示どおりに書いてあるか、観点に照らして記述してあるかどうかなどを調べる。
 ノートによる観察は、ひとりひとりをわりあい正確に観察することができるから、ノート指導はふだんからじゅ
うぶんに行ないたい。
4 解答用紙に記入させて調査する方法
 あらかじめ教師が用意した解答用紙に読みとったことを記述させる方法である。これはかなり意図的な調査法と
いえよう。
 解答用紙の形式は、文章の特色と学年に応じて、完成法・文章図法などを用いる。たとえば、つぎのような文章
図の形式による解答用紙も考えられる。
 < 段落ごとの要点をおさえ、文章の要旨を確  < 各段落の要点と細部との関係をおさえさせ
      認させる。                     る。


                                                     249
5 作文に書かせて調査する方法
 たとえば、説明的文章を読んでわかったことを自由に書かせる。初めて知った喜びやおどろきを書かせる。そし
て、児童が、文章にどのように反応しているかをみる。文章を全体的に把握しているか、部分的に反応しているか
などを調べて指導の手がかりを得る。


 (四) 学習後における評価(学習指導の効果を判定するための評価)

 学習したことを児童がよく理解したかどうか、指導上間題がなかったかどうかを測定し、反省し、評価するのが
学習後における評価の目的である。
 いわゆる客観テストとよばれる。ペーパーテストを用いる場合が多いので、このテスト法のいくつかの型を紹介
する。
 以下、「魚の感覚」という説明的文章の一部を本文としたいくつかの設間例をあげる。

 <本文
  ┌ 金魚ばちの中で、金魚が無心に泳いでいます。そこへ、金魚のえとして、赤えびの一きれを投げてやると、水底にいた
 @┤金魚まで、それをみつけて集まってきます。金魚は、赤えびの赤い色に目をひかれたのでしょうか。それとも、えびのに
  └おいをかぎわけたのでしょうか。それとも、投げこんだときのかすかな音を聞きつけたのでしょうか。
  ┌ いったい、魚には、色がわかるのでしょうか。魚のうちには、ある種の深海魚のように目のないのもありますが、ふつ
  |うは、頭の左右に、一対の目をもっでいます。これをよく調べてみると、目に必要な部分は備わっているし、色に感じる
 A┤円すい体という部分もあるので、ものを見る感覚はあると思われます。しかし、構造だけでは、そのはたらきは、じゅう
  |ぶんわかりません。実際にものを見分けて色に感じることができるかどうかを調べるために、学者たちは、つぎのような
  └実験をしました。
                                                     250

  ┌ 青いさらと赤いさらを用意し、青いさらを見せたときは、それにえをのせてあたえますが、赤いさらを見せたときは、
  |ぼうか何かで、魚をいじめるのです。
 B┤ これを根気よく続けていくと、魚は、ついに、青いさらを見せたときは、たとえその中にえが入れてなくとも、えがも
  |らえると思ってそばへ寄ってくるし、赤いさらを見せたときは、いじめられると思ってにげまわるようになります。この
  └ことから、その魚は、青と赤とを区別することが、できるということがわかりました。

1 多肢選択法によって「細かいところに注意して読む技能」を測定する方法
 設間に答えるために、いくつかの解答(選択肢)を用意する。その中から正答を選ばせる。選んだものに、○×、
記号、番号などを記入させる。これが一般的な多肢選択法である。
 この方法を用いて「細かいところに注意して読む技能」を測定する。

設問例>1
 @の段落で、えさを投げてやると集まってきたのは、つぎのどれですか。一つ選んで( )の中に○をつけなさい。
 1( )水面近くにいた金魚
 2( )水面近くにいた金魚と水底にいた金魚
 3( )金魚
 4( )赤えび
 

 ・正答は、2(○)
 「水底にいた金魚まで」の「まで」に注意を向けないと正しく理解できない。細かい点に注意して読むことによ
ってこのことに気づく。そこをテストする。なお、この段落の「それを見つけて」の「それ」の指す範囲を決めさ
せることによって、細部に注意して読む技能をテストすることができる。
2 記述法によって「要点を読みとる技能」を測定する方法
 記述による解答法だが、ここでは、記述のしかたを限定して設間する例をあげる。解答のしかたに限定を加えた
                                                     251
ほうが客観的で採点しやすい。
 この方法を用いて「要点を読みとる技能」を測定する。あとの実践例の中にくわしく書いてあるのでそれを参照
されたい。
3 弁別法によって「事実と意見を読み分ける技能」を測定する方法
 弁別法ということばは、一般化されていないが、便宜上用いることとする。内容を読み分け、それに記号などで
しるしをつけさせる方法である。
 この方法を用いて「事実と意見を読み分ける技能」を測定する。

設問例>3
 Bの段落で、実験してわかったことを書いてある文に線をひきなさい。
 

  ・正答は、つぎの文に線をひけばよい。
  このことから、その魚は、青と赤とを区別することができるということがわかりました。
 Bの段落は、「実験をしたこと」「実験をした結果わかったこと」の二つの観点で述べている。その一つの観点
 「実験の結果わかったこと」を読み分ける技能を測定するのである。
4 選択法によって「段落の意味の違いを読み分ける技能」を測定する方法
 本文の三つの段落をそのまま三つの選択肢と見て、その中から正答を選ばせる方法である。正答に当たる記号ま
たは番号を記入させればよい。
 この方法を用いて「段落の意味の違いを読み分ける技能」を測定する。

設問例>4
 @からBまでの段落のうち、実験のようすを書いてある段落はどれでしょう。段落の番号を  に書きなさい。
                                                  
 

                                                     252
  ・正答はである、
 各段落の意味のまとまりはどうか、それぞれがどのように違うかを読み分ける技能を測定する。
 このような問いは、文章全体を大きく区分けする技能を測定するのにべんりである。文部省全国学力調査でよく
使われる設問形式である。
5 順序配列法によって「ことがらの順序を正しく読みとる技能」を測定する方法
 書かれていることがらの順序を番号を記入することによってそろえる方法である。この方法はどちらかといえば
低学年に向く方法である。
 この方法を用いて「ことがらの順序を正しく読みとる技能」を測定する。

設問例>5
 この文章は、どんな順ばんに書いてありますか。( )に番号を書き入れて順序をそろえなさい。
( )青いさらのときにはえをあたえ、赤いさらのときには魚をいじめました。
( )学者たちは、つぎのような実験をしました。
( )赤えびを投げてやると金魚たちは集まってきます。
( )えをやらなくとも、青いさらのときは、金魚がよってくるようになりました。 

  ・正答は、右から(3)(2)(1)(4)の順。
 この技能のテストでは、問題文として、影絵の作り方、あぶり出しの作り方、何かについての実験のしかた、遊
びのしかたなどについて書いた文章を選び、作る順序・実験の順序・遊びの順序などを記述させるのがよい。
                                                     253

       三 読解能力評価の実際


 ここでは、三年二学期に「目本には、なぜ木で作った家が多いか」という教材について学習したおりの評価の実
際について述べる。
 教 材
    日本には、なぜ、木で作った家が多いか
  外国には、石やれんがで作った家が多い。ところが、日本には、木で作った家が多い。ふつうの家は、たいてい、木で作ら
 れている。日本には、なぜ、木で作った家が多いのだろうか。
  その大きな理由は、日本には、家を作るのによい木がたくさんある、ということである。すぎ、ひのきなどの木が、日本じ
 ゅう、どこにでもあって、手に入れやすいのである。また、木で作った家は、しめりけがへやの中にこもらない、という理由
 もある。日本は、世界でも、とくに雨の多い所なので、空気のしめっている時がひじょうに多い。そのため、日本では、しめ
 りけがへやの中にこもらないようなたて方がたいせつになってくる。木で作った家は、石やれんがの家より、風とおしがよい
 ので、しめりけがへやの中にこもることが少ない。
  それから、木で作った家は、わりあい地しんに強い、ということもある。日本は、地しんがひじょうに多い所である。石や
 れんがの家は、地しんの時にくずれる心配がある。けれども、木で作った家は、くずれにくい。
  こういうわけで、日本の国には、木で作った家が多いのである。


 教材と技能
 この文章の第一段落は「日本には、なぜ、木で作った家が多いか」という問題を提示している。第二、三、四段
                                                     254
落では、それぞれ、その理由を述べている。第五段落は、第一段落を受けてまとめている。
 この文章の要点は、第一段落では終わりに、第二、三、四段落ではそれぞれ段落の始めにある。その要点は、第
一段落は課題、第二段落以下は理由である。この要点に対して細部はそれぞれ要点を説明している。
 そこで、この文章の読解では、主として、「要点を読みとる技能」の学習をした。
3 要点を読みとる技能の評価
 評価は、学習後だけでなく、学習の途中でも行なう。学習は、つねにその効果を観察し、判定しながら、それに
応じて指導する。
(1) 学習中の評価
 課題は「日本には、なぜ、木で作った家が多いのだろうか」である。この課題解決のために全文を読み、読みと
ったことを書く。このときつぎのような記入用紙を使う。

  日本には、なぜ、木で作った家が多いのだろうか。
  そのわけをできるだけみじかい文でかきなさい。
                                    
                                    
                                    
    



 児童の答えは、大別するとつぎのようになることが多い。その実態をみて評価するわけである。
o家を作るのによい木がたくさんあるから。
 (この児童は要点を読みとる技能がよく身についている)
                                                     255
o日木には家を作るのによい木がたくさんあるということである。
  (前児と異なって、要点を押えてはいるが、理解がやや浅く、課題に応じた答えになっていない)
o日本には、家を作るのによい木がたくさんある。すぎ、ひのきなどの木が、日本じゅうどこにでもあって、手に
 入れやすいのである。
  (この児童は、要点を詳細と切り離して理解することができない。つまり、要点が読みとれない児童である)
oすぎ、ひのきなどの木が、日本じゅう、どこにでもあって、手に入れやすいのである。
  (この児童は、特に具体的な説明に反応していて、要点が読みとれない児童である)
oふつうの家は。たいてい木で作られている。だいくさんが家をたてる。
  (まれに、このような児童がいる。文章をよく読まず、自分の知識や経験によって課題に答える児童である。文章に即して意
  味をとらえることができない。読解技能がたいへん劣っているし、知能も劣っている児童である)
 このように、学習の結果をノートや解答紙に書かせる。教師は児童が書いている間に、すばやく机間を回って。
その実態をつかみ、つぎの指導の資料にする。
 また、こうした記述の結果によって評価するだけでなく、読みとったことを話させたり。話し合ったりしている
のを観察し、チェックして読解の結果を評価しながら、それに応じた指導を加えるのである。
(2) 学習後の評価
 学習後は、テストによって測定し、その結果にもとづいて評価をする。
  〔要点を読みとる技能のテスト問題〕
 @ 問題文の作り方
 ここで学習した「要点」は、各段落のはじめに課題に答えるものとして存在した「要点」である。だから、テス
ト問題の文も同じ技能を働かせて読みとるものにするために、同じ文章構造のものにすることが望ましい。できれ
ば、内容の興味・関心、生活経験との関係なども教材と同等のものであることも望ましい。
                                                     256
 以上のことから、つぎのような間題文を作った。

  しんぶんを見ると、ぜんたいの三ぶんの一ぐらいは、こうこくになっている。しんぶんには、なぜ、こんなにたくさんの
 こうこくがのせられているのだろうか。
  そのわけは、しんぶんにこうこくをのせれば、せんでんがよくいきとどくということである。まい日、たくさんの人がし
 んぶんを読んでいる。しんぶんにこうこくがあれば。ついでにそのこうこくも読むだろう。そうすれば、ポスターなどより
 は、ずっとひろく、おおぜいの人に知られることになるのである。
  また、しんぶんにこうこくをのせれば、しんぶんのねだんをやすくできるということもある。しんぶんしやでは、こうこ
 くを出したい人から、こうこくだいのお金をもらう。大きなこうこくになると、一つで八百万円ぐらいのものもある。だか
 ら、しんぶんぜんたいでは、たいそうたくさんのお金になる。そのお金があるので、しんぶんのねだんはやすくできるので
 ある。
 

 A 設問のしかた
 学習のとき、要点の読みとり方をどのようにしたかによって、設問はきまる。
 この教材では、課題をもち、その解決のために読みとったものが要点にあたるというしかただから、設問も、課
題を与えるという形をとる。

 ◎しんぶんには、なぜ、たくさんのこうこくがのせられているのですか。 

 B 答えさせ方
 このテストでは、三つの方法が考えられる。
  [選択肢によって選ばせる方法
 つぎのことを考えて選択肢を作る。
ア 児童の反応の傾向を考え、児童が反応しがちなもの。誤答の中にも段階を考えておく。
                                                     257
 ・細部的、部分的な反応のもの
 ・自分の知識や経験にひかれて正確な読みとりができていないもの
 ・文章の一部、選択肢の文から、かってに連想してしまうもの
イ 蓋然性を考えて、正答の四倍の選択肢を作る。

○つぎのそれぞれ四つの中から、一ばんよいとおもうこたえに○をつけなさい。
 ┌( )しんぶんがおもしろくなるから。
 |( )まい日、たくさんの人がしんぶんを読むから。
 |( )せんでんがよくいきとどくから。
 └( )たくさんの人がかいにくるようになるから。
 ┌( )お金がたくさんもうかるから。
 |( )一つで八百万円ぐらいももらえるから。
 |( )こうこくがぜんたいの三ぶんの一もあるから。
 └( )しんぶんのねだんをやすくできるから。
 

  〔わくを与え、文で書かせる方法
 (問題文、設問は前と同じ)
 選択肢を使わずに、課題をもって(設問がこれに相当する)読み、その解決を文で書かせて測定するしかたである
 この場合。答えとしてどのようなものを要求するのかがはっきりしていなければならない。学習のとき、課題に
対する解決はどう書けば最もよいかの指導をしてあれば問題はない。答えの数をわくの数で規定する。

 〔設問(課題)〕
  そのわけをできるだけみじかい文でつぎの  の中にかきなさい。
                                               
                                                

                                                     258
 なお、この方法の場合は、結果の処理がしにくく、主観的になりやすいので、採点基準をはっきり作っておく必
要がある。
・「せんでんがよくいきとどくから」のように最も短く、要点をとらえているもの……五点
・「しんぶんを読んで、せんでんがよくいきとどくから」などのように、要点のほかに説明が多くはいりこんでい
 るもの……四点
・「こうこくをのせれば、しんぶんをとっている人が多く、せんでんがいきとどいて、読んだ人がお店にくるよう
 になるから」などのように読みとってはいるが、説明が多く、また、拡大解釈(連想)まではいってきているも
 の……三点
・段落の説明の部分だけをそのまま書いたようなもの……二点
・この間題文を読んでただかってに連想しているようなもの……一点
 [サイドラインをひかせる方法
 (問題文、設問は前と同じ)

[設間(課題)〕
そのわけをかいてあるところに――をひきなさい。 

 この方法でも客観化するために採点基準をもうけておく必要がある。
・要点文だけに線をひいたもの ・要点文とそのほかの文にもひいたもの ・説明の部分にだけ線をひいたもの
                                                     259
 以上の研究に参加した人々は、つぎの名簿のとおりである。(○印は原稿執筆者)
   国語教育科学研究会会員
頤 問 ○中 沢 政 雄  中央区文海中`         ○多 田 三重子  墨田区菊川小
会 長  渡 辺   正  渋谷区猿楽小           岩 城 俊 一   〃 業平小
副会長  飯 田   清  大田区出雲小           稲 葉 光 子   〃 更正小
 〃   相 川 正 志  北区教育委員会         ○金 子 伸 子  目黒区不動小
 〃  ○小 川   勇  渋谷区教育委員会         井 上   潤   〃 宮前小
     大日方 明 治  千代田区麹町小          村 田 さ く   〃  〃
     高 橋 敏 志   〃  〃           ○上 松 行 雄  渋谷区富ヶ谷小
    ○紅 林 幸 一  新宿区四谷七小          田 崎 光 子   〃 中幡小
    ○新 井 哲 雄   〃 津久戸小          渡 部 美恵子   〃  〃
    ○佐 藤 次 郎   〃 四谷三小         ○岸   源 三   〃  〃
    ○小 川 末 吉  文京区金富小          ○大 石 賢 治   〃  〃
    ○伴   定 子   〃 真砂小          ○堀 口 和 正  渋谷区大和田小
    ○松 本 幸 夫   〃 昭和小           佐々木 トシエ  中野区新山小
     福 島 孝 一   〃 林町小          ○荻 原   昭  杉並区井荻小
     北 川 貞 雄   〃 大塚小           小 高 偉 子  北 区滝七小
     竹 内 明 雄   〃 千駄木小         ○鈴 木   博   〃 滝三小
    ○中津留 喜美男  中央区明石小           立 山 文 男   〃 王子五小
    ○船 越 コ ト  墨田区言問小          ○古 川 良 馨   〃 稲田小 
     松 永 悦 枝   〃  〃           ○藤 倉 文 子   〃 滝一小
     藤 田 征 子   〃  〃            佐 藤 久 弥  練馬区関町小
                                                     260
     江 川 好 一  北 区十条台小          伊 藤 武 雄  飾区本田小
    ○花 見 安 憲  板橋区教育委員会         小 畑 多恵子   〃 高砂小
    ○吉 沢 義 弘   〃 板二小           高 木 正 三  江戸川区南小岩小
    ○笛 木 興 治   〃 大山小          ○岡 田   脩   〃  小岩小
    ○弓 家 睛 絵   〃 向原小           小 沢 いそ于  品川区京陽小
     田 中 久 子   〃 常盤台小          二 村 陽 子  足立区淵江小
     浅 野 定 子  豊島区池袋五小         ○瀬 川 栄 志  青梅市教育委員会
     石 井 良 子   〃  〃            斎 藤 洋 子  国分寺市国分寺二小
    ○熊 谷 芳 子  練馬区関町小           河 合 嘉 彦  文京区駒本小
    ○八 田 洋 弥   〃 学大付大泉小        尾 辻 長 雄  目黒区月光原小
     中 坪 昭 義   〃 大泉小           杉 淵 章 子  墨田区言問小
     長 塚 隆 夫  世田谷区砧小          ○林   武 男  港区江南小
     香 取 俊 夫  葛飾区渋江小           遠 山 静 子  大田区池上二小
     関 口 寿 子   〃 東綾瀬小          小 宅   孝  渋谷区長谷戸小
     三 浦 ミ ヨ   〃  〃            宮 川 みさほ  文京区昭和小
     飯 塚 米 子   〃  〃            佐 藤 甲 子  北区八幡小
    ○青 木 愛 子   〃 住吉小           浜 口 嘉代子  葛飾区金町小
     斎 藤   文   〃 二上小           清 水 喜 代  大田区入新井二小





      [著者紹介]
      中 沢  政 雄
      明治40年群馬県に生まれる。小・中・高校教諭,東京都指
      導主事,中学校長,等を歴任。主著は,『機能的国語教育』
      (明治図書)『国語教育近代化の理論と実践』(三省堂)『国
      語科の発問』(明治図書)などである。

      国語教育科学研究会
      昭和36年創立。国語教育の科学化をめざす研究団体。機関
      誌『国語教育科学』(月刊,現在86号)発行。『機能的作文
      指導』全三巻(明治図書)『入門期の国語指導』(明治図書)
      等の編著がある。











      読解能力の科学的養成法       1100円
      著者/中沢政雄,国語教育科学研究会 発行
      者/藤原政雄 印刷所/松沢印刷株式会社
      発行所/明治図書出版株式会社■東京都入舟町
      3−3 ■振替東京151318番■電話(551) 8266〜8
      1968年6月初版発行
                          ●検印省略